阪急、小田急、富士急、JR東海など健闘。10月旅行会社の取扱状況

GoToの恩恵に偏り

主要旅行会社の取扱状況の10月速報がまとまりました。GoToトラベルの追い風を受けて各社とも国内旅行が回復しています。鉄道会社系の旅行会社では、阪急交通社、JR東海ツアーズ、小田急トラベル、富士急トラベルなどが健闘。ただ、旅行会社によってGoToの恩恵は偏在している様子も見て取れます。

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国内旅行は6割まで回復

観光庁が発表した2020年10月の旅行業者の旅行取扱状況速報によりますと、国内主要旅行会社の総取扱額は約1556億円で、対前年同月比34.3%となりました。依然として厳しい状況が続いていますが、GoToトラベル事業の追い風を受けて、最悪期からは回復。国内旅行に限れば、前年比61.3%にまで戻っています。

10月の内訳は、国内旅行総取扱額が約1,512億円で対前年同月比61.3%。海外旅行が約36億円で同2.1%、外国人旅行(訪日旅行)が約7億円で同2.4%です。国内旅行が総取扱額の97%を占めています。

10月といえば、東京都が「GoToトラベル事業」の発着地に追加され、国内旅行が急速に盛り上がり始めた時期です。その効果が、旅行業者の取扱状況に反映されています。一方で、海外旅行と外国人旅行は壊滅的な状況が続いています。

主要旅行会社の2020年10月の取扱高を見てみましょう。

主要旅行会社取扱高2020年10月(単位:百万円)
会社名 海外旅行 外国人旅行 国内旅行 合計
取扱額 前年比 取扱額 前年比 取扱額 前年比 取扱額 前年比
JTB 886 1.6 318 2.0 52,646 60.2 53,852 34.0
HIS 275 0.9 142 8.0 3,807 80.8 4,225 10.9
KNT-CT 120 0.7 0 15,339 55.2 15,460 33.4
日本旅行 267 2.3 165 2.7 15,273 59.9 15,706 36.3
阪急交通社 363 1.7 0 15,213 108.4 15,576 43.7
JALパック 16 0.4 0 10,519 94.0 10,536 69.8
ANAセールス 70 3.8 1 0.8 8,918 65.5 8,990 57.5
東武トップツアーズ 90 3.7 34 4.7 4,632 47.6 4,758 36.7
JR東海ツアーズ 0.4 0.3 1 0.4 6,555 85.5 6,557 80.6
名鉄観光サービス 9 0.5 7 3.5 4,047 48.6 4,063 38.1
農協観光 1 0.2 1 0.8 1,101 21.4 1,103 18.3
ビッグホリデー 0 0 1,665 35.1 1,665 32.1
日新航空サービス 151 3.7 0 124 34.5 276 6.3
びゅうトラベルサービス 0.7 1.9 17 4.6 1,747 53.0 1.765 47.5
読売旅行 3 0.6 0 1,602 58.2 1,606 46.6
エムオーツーリスト 243 7.1 0 106 47.1 350 9.6
日通旅行 172 7.4 0.1 0.1 264 54.9 437 15.3
HTB-BCDトラベル 95 5.2 0.2 3.5 471 39.4 567 18.8
西鉄旅行 78 8.2 0 910 46.8 989 33.6
WILLER 0 1 2.7 133 10.7 135 10.3
京王観光 1 0.8 0 425 44.9 426 36.8
南海国際旅行 6 2.0 2 4.7 469 54.0 478 39.1
小田急トラベル 0.3 0.1 0.1 1.1 561 75.8 562 54.9
京成トラベルサービス 0.2 0.3 1 188.9 422 35.7 424 33.9
北海道旅客鉄道 0 0 240 46.9 240 40.3
九州旅客鉄道 0 0 156 45.1 156 42.9
西武トラベル 36 24.0 0 92 38.2 129 28.3
富士急トラベル 0 0 551 126.3 551 115.3
合計 3,654 2.1 694  2.4 151,252 61.3 155,601 34.3

出典:観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」。上位企業のみ抜粋。

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JR東海ツアーズの好調続く

国内・海外・外国人合計の対前年同月比でみた場合、大手旅行会社で好調だったのはJR東海ツアーズの80.6%。同社は東海道新幹線を使ったキャンペーン「ひさびさ旅は、新幹線!」を実施し、「GoToトラベル事業」にあわせて販売を強化。新幹線を使ったダイナミックパッケージ「新幹線ツアーダイレクト」や「ぷらっとのぞみ」が堅調で、新型コロナ後、もっとも売り上げを回復させている主要旅行会社といえます。

国内旅行に限れば、好調なのは阪急交通社。対前年同月比108.4%で、大手旅行会社で唯一、前年比100%を超えました。JALパックも94.0%と、国内旅行に限ればほぼ前年並みに戻しています。HISも国内は80.8%と堅調ですが、もともと国内旅行の扱いが小さいので物足りない数字ともいえます。

その他の主要旅行会社は、国内旅行が対前年同月比50~60%程度に収まっていて、業界平均は61.3%。9月の37.2%に比べれば大きな回復ですが、10月に東京がGoToキャンペーンに参加したわりには伸び悩んでいるようにも思えます。一部の観光地はインバウンドを穴埋めするかのような賑わいにもなりましたが、数字としては前年並みには遠く及ばない結果になっています。

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富士急、小田急が堅調

以下、国内旅行だけ見ていきます。

JR系では、JR東海ツアーズの80.6%を筆頭に、JR西日本系列の日本旅行が対前年同月比59.5%、JR東日本系列のびゅうトラベルサービスが53.0%、JR北海道が46.9%、JR九州が45.1%となっていて、JR東海ツアーズ以外のJR系は50%前後の水準で大きな差はみられませんでした。

私鉄系では、富士急トラベル126.3%、阪急交通社108.4%、小田急トラベル75.8%、南海国際旅行54.0%、名鉄観光48.6%、東武トップツアーズ47.6%、西鉄旅行46.8%、京王観光44.9%、西武トラベル38.2%、京成トラベルサービス35.7%と差が開いています。

大手・準大手に列せられる阪急交通社、東武トップツアーズは別格として、富士急トラベルと小田急トラベルの健闘が光ります。富士・箱根という首都圏近郊の人気保養地へのツアーを得意とする両社が堅調なのは、「GoToトラベル」の効果が偏在していることを象徴しているのかもしれません。

農協観光、WILLERは厳しく

国内旅行復活の流れに乗りきれないのが農協観光。対前年同月比21.4%にとどまります。農協観光は地方の顧客が多い旅行会社です。同社の不振は、地方在住者が観光旅行に出かけないことの表れでしょう。

一部の観光地が賑わっても、全体平均の数字が前年並みにならないのは、地方から東京、大阪へ向かう観光客の流れが戻らないから、というのが大きな要因とみられます。農協観光の不振はそれを象徴しているといえます。

WILLERも対前年同月比10.7%と苦しい局面が続きます。高速バスを使ったツアーを主力とする同社ですが、新型コロナでバス旅行者の戻りが悪いことを示しているのかもしれません。

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