JR東日本、西武鉄道、つくばエクスプレス(TX)は、2026年3月14日に運賃を値上げします。JR東日本では、山手線内と電車特定区間の運賃区分廃止により、都心部の値上げ幅が大きくなっています。私鉄との競合区間の新運賃を比較してみましょう。
山手線内、電車特定区間廃止
JR東日本の2026年3月14日の運賃改定の平均値上げ率は、普通運賃が7.8%、通勤定期が12.0%、通学定期が4.9%となっています。初乗り運賃は現在の150円から160円になります。
ただ、平均値上げ率をみてもあまり意味がありません。今回の運賃改定の最大のポイントは、「山手線内」と「電車特定区間」という特別な運賃区分の廃止だからです。
これまでJR東日本の運賃体系は、以下の4種類に分かれていました。山手線内、電車特定区間、幹線、地方交通線です。
3月14日からは、山手線内と電車特定区間が廃止され、幹線運賃に統合されます。これにより、運賃の改定率は山手線内で16.4%、電車特定区間で10.4%と、幹線の4.4%、地方交通線の5.2%に比べて、突出して高くなっています。

特定区間も縮小
山手線内で最も値上げ率が高いのは16~20km区間で、これまでの280円が350円となり、25%の値上げとなります。品川~池袋間などが該当します。
利用の多い東京~新宿間など11~15kmの区間は、210円が260円となり、24%の値上げです。
また、私鉄との競合区間に設定していた「特定区間」も、大幅に縮小します。特定区間が撤廃された一部区間では、20~30%程度の大幅値上げになります。
以下では、JRと私鉄の競合区間の新価格を比較してみましょう。()内は3月13日までの運賃です。
都心区間
■東京~新宿、渋谷~上野
JR 260円(210円)
メトロ 210円
■上野~有楽町・新橋
JR 200円(170円)
メトロ 180円
■池袋~田町・三田
JR 350円(280円)
メトロ・都営 320円
■秋葉原~北千住
JR 210円(180円)
メトロ 210円
TX 320円(300円)
JRとメトロの競合区間では、多くの場合、メトロが安くなりそうです。池袋~田町のように、メトロ・都営を乗り継いでも、JRより安くなる場合もあります。
秋葉原~北千住は、これまで乗り換えが面倒でもJRのほうが安かったですが、これからは同額となります。
これからの都心移動を安く上げるには、地下鉄を活用したほうがよさそうです。
神奈川方面
■東京・大手町~武蔵小杉
JR 350円(320円)
都営・東急 450円
■東京・大手町~横浜
JR 530円(490円)
メトロ・東急 520円
都営・京急 570円
■品川~横浜
JR 350円(310円)
京急 320円
■渋谷~横浜
JR 440円(410円)
東急 310円
■新宿~横浜
JR 620円(580円)
メトロ・東急 490円
■品川~逗子
JR 810円(740円)
京急 620円
■渋谷~逗子
JR 1,040円(950円)
東急・京急 660円
■渋谷~二俣川
JR・相鉄直通 840円(800円)
東急・相鉄直通 640円
東急・相鉄横浜経由 520円
■新宿~二俣川
JR・相鉄直通 840円(800円)
小田急・相鉄 670円
■新宿~藤沢
JR 1,040円(990円)
小田急 610円
■新宿~小田原
JR 1,600円(1,520円)
小田急 910円
東京から神奈川方面は、同一区間なら私鉄優位が強まります。品川~横浜は逆転して京急が安くなりますし、渋谷・新宿~横浜では東急・メトロの優位性が高まります。
相鉄方面へは、JR相鉄直通線の割高感が強まります。渋谷~二俣川間で東急新横浜線との差が200円、横浜経由なら320円となります。新宿~二俣川間でも小田急で大和経由のほうが170円も安くなります。
JR相鉄直通線は、乗ってしまえば速くて快適ですが、運転本数が少ないため利便性に難があり、これだけ価格差が出ると苦戦が深まるかもしれません。
多摩方面
■新宿~八王子
JR 620円(500円)
京王 410円
■東京~八王子
JR 910円(830円)
メトロ・京王 620円
■渋谷~八王子
JR 810円(740円)
京王 410円
■新宿~拝島
JR 530円(490円)
西武 530円(450円)
多摩方面へは京王との競合区間が多いですが、新宿~八王子で210円の差が付きます。東京~八王子間に広げると、利便性では直通のJRが優位ですが、290円の運賃差が付きますので、価格で京王を選ぶ人が増えるかもしれません。渋谷~八王子は400円の大差です。
西武もJRと同じ3月14日に運賃を値上げします。普通運賃の値上げ率は11.9%で、JRに劣らない値上げをおこなうため、新宿~拝島間の価格は同じになります。
埼玉方面
■池袋~川越
JR 720円(680円)
東武 490円
■新宿~川越
JR 810円(770円)
西武 600円(520円)
メトロ・東武 590円
■東京・大手町~久喜
JR 910円(860円)
メトロ・東武 820円
埼玉方面は私鉄との競合区間が少ないですが、東武との競合区間では、東武の安さが目立つようになります。ただ、大宮や浦和あたりからは、JR以外の選択肢が事実上、存在しないため、値上げを受け入れるほかありません。
千葉方面
■東京~西船橋
JR 350円(320円)
メトロ 300円
■東京~船橋
JR 440円(410円)
メトロ・JR 450円
■東京・日本橋~千葉
JR 720円(660円)
メトロ・JR 650円(620円)
都営・京成 780円
■上野~成田
JR 1,230円(940円)
京成 860円
■東京・日本橋~成田
JR 1,170円
JR・京成(日暮里乗換) 1,000円(970円)
JR・京成(船橋乗換) 1,000円(970円)
都営・京成 1,020円
船橋へは、JRとメトロの差が縮まりますので、都心側の発着地に応じて、便利なほうを選ぶとよさそうです。
対京成では、成田方面へは、ルートの短い成田方面へは京成が有利ですが、千葉市方面へはJRの優位性に変わりはありません。
乗り継ぎでも私鉄が安い場合も
今回の運賃改定で、私鉄とJRの競合区間を直接比較すると、私鉄のほうが低価格の区間が多くなるでしょう。
いっぽう、JRには広域ネットワークを通算運賃で利用できるという強みがあります。そのため、複数の鉄道会社を乗り継がなければならない場合は、私鉄利用より全区間JRのほうが安いケースも少なくありません。
それでも、私鉄とJRの運賃差が200円を超えてくると、私鉄とJRや地下鉄を乗り継いでも、JRのみで行くより安くなる区間が増えそうです。とくに、都心部と郊外の間では、メトロ・私鉄の乗り継ぎのほうが、JRの通算運賃より安い場合が増えそうです。
乗換案内のアプリを使うと、到着時刻の早いルートが上位表示されることが多いですが、これからの東京圏の鉄道利用は、「最安値」を確認する習慣をつけたほうが良さそうです。(鎌倉淳)






















