ホーム 鉄道

富山県の「鉄道水準」がまた上がる。富山地鉄、不二越上滝線で大増発計画

日中30分間隔に

富山地方鉄道の不二越上滝線について、30分間隔でのパターンダイヤの導入を目指すことが決まりました。ラッシュ時には15分間隔での運行を目指します。富山県は近年、鉄道ローカル線の利便性向上に力を入れていますが、不二越上滝線でも「水準」が上がりそうです。

広告

再構築検討会

富山地方鉄道不二越上滝線は、稲荷町~南富山~岩峅寺間を結ぶ路線です。全列車が電鉄富山駅発着で、富山市の南部を走り、岩峅寺駅では立山線に連絡します。

富山県では2026年7月21日に、富山地方鉄道鉄道線再構築検討会を開催し、不二越上滝線部会では、具体的な鉄道活性化施策が公表されました。

まず、鉄道活性化の前提となる「まちづくり」について、不二越上滝線沿線を4つのエリアに分類しました。

稲荷町~南富山間が「既成市街地」、南富山~小杉間が「新興住宅地」、布市~月岡間が「田園地域」、大庄~大川寺間が「田園+旧市街地」です。

そのうえで、不二越上滝線を、市中心部と各地域を結ぶ「公共交通軸」として、重要な路線と位置づけました。

富山地方鉄道不二越上滝線再構築
画像:富山地方鉄道鉄道線再構築検討会・第1回不二越上滝線部会資料

 
広告

終日30分間隔に

施策では、それぞれの沿線まちづくりに必要なサービス水準として、「全区間において終日30分に1本のパターンダイヤ」を基本とする運行を掲げました。

稲荷町~岩峅寺間の運行本数は、現在、日中が60分間隔、ラッシュ時が30分間隔です。これを富山県や富山市の支援で大増発し、終日30分間隔のパターンダイヤの実現を目指すということです。運転本数はほぼ倍増なので、大増発計画といえるでしょう。

また、夜間の帰宅需要に対応するため、終電時刻の延長も検討します。

富山地方鉄道不二越上滝線

広告

市街化区域では15分間隔

さらに、不二越上滝線の市街化区域では、朝夕ラッシュ時に15分間隔(毎時4本)で運行する高頻度ダイヤを目指します。

富山市内の他の鉄道路線では、ラッシュ時に富山港線や富山地鉄本線(越中三郷~電鉄富山)で毎時5本、JR高山線(富山~越中八尾)で毎時4本となっています。

不二越上滝線でも、ラッシュ時に毎時4本へ増発し、富山市街地の他路線と同程度のサービス水準を確保する考えです。

広告

行違い設備や折返し駅も整備

増発を実現するため、施設整備も進めます。

計画では、運行の高頻度化に向けて交換設備を増設するほか、市街化区域の端部に折返し駅を整備する方針です。

折返し駅は未定ですが、用地確保のしやすさや他交通機関との接続性を考慮して決定するとしています。ラッシュ時の15分間隔は折返し駅までとなるので、どの駅が整備されるかは重要です。

市街化区域の南端は小杉駅ですが、折り返し設備はありません。隣の上堀駅にはかつて交換設備があり、その設備を復活させる可能性もあるでしょう。その場合、ラッシュ時15分間隔は、稲荷町~上堀間となりそうです。もちろん、もう少し南の駅になる可能性もあります。

このほか、増便に必要な車両の確保、駅のバリアフリー化やホーム上屋の整備、パークアンドライド駐車場の整備、駅へのアクセス改善、新駅整備なども検討事項として盛り込みました。

広告

鉄道高機能化に注力

富山県は全国に先駆けて地方鉄道の高機能化に取り組んできました。

代表例が、JR富山港線を富山ライトレールとして再整備したことでしょう。富山地方鉄道の市内線や富山港線は、現在でも、日中10分~15分間隔という高頻度運転を維持しています。また、高岡駅を起点とする万葉線も、おおむね15分間隔で運行されています。

JR高山線では、富山市の支援を受けて増発が実現しています。JR城端線・氷見線では、あいの風とやま鉄道との直通運転を軸とした再構築事業が進められており、増発も予定されています。

あいの風とやま鉄道でも、2024年に日中30分間隔に統一するパターンダイヤを導入し、利便性が向上しました。

広告

高いサービス水準

富山県内の公共交通は、全国の地方のなかでも高いサービス水準を確保しています。

こうした環境のなかで、不二越上滝線も、終日30分間隔のパターンダイヤを目指すわけです。

富山県では、鉄道の利便性向上と都市の再構築を一体的に進めることで、「公共交通を軸とした都市の再構築による拠点集中型のコンパクトなまちづくり」の実現を目指すとしています。

ローカル鉄道を単に維持するのではなく、都市鉄道に近い利便性を備えた「都市型路線」への転換を目指す取り組みです。不二越上滝線の再構築は、富山県が進める公共交通政策の新たな一歩となりそうです。(鎌倉淳)

広告
前の記事ニセコ「アンヌプリゴンドラ」更新へ。ビレッジには「コンビリフト」新設
旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。