「ボストン美術館展」は中止決定。「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」はどうなる?

博物館、美術館特別展、中止・延期相次ぐ

東京都美術館で開催予定だった「ボストン美術館展」の中止が決まりました。新型コロナウイルスの感染が広がるなか、博物館、美術館の展覧会は延期や中止が相次いでいます。

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作品輸送のメドが立たない

東京都美術館は、同館で開催予定だった「ボストン美術館展 芸術×力」について、開催を中止すると発表しました。日米両国の新型コロナウイルス感染拡大の影響のため、現段階で作品輸送のメドが立たないことが理由です。

「ボストン美術館展」は、2020年4月16日から7月5日までの会期を予定していましたが、アメリカ本国のボストン美術館が休館になったため、3月19日に開幕延期を決定。5月中旬の開幕を目指して調整を進めていました。しかし、事態の収束が見えないなか、最終的に中止の判断となったものです。

同展では、展覧会では、エジプト、ヨーロッパ、インド、中国、日本などの各地域で生み出された約60点の作品を紹介する予定で、平安時代の「吉備大臣入唐絵巻」、鎌倉時代の「平治物語絵巻」などの出展で注目されていました。

ボストン美術館展中止
画像:東京都美術館ウェブサイト

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展はどうなる?

新型コロナウイルスの感染拡大と、政府による緊急事態宣言の発出により、博物館、美術館は全国的に閉館しています。そのため、「ボストン美術館展」以外にも、展示中止となったり、開催延期になった展示会が多数あります。

なかでも代表格ともいえるのが、国立西洋美術館で開催予定だった「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」でしょう。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、言わずと知れたヨーロッパを代表する美術館の一つです。同館は、海外で所蔵作品展を行うことに消極的で、今回の特別展は、「世界初の海外大規模展覧会」とも評されていました。

フェルメール、レンブラント、モネ、ルノワールなど、全61点すべてが日本初公開ということもあり、前売り券を買って楽しみにしていた人も多いでしょう。

国立西洋美術館での東京展と、国立国際美術館での大阪展が予定されていて、東京展の開幕は2020年3月3日とされていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同館は2月29日から臨時休館に。ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の開幕4日前のことです。

当初、同館は3月16日までの休館予定でしたが、その後延期され、現在まで休館しています。ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(東京展)の会期末は6月14日。大阪展は7月7日~10月18日の予定です。しかし、実際に開催されるのか、現段階では見通せません。

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ピーター・ドイグ展は3日で休展中

兵庫県立美術館の「ゴッホ展」は、本来の会期末である3月29日を待たずに繰り上げ終了。東京国立近代美術館の「ピーター・ドイグ展」は、2月26日に開幕したものの、3日後の29日から臨時休館。会期は6月14日までです。

東京国立博物館で開催予定だった「法隆寺金堂壁画と百済観音」は中止が決定。3月13日~5月10日の日程でしたが、4月10日に中止が発表されました。

国立新美術館で6月3日から開催予定だった「ファッション・イン・ジャパン」は開催の延期を決定。新たな会期は2020年秋以降に告知される予定です。

「3密」なだけに

みなさんご存じの通り、博物館・美術館の特別展は混雑します。とくに注目の大型展となると、展示会場は大混雑します。注目の展示物の前には人だかりができ、「密閉」「密集」「密接」の3密状態は避けられません。となると、新型コロナウイルス感染症が完全に収束するまでは、開催はなかなか難しいと言わざるを得ません。

延期できるものはまだいいのですが、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」のようなレアな超大型展で、作品を海外から搬入してしまった場合、簡単に延期というわけにもいかないとみられます。

ファンとしては開催して欲しいところですが、今回ばかりは事情が事情です。最終的にどのような形で決着するのか、現段階では見通せません。

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