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タイバーツが史上最高値圏。4.7円台、ビッグマックは日本の1.4倍に

気軽に旅行できなくなる?

タイバーツが史上最高値を更新中です。10月8日には4.7円台に乗せ、ビッグマックは日本の1.45倍になりました。これからのタイは、日本人が気楽に旅をできる国ではなくなっていくかもしれません。

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変動相場制移行以来の最高値

外国為替市場でタイの通貨バーツが上昇しています。2025年10月8日には、1バーツ4.7円台に乗せ、タイバーツの変動相場制移行(1997年7月)以来の最高値を更新しました。

タイバーツは、対ドルでも値上がり傾向で、2025年9月には1ドル=31バーツ台に達し、2021年6月以来およそ4年ぶりのバーツ高・ドル安水準となりました。直近ではドルが復調してきましたが、それでも1ドル32バーツ台にとどまっています。

一方、日本円は、自民党で高市早苗新総裁が選出され、緩和的な政策が採られることを見越して、円が売られています。

そのため、対バーツでも値下がりし、ついに1バーツ4.7円台に達しました。4.7円台は、1997年のアジア通貨危機で、タイバーツが変動相場制に移行して以来の最高値です。

タイ・スコータイ遺跡

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ビッグマックは700円

2000年以降のタイバーツの相場と言えば、1バーツ=2.5~3.5円くらいだったと記憶している方も多いでしょう。タイの経済成長により、じりじりとバーツ高になっていましたが、それでも、タイを訪れると、日本よりは物価が安いと感じられたものです。

しかし、最近は様相が異なります。たとえば、タイのマクドナルドのビックマックは149バーツで、1バーツ4.7円ならば、日本円にすると約700円です。

日本のマクドナルドのビックマックは単品で480円ですので、「ビックマック指数」でみると、タイの物価は日本の1.45倍になっています。

もちろん、タイにおけるマクドナルドと、日本におけるマクドナルドの立ち位置は異なりますし、ビックマックの相対的な商品価値にも違いがあります。それでも、ビックマックが日本より1.45倍というのは、ちょっと驚かされます。

日本人がバンコクに行き、ビッグマックを注文すると、「高い!」と感じるわけです。逆に、タイ人が日本でビックマックを注文すると「激安!」と感じるのではないでしょうか。

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タイ人旅行者は増えそうで

ちなみに、タイの1人あたりGDPは7,500ドル程度で、日本(32,500ドル)の4分の1程度です。したがって、タイ人の平均的な所得水準が日本を上回っていることはありません。

ただ、タイは日本より貧富の差の大きい国で、富裕層が集まるバンコク中心部の物価水準が、日本に近づいているのは確かでしょう。昔に比べれば、「気軽に旅ができる国」ではなくなりつつあるようです。

一方、タイ人からすれば、以前に比べて、日本は手軽に旅行できる国になりつつあるわけです。日本を訪れるタイ人旅行者は、ますます増えそうです。(鎌倉淳)

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