石垣市が、台湾の基隆市とを結ぶフェリーの定期航路の開設を検討する委員会を設置します。石垣~台湾航路の復活への期待が高まりそうです。
石垣市が検討委員会を開設
石垣市の中山義隆市長は、同市と台湾の基隆市を結ぶ定期航路の開設を検討する委員会を設置すると発表しました。7月から月1回程度の会議を開催し、早ければ年内に報告書を取りまとめます。
航路で使用する船舶として候補に挙がっているのは、「ナッチャンRera」(10,702㌧)。かつて東日本フェリーが青函航路に投入していた高速フェリーで、最大速力約37ノット(約68.5km/h)という韋駄天ぶりで名を馳せました。
青森港~函館港間を最短1時間45分で結び、カーフェリーとしては日本最速のスピードを誇りました。しかし、運賃が高額なこともあって定着せず、わずか1年あまりで撤退。船体は台湾企業に売却されています。
その後、台湾企業と沖縄企業が共同で、ナッチャンReraを花蓮~石垣航路に就航させる計画を発表。2016年には、実際に石垣港に入港しています。しかし、定期運航には至っていません。
片道4~5時間
石垣市では、改めて検討委員会を設けて、ナッチャンReraの石垣就航を議論します。検討委には国、沖縄県、石垣市、金融機関、観光関係、民間の船舶会社などがメンバーとして参加します。
実現すれば、石垣~基隆間の約230kmが、片道4~5時間で結ばれるということです。
約15年ぶり
石垣~台湾間には、かつて有村産業が定期航路を開設していました。この航路は、名古屋港を起点に、大阪、那覇、平良(宮古島)、石垣を経て台湾の基隆港に至る壮大な路線でした。
しかし、有村産業が2008年に破産すると、この航路も消滅。現在、石垣~台湾間に旅客航路はありません。
「ナッチャンRera」による航路が実現すれば、約15年ぶりの日台海上航路の再開となります。ぜひ、実現を期待したいところです。(鎌倉淳)