旅行会社の取扱高、5月は97%減。非常に厳しい状況続く

鉄道・航空より厳しく

旅行会社の取扱高の5月速報がまとまりました。対前年同月比97%以上の減少で、非常に厳しい状況が続いています。

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観光庁が発表

観光庁が発表した2020年5月の旅行業者の旅行取扱状況速報によりますと、国内主要旅行会社の総取扱額は約95億7300万円で、前年同月比2.4%(97.6%減)。4月の4.5%(95.5%減)より、さらに減少しました。

5月の内訳は、国内旅行総取扱額が対前年同月比3.4%(96.6%減)、海外旅行が1.0%(99.0%減)。外国人旅行(訪日旅行)が0.2%(99.8%減)です。

国内、海外、外国人の3分野とも壊滅的な数字ですが、とくに海外旅行と外国人旅行は取扱いがほぼゼロです。2020年5月の旅行会社は、国内旅行のみ、ほんのわずかな取扱いをしていた、という状況が見て取れます。

マレーシア・クチン

主要旅行会社の対前年度比

主要旅行会社の対前年比の具体的な数字は以下の通りです。

主要旅行会社取扱高の対前年同月比・2020年
会社名 4月 5月
JTB 5.6% 3.6%
HIS 1.5% 1.8%
KNT-CT 2.8% 1.3%
日本旅行 4.0% 1.8%
阪急交通社 0.0% 0.1%
ジャルパック 3.9% 1.7%
ANAセールス 4.7% 2.7%
東武トップツアーズ 7.2% 2.1%
JR東海ツアーズ 2.7% 1.3%
名鉄観光 13.4% 5.5%
農協観光 5.7% 2.9%
ビッグホリデー 2.7% 0.6%
日新航空サービス 4.8% 1.7%
びゅうトラベルサービス 2.7% 0.9%
読売旅行 1.2% 0.5%

出典:観光庁(HISのみ同社月次情報)

2020年5月は緊急事態宣言が25日まで続いた影響で、旅行会社は営業を取りやめている店舗がほとんどでした。そのため、上旬まで営業していた4月よりもさらに数字が悪くなっています。多くの会社が4月の半分以下の取扱高で、ほとんどゼロという会社もあります。

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鉄道や航空より厳しく

5月の業界全体で前年度比で2.4%という数字は、鉄道や航空よりも厳しいものです。たとえば、JR東日本の5月の鉄道営業収入は対前年度比29.0%。ANAの旅客数は5.3%です。最大手企業で比べても、JTBの3.6%は、JR東日本やANAより厳しい数字です。

資本力に劣る中小の旅行会社は財務的に厳しいことがうかがわれ、このままの状況が続けば、事業の存続が危ぶまれる企業が出てきてもおかしくはありません。

こうした状況ですので、「Go To トラベル キャンペーン」の実施に、旅行会社が大きな期待をかけるのは当然のことでしょう。ただ、新型コロナウイルス感染症がいま以上に広まれば、それだけ根本的な問題解決が遅れることになります。

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