熱海市が、熱海駅から海岸部を経て熱海港方面を結ぶ「自走式ロープウェイ」の導入を検討します。米国のSwyft Cities(スウィフト・シティーズ)が提供する「Whoosh」(ウッシュ)と呼ばれるシステムです。
「日本初」の導入を検討
熱海市の齊藤栄市長は、9月29日に開かれた市議会定例会の所信表明で、「日本初の自走式ロープウェイ方式の導入を検討します」と表明しました。
検討しているのは、熱海駅から海岸線沿いを通って熱海港方面へ向かうルートです。道路上空などを活用した立体的な交通手段を導入し、既存道路の渋滞の影響を受けにくい公共交通を確保する狙いです。
熱海は駅が高台にあり、海岸部との高低差が大きく、市街地には狭い道路も少なくありません。ロープウェイの導入により、観光客の市内回遊を促すほか、住民の坂道移動の負担軽減を図ります。

LRT構想のルート
熱海市では、2019年に「熱海港湾エリア賑わい創出整備計画」を策定し、そのなかで、新たな交通システムとしてLRTの導入を検討していました。熱海駅直下のサンビーチ付近から、海岸線に沿って、熱海港に至るルートです。熱海駅とはエスカレーターで接続します。
自走式ロープウェイ構想のルート案は公表されていませんが、エスカレーターとLRT構想のルートをあわせた形が想定されているとみられます。

小型車両が個別に走行
市が導入を検討しているシステムは、米国のSwyft Cities(スウィフト・シティーズ)が提供する「Whoosh」(ウッシュ)です。
一般的なロープウェイのように、複数の搬器を一本の索条で循環させる方式とは異なり、小型車両が個別に走行します。
ケーブルとレールを組み合わせて走行路を構築し、レール区間では曲線や分岐を設けることができます。複数の駅を設けながら、目的地に応じて車両をオンデマンドで運行できる仕組みです。

性能・安全性を検証へ
ウッシュは開発中のシステムです。最初のプロジェクトとして進められているのはニュージーランドのクイーンズタウンで、2025年9月に道路・上空利用について地元自治体の許可を得たと報じられました。
当然、国内での実績もないため、熱海市で導入する場合も、技術面や制度面の検証が必要になります。
熱海市は、2026年6月市議会で、「走行性能や複数車両運行時の安全性、制御性をパイロットシステムの設置を通じて検証する」と説明しています。
あわせて、道路占用や建築基準、景観、消防などの法制度を整理します。需要予測のほか、建設費や維持管理費、運営主体、災害時の対応についても検討します。
国土交通省など関係機関との協議や、有識者による第三者的な検証体制の構築も進めます。
現時点では、具体的な駅位置や事業費、事業主体、開業時期などは明らかになっていません。まずはウッシュの海外での導入事例をみてからになりそうですが、実現すれば、熱海の観光を一新させる交通機関となりそうです。(鎌倉淳)





















