政府は、空港アクセス鉄道の建設を支援する新制度について、政令を閣議決定しました。鉄道・運輸機構を通じて、整備資金の借入利子を補給する仕組みです。熊本県が計画する阿蘇くまもと空港アクセス鉄道への適用が見込まれ、国の支援額が従来制度より約50億円増える見通しです。
空港アクセス鉄道の利子補給を制度化
政府は2026年10月30日、「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定しました。11月5日に公布・施行します。
今回の政令改正は、鉄道・運輸機構(JRTT)が「空港アクセス鉄道整備費利子補給金」を交付できるようにするものです。
国は2026年度予算で、空港アクセス鉄道の整備や機能強化を促進するため、利子補給制度を創設しました。今回の改正によって、国から鉄道・運輸機構に交付した資金を、同機構が鉄道事業者に利子補給金として交付する仕組みを整えます。
利子補給は、鉄道の建設資金を借り入れた際に発生する利息の負担を軽減する制度です。建設費を直接補助する従来の制度とは異なる形で、鉄道整備を支援します。

熊本空港アクセス鉄道に適用へ
新制度の適用が見込まれる事業の一つが、熊本県の阿蘇くまもと空港アクセス鉄道です。
熊本県は2026年9月1日の県議会高速交通ネットワーク整備推進特別委員会で、国土交通省から利子補給を主体とする新たな支援メニュー案が示されたことを報告しました。
支援メニュー案は、事業会社や県の借入金に対する利子補給を中心に、車両購入費の2分の1を補助する制度や、鉄道駅などの拠点整備費の2分の1を補助する制度を組み合わせるものです。
熊本県の試算では、事業会社と県の借入金計約430億円に対して、支払利子が約230億円発生すると見込んでいます。新たな支援メニューでは、このうち、国が約90億円を利子補給する想定です。
新たな支援メニューによる国の支援総額は、補助金と利子補給とをあわせて、約120億円となります。

従来の補助制度より支援額増加
当初、熊本県は、アクセス鉄道の整備にあたり、空港アクセス鉄道等整備事業費補助を想定していました。ただ、この補助率は18%と低めです。このため、県では、この補助率を3分の1まで引き上げるように求めていました。
これに対し、国が提示したのが今回の支援メニューです。これにより、18%補助の場合の約70億円に比べると、支援額は約50億円増える計算です。
これにより、国の支援率は実質的に3割程度となります。求めていた補助率3分の1には及ばないものの、それに近い実質的な補助率となり、県の実質負担額は約520億円から約470億円へ軽減されると試算しています。

なお、これらの金額は、熊本県が9月に示した支援メニュー案に基づく試算です。今回の政令改正は利子補給制度を実施するためのもので、熊本県への個別の交付額を決定したものではありません。
2034年度の開業を目指す
阿蘇くまもと空港アクセス鉄道は、JR豊肥本線の肥後大津駅から阿蘇くまもと空港までを結ぶ、約6.8kmの新線計画です。概算事業費は約610億円で、2034年度末の開業を想定しています。
熊本県は、半導体関連産業の集積や空港利用者の増加に対応する交通手段として整備を進めています。

1日6,500人の利用見込む
2026年9月に公表した需要予測では、利用者数を1日約6,500人と見込んでいます。事業収支については、営業収支の累積黒字化を開業27年目、資金収支の累積黒字化を開業15年目と試算しています。
10月には整備主体となる「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道株式会社」を設立しました。今後は鉄道事業許可などの手続きを進め、2027年度からの整備着手を目指します。(鎌倉淳)






















