航空会社「定時運航率・欠航率ランキング」2020年版。中堅航空会社が好成績

低欠航率首位は意外にも?

2020年3月までの航空会社別「定時運航率」「欠航率」の統計がまとまりました。定時運航率ではスカイマークがスターフライヤーをしのぎ3年連続の首位。中堅航空会社は全体に好成績でした。

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国土交通省の2019年度統計

航空会社の国内線の「定時運航率」と「欠航率」は、国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」で公表されています。2020年発表の最新のデータとして、2019年度(2019年4月~2020年3月)の数字がまとまりました。

ここでは、その数字をランキングにまとめて、順にみていきます。なお、統計上の「日本航空」は、日本航空、ジェイエア、北海道エアシステムの合計、「全日空」は、全日本空輸、ANAウイングスの合計です。また、バニラエアは2019年9月を以て運航を終了しています。

この統計では、客席数が100または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用する航空会社のみが対象ですので、小型機使用のフジドリームエアラインズやアイベックスなどは対象外です。

スカイマーク

2019年度定時運航率ランキング

まずは、定時運航率をみてみましょう。

2019年度定時運航率ランキング(単位:%)
順位 航空会社名 2019年度 2018年度
1位 スカイマーク 95.02 93.91
2位 スターフライヤー 94.72 93.88
3位 エアドゥ 93.13 90.76
4位 ソラシドエア 91.66 87.16
5位 日本航空 89.55 89.91
6位 全日空 88.53 90.51
7位 日本トランスオーシャン航空 87.95 80.39
8位 エアアジア・ジャパン 85.58 88.63
9位 バニラエア 80.83 79.33
10位 春秋航空日本 80.77 85.08
11位 ジェットスター・ジャパン 79.90 81.58
12位 ピーチ 78.41 82.61
平均 88.91 89.40

 

定時運航率は、出発予定時刻より15分以内に出発した便のことをいいます。「出発」とはブロックアウトした時間。つまり、機体が動き出した時間のことです。定時運航率は運航した便に対する率ですので、欠航は反映していません。

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スカイマークが首位を死守

今回の統計の注目点は、2017年度に初めて定時運航率で首位に立ったスカイマークが、3年連続でその地位を維持できるか、という点でした。結果は、スターフライヤーを0.3ポイント差でしのぎ、首位を死守しました。定時運航率95%というのは、遅延便が20便に1便ということで、驚異的な数字といっていいでしょう。

スターフライヤーも94%台に乗せ、定時運航率を向上させたのですが、わずかに及びませんでした。ただし、第一四半期と第二四半期では、スカイマークより高い定時運航率を達成しています。2019年度の上半期に限れば、スターフライヤーが首位でした。

3位にはエアドゥ、4位にはソラシドエアと、中堅航空会社4社が上位に並びました。続いて、日本航空と全日空が5位、6位と続きます。日本航空と全日空は、前年から順位が入れ替わりました。7位に、JAL系列の日本トランスオーシャン航空が続きます。

LCCが下位に

8位以下はLCCが並びます。LCCでは、エアアジア・ジャパンの8位が最上位でした。85%台とLCCにしては好成績を残しています。ただ、エアアジア・ジャパンは航空会社としての規模が小さいので、他社との単純比較はできません。

9位が9月に運行終了したバニラエア、10位の規模が小さい春秋航空日本です。2大LCCはジェットスター・ジャパンが11位、ピーチが最下位の12位。ともに80%に届きませんでした。

まとめると、中堅航空会社が上位、大手航空会社が中位、LCCが下位に並んだわけで、これだけくっきりと傾向が出るのは興味深いところ。スカイマークが近年、定時運航率の向上に力を入れていますが、競合する他の中堅航空会社がそれに引っ張られる形で好成績を収めた、という側面もありそうです。

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2019年度欠航率ランキング

次に2019年度の欠航率を見てみましょう。欠航率は低い方が優秀なので、「低欠航率」という形でランキングしてみます。

2019年度低欠航率ランキング(単位:%)
順位 航空会社名 2019年度 2018年度
1位 バニラエア 0.63 2.12
2位 スカイマーク 0.83 1.15
3位 エアドゥ 1.00 1.75
4位 スターフライヤー 1.00 1.37
5位 春秋航空日本 1.01 1.23
6位 ピーチ 1.03 1.96
7位 全日空 1.09 2.09
8位 エアアジア・ジャパン 1.17 1.43
9位 ソラシドエア 1.23 1.44
10位 日本トランスオーシャン航空 1.26 1.87
11位 日本航空 1.29 1.42
12位 ジェットスター・ジャパン 2.59 3.9
平均 1.21 1.81

 

心配なジェットスター

低欠航率の最優秀は、意外にもバニラエア。ただ、バニラエアは9月で運航が終了しており、欠航しやすい台風シーズンや冬季の運航が少なかったことを考慮すると、参考記録といえそうです。

となると、事実上の低欠航率ナンバーワンはスカイマークです。つまり、定時運航率、低欠航率という運航の安定性を示す二つの基準で、スカイマークが良好な数字を残したことになります。

LCCでは、ピーチが欠航率1.03%と良好な数字を残した一方で、ジェットスターは2.59%と飛び抜けて悪い数字でした。大手では日本航空が1.29%と厳しい数字で11位に沈みました。

欠航率でも、中堅航空会社は全体に好成績でしたが、定時運航率ほど「大手」「中堅」「LCC」の3形態ではっきりと分かれませんでした。

全体をまとめると、運航安定性で安心感が高いのはスカイマーク、ちょっと心配なのがジェットスター・ジャパン、ということになりそうです。

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