国土交通省は、2027年度予算の概算要求に「常磐線アクセス改善調査事業」を盛り込みました。福島県浪江町で整備が進む研究拠点へのアクセス向上を目的に、いわき以北の常磐線の利便性改善策を探ります。
常磐線アクセス改善に4300万円
国土交通省は、2027年度(令和9年度)鉄道局関係予算概算要求に、「常磐線アクセス改善調査事業」を新たに盛り込みました。
国費4300万円を要求し、「福島国際研究教育機構(F-REI)の施設整備も見据え、復興庁等と連携して、常磐線のアクセス改善策についての調査及び検討を行う」としています。
F-REIとは、東日本大震災と原子力災害からの復興を目的に設立された研究機関です。福島県浪江町に本部を置き、世界水準の研究開発や人材育成、研究成果の産業化などを目指しています。
この施設はJR常磐線浪江駅の西側で整備が進められています。浪江駅は、いわき駅から北へ約80kmに位置し、東京方面からは常磐線を経由してアクセスします。

いわき以北の利便性が課題
F-REIの施設整備はすでに始まっており、2030年度までに浪江町の本部・研究施設がおおむね完成する予定です。施設整備の進展にあわせて、首都圏などからのアクセス改善が課題となっています。
常磐線では、東京方面からいわきまでは特急「ひたち」が頻繁に運行されていますが、いわき以北へ直通する列車は限られています。
現在、浪江駅を経由して東京~仙台間を直通する特急「ひたち」は1日3往復です。そのため、東京方面から浪江へ乗り換えなしで移動できる列車は多くありません。
2026年5月の衆議院の委員会でも、F-REIへの交通アクセスについて議論があり、政府側は常磐線を重要な交通手段としたうえで、「首都圏から時間がかかる」「特急の本数が少ない」といった声があることを認めています。
震災後に設備を簡素化
地元でも、以前から、常磐線の利便性向上を求める声が出ています。
福島県市長会は国への要望で、浜通り地方から首都圏への早朝・夜間の特急増便や運行時刻の見直し、浜通りと仙台を結ぶ快速列車の新設などを求めています。
ただ、いわき以北では震災後、復旧の段階で設備を簡素化していて、ダイヤを作成するうえでの制約が生じています。
大野~双葉間は、震災前は複線でしたが、2020年の復旧時に単線化され、大野、双葉両駅も列車交換ができない構造となりました。そのため現在は、夜ノ森~浪江間の約15.6kmにわたって列車交換ができません。
国交省は今回の調査内容を明らかにしていませんが、こうしたボトルネック区間の改善を図るため、交換設備の増強などが検討課題になるかもしれません。(鎌倉淳)




















