新日本海フェリー、舞鶴~小樽航路「定員6割削減」の衝撃。新造船、LCCの影響か

乗用車積載数は半減

新日本海フェリーが、舞鶴~小樽航路に新造船を投入します。現行船より小型化し、旅客定員は約6割も削減します。

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2025年12月就航

新日本海フェリーが、舞鶴~小樽航路の使用船舶を更新すると発表しました。第1船は三菱重工業株式会社下関造船所で建造し、2025年12月に就航します。

新造船の全長は199.9m。約14,300トンで、航海速力は28.3ktです。積載台数はトラック約150台、乗用車約30台、旅客定員は286名です。

新日本海フェリー「はまなす」
写真は「はまなす」

 
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総トン数で15%小型化

現行の舞鶴~小樽航路で使用されているのは、「はまなす/あかしあ」(2004年就航)です。同船は、全長224.8m、16,897トンですので、新造船は総トン数で約15%小型化します。

積載台数は、現行船がトラック158台、乗用車65台ですので、新造船はトラックで同水準を維持するものの、乗用車の積載能力は半減します。

旅客定員に至っては、746名が286名になるので、約60%の減少です。

航海速力も、現行船が30.5ktですので、2ktほど遅くなります。総じて、新造船は全体においてダウンサイジングをするようです。

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小型化の流れだが

新造船は、現在、新潟~小樽航路に使われている「らべんだあ/あざれあ」(14,214t)と総トン数で同規模です。

「らべんだあ/あざれあ」は、2017年に登場した船舶ですが、旧船の「らいらっく/ゆうかり」に比べて小型化し、乗用車の積載台数と旅客定員を削減しています。

舞鶴~小樽航路も、そうした流れに沿った形で小型化するようです。

ただ、「らべんだあ/あざれあ」の旅客定員は、旧船の892名を600人にしただけです。それに比べると、今回の新造船の「6割削減」には驚かされます。

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LCCの影響か

なぜ、舞鶴~小樽航路は、大規模な旅客定員削減に踏み切るのか。おそらくは、LCCの普及による、乗用車を使わない単独旅客の減少でしょう。

旧船(はまなす/あかしあ)が就航した2004年は、格安航空会社(LCC)の登場前で、関西~北海道間の航空運賃は高額でした。それに対して、フェリーなら片道1万円以内で旅行でき、割安でした。

しかし、2010年代以降にLCCが普及した結果、飛行機でもフェリーと大差ない価格で、関西・北海道間を旅行できるようになり、所要時間で勝る飛行機に旅客が流れたとみられます。

単独旅客の利用者が減少し、今後も回復が見込めないことから、新造船の旅客定員を削減するのでしょう。

客室の詳細は明らかではありませんが、おそらくは個室化を進め、よりプライバシーや防犯性の高い客室を増やしていくと思われます。

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連絡バス廃止の可能性

トラック1台あたりの旅客が1名、乗用車が2名と仮定すると、新造船のトラック・乗用車の旅客定員は210名です。船全体の定員が286名ならば、単独旅客は差し引き76名となる計算です。

もちろんこれは仮定の計算ですが、単独旅客の利用者の受け入れ数が小さくなることは間違いありません。

となると、気になるのは、大阪・神戸~舞鶴港で運行されている連絡バスです。フェリーの単独旅客が100名以下になるのであれば、これらの連絡バスの利用者もかなり少なくなるでしょう。

すでに、舞鶴港発大阪行きは運休中ですが、連絡バスそのものが廃止される可能性もありそうです。

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関西・沖縄フェリーは廃止

関西発沖縄行きの旅客フェリーは、2017年に廃止されました。これもLCCの影響による旅客減少を受けたものでした。

関西発北海道行きフェリーは、トラックの需要があるので廃止されることはなさそうです。しかし、飛行機の低価格化が定着したため、旅客扱いは、今後も縮小していきそうです。(鎌倉淳)

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