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東海道新幹線「倉見新駅」概略設計に着手。JR東海も協力、実現へ一歩

新駅構想に新局面

東海道新幹線の寒川町倉見地区の新駅計画について、神奈川県が概略設計に乗り出します。駅の構造や配置を具体化するための予算を計上しました。JR東海は現時点で新駅設置を「極めて困難」とする一方、技術相談には対応しており、長年の新駅構想が実現に向け一歩を踏み出しそうです。

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新駅の構造や配置を概略設計

神奈川県は2026年度9月補正予算案に、寒川町倉見地区への東海道新幹線新駅の誘致に向けた経費1,430万円を新規計上しました。2026~2028年度の継続費も設定し、総額は2億7,000万円です。

事業では、新駅による経済波及効果などを推計するとともに、駅の構造や配置などの概略設計をおこないます。これまで要望活動や調査段階にとどまっていた倉見新駅が、駅そのものを具体的に検討する段階に入ります。

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相模線倉見駅近くに新駅構想

新駅の誘致地点は、東海道新幹線の新横浜~小田原間にある寒川町倉見地区です。同区間は約51kmで、東海道新幹線では2番目に長い駅間です。誘致地点の近くにはJR相模線倉見駅があります。

東海道新幹線倉見新駅
画像:神奈川県

神奈川県などは1996年に新駅設置促進の期成同盟会を設立し、1997年に倉見地区を誘致地点に決定しました。新駅の受け皿として、倉見地区と相模川対岸の平塚市大神地区を一体的に整備する「ツインシティ」構想も進めています。

平塚側の大神地区は2023年にまちびらきし、2024年には両地区を結ぶ「(仮称)ツインシティ橋」の都市計画手続きが完了しました。一方、寒川側の倉見地区は動きがやや遅く、現在、都市計画の決定を目指しているところです。

東海道新幹線寒川新駅
画像:神奈川県

 

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新駅設置の可否

JR東海は、新駅設置の可否について、利用者の需要見込みや、ツインシティ倉見地区を含む周辺の都市形成の状況などを検証して判断するとしています。

一方、寒川町が都市計画を進めるには、新駅の構造や配置を計画し、駅の範囲を明確にする必要があります。そのためには概略設計が必要です。

新駅の概略設計は、経済効果などの調査結果をもとに、県と関係市町が新駅整備費の負担割合を決めた後に行う予定でした。

しかし、経済効果の調査には、新駅や周辺開発の具体像が必要です。その具体像を固める概略設計に進むには、先に経済効果を調べて負担割合を決める必要があります。

要するに、「駅建設の可否を決めるには都市計画が必要で、都市計画を検討するには駅の概略設計が必要で、概略設計に着手するには負担割合の決定が必要で、負担割合の決定には経済効果の調査結果が必要で、経済効果の調査には都市計画が必要」という、堂々巡りの状態になっていたわけです。

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県が先行負担

そこで神奈川県は今回、負担割合の決定を待たず、概略設計費を先行して負担し、経済波及効果の調査にも乗り出すことにしました。

概略設計と経済波及効果の調査を県が先んじて進めることで、長く動きにくかった計画を前に進めようというわけです。

黒岩祐治知事は2026年6月18日の県議会で、「概略設計の費用を将来、県が負担する新駅整備費の中から、先行して負担する」と答弁。負担割合の決定前に、概略設計に着手する方針を明らかにしていました。

県はJR東海に、概略設計に必要な技術的なチェックなどの協力を求めます。

6月の段階では、県は、JR東海の協力意向を確認した後に予算措置を行う方針を示しており、今回の9月補正予算案で概略設計を予算化しました。この経緯から、JR東海が概略設計に協力する意向を示したものとみられます。

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従来予測は1日約11,100人

神奈川県が2007年度に実施した推計では、新駅の乗降客数を開業時で1日約11,100人、開業10年後で約13,500人と見込んでいました。相鉄いずみ野線が倉見まで延伸した場合は約14,200人です。

ただし、この推計は2015年の新駅開業を想定したものです。リニア中央新幹線の開業も考慮されていません。

県は新駅設置の目処が立った際に、条件を設定し直して再度推計する必要があるとしていました。そのため、今回、経済波及効果などを改めて推計します。

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JR東海は「現時点では極めて困難」

JR東海は2025年度の県の要望に対し、新駅を設けると列車の到達時分やダイヤ構成に影響するとして、「現時点において、新駅の設置は極めて困難」と回答しています。

ただし、「リニア中央新幹線が開業し、東海道新幹線のダイヤ構成に余裕が生まれれば、新駅設置の余地が高まる」とも付け加えており、将来的に新駅設置を受け入れる可能性も示唆しています。

また、JR東海は、必要な助言を求められれば技術相談に対応する方針も明らかにしています。実際、寒川町によれば、2019年度から、新駅や駅周辺のまちづくりについての技術相談に対応してもらっているとのことです。

倉見新駅の設置が決まったわけではありませんが、概略設計に着手することで、東海道新幹線の新駅計画が、新たな局面に入ったことは確かでしょう。(鎌倉淳)

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