楽天が「旅行業界2位」に浮上。取扱額でKNT-CTを抜く。旅行業社取扱額ランキング2016年度版

旅行業者取扱額の2016年度の統計がまとまりました。JTB、KNT-CTといった業界上位企業が前年度比で減少にとどまった一方、「楽天トラベル」でおなじみの楽天はふた桁の伸びで5000億円台に乗せました。KNT-CTと入れ替わり、「業界2位」に浮上しています。

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JTBが圧倒的首位

観光庁では、主要旅行業者の取扱額を毎月公表しています。その2016年度(2016年4月~2017年3月)の統計がまとまりました。それによりますと、JTBが前年度比94.1%と苦戦したものの、1兆4771億円で圧倒的首位を堅持しています。

一方、2位のKNT-CT(近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム)は前年度比94.9%で5000億円を割り込み、4830億円となりました。前年度3位の楽天が前年度比111%で5568億円となったため、順位が入れ替わり、「業界2位」の座に楽天が就くことになりました。

楽天トラベルロゴ

旅行業者取扱額ランキング2016年度版

それでは、2016年度の旅行業者取扱額をランキングにしてみましょう。

なお、JTBは関連15社、KNT-CTは関連8社、H.I.S.は関連5社、阪急交通社は関連3社の合計です。表記会社名はわかりやすいように法人名ではなく、一般表記にしています。( )内は前年度比です。

国内+海外+外国人(インバウンド)の「総合」と、海外旅行、国内旅行の順にランキングを見ていきます。

2016年度旅行業者取扱額総合ランキング(国内+海外+外国人)

1位 JTB  1兆4771億円(94.1%)
2位 楽天 5568億円(111.8%)
3位 KNT-CT 4830億円(94.9%)
4位 H.I.S. 4388億円(102.5%)
5位 日本旅行 4267億円(99.8%)
6位 阪急交通社 3187億円(94.9%)
7位 JTBワールドバケーションズ 2047億円(92.8%)
8位 ANAセールス 1958億円(95.2%)
9位 JALパック 1796億円(102.0%)
10位 東武トップツアーズ 1390億円(93.9%)

国内旅行、海外旅行、外国人旅行の全てをあわせた「総合ランキング」では、“ガリバー”とも称されるJTBが1兆円越えで、他社を大きく引き離します。統計上は別扱いになっていますが、JTBワールドバケーションズや、JTBビジネストラベルソリューションズをあわせれば、さらに差は広がるでしょう。

JTBを追うのが、楽天、KNT-CT、H.I.S.、日本旅行といったグループ。なかでも、5000億円を突破したオンライン旅行会社の国内最大手、楽天が抜け出してきた印象です。なお、この統計にはありませんが、リクルートが運営する「じゃらんnet」もおおむね4000億円台程度の取扱高と推測されます。

少し離されて阪急交通社、さらにANA、JALの航空系旅行会社が続きます。そして、東武トラベルとトップツアーが合併した東武トップツアーズが、ベスト10入りを果たしました。

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海外旅行ではH.I.S.が追い上げる

続いて、海外旅行ランキングを見てみましょう。

2016年度旅行業者取扱額ランキング(海外旅行)

1位 JTB 4139億円(95.9%)
2位 H.I.S. 3552億円(102.9%)
3位 JTBワールドバケーションズ 2047億円(92.8%)
4位 阪急交通社 1869億円(93.0%)
5位 KNT-CT 1395億円(96.8%)
6位 日本旅行 1166億円(96.7%)
7位 JTBビジネストラベルソリューションズ 611億円(102.0%)
8位 JALパック 539億円(95.7%)
9位 DeNAトラベル 489億円(110.7%)
10位 日新航空サービス 441億円(100.6%)

こちらも、JTBがトップに違いありませんが、H.I.S.も前年度比2%増で追い上げており、総合ランキングに比べれば差は小さいです。3位のJTBワールドバケーションに次いで、阪急交通社が4位に食い込んでいるのは、格安ツアー「トラピックス」の強さでしょうか。

航空系ではJALパックが8位に入った一方で、ANAセールス(205億円)は10位圏外です。海外旅行ではJALブランドは依然として強いようです。

前年度比10%増と急成長しているのは、9位に顔を出したDeNAトラベル。エアーリンクというベンチャー系旅行会社の伝統を受け継ぐ会社ですが、現在はオンライン旅行業務へ幅を広げ、堅調なようです。

国内は楽天が「2位固め」

最後に、国内旅行取扱額ランキングを見てみましょう。

2016年度旅行業者取扱額ランキング(国内旅行)

1位 JTB 9772億円(92.0%)
2位 楽天 5141億円(109.7%)
3位 KNT-CT 3235億円(92.5%)
4位 日本旅行 2743億円(99.3%)
5位 ANAセールス 1740億円(95.9%)
6位 阪急交通社 1290億円(97.3%)
7位 JALパック 1257億円(105.4%)
8位 東武トップツアーズ 1017億円(94.2%)
9位 JR東海ツアーズ 934億円(96.4%)
10位 名鉄観光サービス 763億円(101.7%)

海外旅行に強いH.I.S.が、国内旅行ではランク外なのに対し、楽天が2位。KNT-CT以下を引き離しつつあり、盤石の「2位固め」をしているように見えます。ただ、統計には出ていませんが、本当の3位はおそらく「じゃらんnet」を擁するリクルートではないかとみられます。

9位にはJR東海ツアーズが食い込みました。東海道新幹線関連のツアーで強みを発揮している会社です。JR東日本の「びゅう」がどれほどかも興味深いですが、観光庁の統計には出てきません。(鎌倉淳)

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