上瀬谷ラインは8両対応、新交通システム最長に。路線計画の詳細判明

シーサイドラインより長く

旧米軍上瀬谷通信施設の跡地へ交通手段として横浜市が整備を計画している「上瀬谷ラインが、新交通システムとして最長となる8両編成に対応する規模で作られることがわかりました。環境アセスメント方法書が公開され、同線の詳細が判明しています。

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環境アセス方法書公開

「上瀬谷ライン」(仮称)は、横浜市の旧米軍上瀬谷通信施設跡地へのアクセスのために計画されている中量軌道輸送システムです。施設跡地では2027年に国際園芸博覧会(花博)の開催が予定されていて、米映画会社による大型テーマパークの誘致も構想されています。上瀬谷ラインは、これらの利用客を運ぶ中軸的な輸送機関となります。

上瀬谷ライン計画について、横浜市は2020年7月21日に環境アセスメントの方法書を公表しました。これにより、上瀬谷ラインの計画詳細が明らかになりました。

上瀬谷ライン路線図
画像:(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業環境影響評価方法書

総延長2.6km

方法書によると、上瀬谷ラインは新交通システム(AGT)を採用し、総延長は2.6km。全線複線で、起点となる瀬谷駅(仮称)と、上瀬谷小学校東側交差点付近に終点の上瀬谷駅(仮称)を設けます。

瀬谷駅は地下式で2面1線、上瀬谷駅は地表式で2面3線を計画。それぞれの駅にはエレベーターを設置し、バリアフリーに対応します。

上瀬谷ライン地下区間
画像:(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業環境影響評価方法書

上瀬谷ライン断面図
画像:(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業環境影響評価方法書

上瀬谷駅の先には上瀬谷車両基地(仮称)も整備します。構造は地表式で、車両の点検や留置、試運転等を主な用途とし、点検線や留置線、変電所、管理棟等を設けます。面積5.1haは、東京ドームの建築面積(4.7ha)に匹敵する広さです。

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72mのホーム長

注目は編成車両数で、約8.5mの車両を最大8両編成とします。このため、瀬谷、上瀬谷駅のホーム長さは約72mもあります。日本の新交通システムは4~6両程度が一般的で、8両編成が走れば、新交通システムとして日本最長となります。

運転本数は1日上下414本を計画していて、朝ラッシュ時の最大運転本数は上下36本です。つまり、1日18時間運行とすると、平均毎時11.5往復。日中時間帯に限れば、6~8分間隔での運転を想定しているとみられます。

設計最高速度60km/hです。瀬谷~上瀬谷間に途中駅はないことから、所要時間は5分程度になりそうです。

開業予定は2026年度です。花博開幕が2027年春なので、それまでに開業することを目標としています。

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環状4号線へ延伸か

以上が方法書に書かれた概要です。注目点は最長8両編成対応と、上瀬谷駅の2面3線の構造でしょうか。どちらも距離2km程度の路線にはオーバースペックで、明らかに延伸を意識した構造となっています。

延伸先は環状4号線の空間を利用して十日市場、青葉台方面か、長津田方面が構想されているとみられます。8両という大きな輸送力を備えているということは、将来的には長大な路線になることもあり得ると、横浜市は考えているのでしょう。

一方で、瀬谷駅が2面1線と、貧弱な設備なのが気になります。上瀬谷駅の2面3線は、長津田方面からの列車が折り返すことを想定しているのかもしれません。

2020年6月30日に開かれた横浜市議会の建築・都市整備・道路委員会で、市側は延伸に「未定」と答弁しています。現時点では、延伸については国の交通政策審議会答申に書かれていないため、市として明確な延伸構想を公表するわけにはいかないようです。

開業時に8両編成で運転することはおそらくなく、当面は瀬谷~上瀬谷間の短区間を、4両編成程度の車両が行き来することになりそうです。(鎌倉淳)

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