トーマスクックの「ヨーロッパ鉄道時刻表」が廃刊。書泉グランデで感じた「世界から紙の時刻表」が消えていく!

トーマスクック社の「Thomas Cook European Rail Timetable」が2013年8月刊を以て廃刊されることになりました。これにともない、その日本版である「「トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 日本語解説版」も休刊を決めました。事実上の廃刊です。

トーマスクックの時刻表といえば、19世紀に創刊された伝統ある国際時刻表です。これを手にしてヨーロッパを旅した日本人も多いのではないでしょうか。それが廃刊になるということについては、欧州よりも日本において衝撃をもって受け止められているようです。

ヨーロッパ鉄道時刻表

最終号となった「トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 2013夏・秋」

インターネットの普及と、ウェブの検索性能の向上により、時刻表は世界的にウェブ版が主流になっています。鉄道発祥地ヨーロッパでも、その流れには抗えなかったということでしょう。「紙の時刻表」は、鉄道会社が配る無料の冊子では各地に健在ですが、商業書籍としての生き残りは難しくなっているようです。

では、いま、世界にはどのくらい「商業書籍の時刻表」が残されているのでしょうか。明確なデータがないため、ためしに書泉グランデに行ってみました。すると、トーマスクックの他には「台湾時刻表」(日本語版)とタイの時刻表があるだけです。タイの時刻表は現地で無料配布されているものを集めて有料販売しているだけですので、商業書籍ではありません。

一昔前は韓国や中国の時刻表が販売されていましたが、韓国では商業書籍の時刻表はすでに廃刊になったようです。中国はまだあるようですが、書泉には在庫がありませんでした。世界から紙の時刻表が消えつつあることを実感します。

ひるがえって、日本には商業書籍の時刻表は健在です。月刊で百万部を超えていた往年の勢いはありませんが、それでもまだ平均で十数万の部数は維持しているようです。日本の場合、趣味で購入する層が分厚く存在するためでしょう。

ひょっとしたら、日本は世界で最後まで「紙の時刻表」が生き残る国になるのかもしれません。

追記:「ヨーロッパ鉄道時刻表が新会社により復刊へ。2014年2月にも出版。日本語版はどうなる?」もお読みください。

広告
前の記事2015年の世界文化遺産候補は「長崎教会群」と「九州・山口の産業革命遺産」の一騎打ち。「長崎」が有力か。
次の記事タイ航空が日本路線を大増強。関西~バンコク線にA380就航。成田線はA380を1日2便化。仙台線も開設。札幌線も増便。