名古屋鉄道広見線の新可児~御嵩間について、沿線自治体は「みなし上下分離方式」による鉄道存続に向けた協議を終了しました。これにより、同区間は廃止される方向です。
鉄道維持を断念
名鉄広見線は、犬山~新可児間22.3kmを結ぶ路線です。このうち新可児~御嵩間7.4kmは、長年赤字が続いていて、沿線自治体が名鉄と協定を締結し、運行を支援してきました。
しかし、名鉄が、今後は既存の協定では維持できないと表明。沿線自治体の御嵩町が中心となって、「みなし上下分離方式」による存続を模索してきました。
その協議の結果、みなし上下分離方式による鉄道維持を断念し、協議を終了することが明らかになりました。御嵩町は理由として、道路整備による自動車利用の拡大に加え、今後の人口減少や少子高齢化によって利用者増加が見込めないことなどを挙げています。

住民サービスへの影響避けられず
とくに、みなし上下分離方式については、沿線市町が担う“下”部分の財政的負担が年間3.4億円と大きく、他の住民サービスへの影響が避けられないことを挙げました。
また、鉄道を維持した場合の負担は、近年の物価高騰や人件費上昇により、今後さらに増える可能性があることや、災害時に復旧費用を負担する必要もあり、対応が難しいことなども付け加えました。
「存続」が基本方針だったが
同区間の輸送密度は、2022年度で1,672人キロです。鉄道単体での黒字化は難しいものの、昨今の運転士不足をみれば、バス転換も簡単な話ではないという、微妙な水準といえます。
そのため、検討を開始した2025年夏時点では、御嵩町は「鉄道存続」を基本方針としていました。
ただ、その段階でも財政的に厳しいことがわかっていたことから、「鉄道廃止・バス転換の可能性はゼロではない」と説明しており、最終結論は今後の協議次第としていました。
孤立無援で
最終的に、鉄道存続を諦めた背景として、沿線で最大の自治体である可児市が、既存の枠組み以上の支援はしない方針を崩さなかったことが挙げられます。
可児市としては、おもに御嵩町民の輸送を担う路線のために多額の負担をすることは難しく、さりとて御嵩町単独では鉄道維持の費用負担は重すぎます。
また、ローカル線の再構築をする場合、広域自治体の県の支援は不可欠ですが、おそらくは、岐阜県も財政的な負担をしない方針を示したのでしょう。孤立無援の御嵩町に、援軍は現れなかったということです。
2028年度末までの運行を要望
可児市は、名鉄に対し、当面、現協定で2028年度末までの運行継続を要望しています。当初協定は2025年度まででしたので、4年の延長となります。名鉄がこれを受けるかは、明らかではありません。
仮に名鉄が延長を受け入れたとしても、鉄道維持はあと3年弱です。バス運転士不足が深刻になるなか、1,700人程度の輸送密度の路線をバス転換するのも容易ではなく、今後、地元と名鉄が代替交通をどう用意するのかも焦点になりそうです。(鎌倉淳)
























