山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」「さくら」の違い。料金、時間はどれだけ変わる?

初心者向けにわかりやすく

山陽新幹線を走るのは、「のぞみ」「みずほ」「さくら」「ひかり」「こだま」の5列車。その違いや、同じ部分について、初心者に向けてわかりやすく解説します。

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新大阪~博多間に5列車

山陽新幹線は、新大阪~岡山~広島~小倉~博多を結ぶ路線です。多くの列車が東海道新幹線(東京方面)から直通していますが、ここでは、おもに山陽新幹線区間についてご紹介します。

山陽新幹線を走るのは「のぞみ」「みずほ」「さくら」「ひかり」「こだま」の5つの列車です。列車により停車駅や車両、座席配置、指定席・自由席の両数が異なります。

大きく分けると、東海道新幹線に直通する16両編成の「のぞみ」「ひかり」と、九州新幹線に直通する8両編成の「みずほ」「さくら」があります。8両編成は、指定席が2列×2列シートでゆったりしています。

そのほか、山陽新幹線内のみを走る「ひかり」と「こだま」があります。「ひかり」は、前出の東京直通(16両)と、山陽新幹線内運転列車(8両)では、タイプが異なります。「こだま」は各駅停車です。

N700系新山口駅

 

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山陽新幹線各列車の停車駅の違い

山陽新幹線の5列車について、停車駅の違いを先にまとめてしまうと、以下のようになります。太字は全列車停車、並字は一部列車が通過します。

「のぞみ」号の停車駅

新大阪新神戸、姫路、岡山、福山、広島、徳山、新山口、小倉博多
※早朝の上りに西明石始発があります。

「みずほ」号の停車駅

新大阪新神戸、姫路、岡山、福山、広島、新山口、小倉博多

「さくら」号の停車駅

新大阪新神戸、姫路、岡山、福山、広島、徳山、新山口、小倉博多

「ひかり」号の停車駅(東京直通列車)

新大阪、新神戸、西明石、姫路、相生、岡山、新倉敷、福山、新尾道、三原、東広島、広島
※新大阪~広島間の全駅に停車。

「ひかり」号の停車駅(山陽新幹線内列車)

新大阪新神戸、姫路、岡山福山広島新山口小倉博多
※このほか、多数の駅に停車する「ひかり」号もあります。

「こだま」号の停車駅

新大阪、新神戸、西明石、姫路、相生、岡山、新倉敷、福山、新尾道、三原、東広島、広島、新岩国、徳山、新山口、厚狭、新下関、小倉、博多
※山陽新幹線の全駅に停車。

以下では、山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」「さくら」「ひかり」「こだま」について、停車駅以外の相違点と共通点をご紹介していきます。

山陽・九州新幹線路線図
画像:JRおでかけネット

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「のぞみ」号とは?

東海道・山陽新幹線を直通する速達タイプの列車が「のぞみ」号です。新大阪~博多間の所要時間は2時間28分程度です。

運転区間は、大きく分けて、東京~広島間(広島発着)と東京~博多間(博多発着)があります。全列車が停まる駅は、新大阪、新神戸、岡山、広島、小倉、博多です。そのほか、姫路、福山、徳山、新山口の各駅に停まる列車もあります。

運行本数は、定期列車が毎時3本程度で、うち2本が博多発着、1本が広島発着です。そのほか不定期列車(毎日運転しない列車)が6~7本程度あります。ただし、最大本数で運行するのは、限られた日や時間帯だけです。運行本数は毎日異なります。

16両編成で、自由席が3両、指定席が10両、グリーン車が3両です。ただし、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の、いわゆる「ピーク時期」には、指定席13両、グリーン車3両となり、自由席はありません。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~3号車)、普通車指定席(4~7、11~16号車)、グリーン車指定席(8~10号車)
※ピーク時期には、普通車自由席はなく、1~3号車も普通車指定席となる。

車内販売

グリーン車のみ。普通車の車内販売はなし。

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「みずほ」号とは?

山陽・九州新幹線の速達タイプの列車が「みずほ」号です。東海道新幹線(東京方面)には直通せず、九州新幹線(鹿児島中央方面)に直通します。新大阪~博多間の所要時間は2時間28分程度で、「のぞみ」号とほぼ同じです。

全列車が停まる駅は、新大阪、新神戸、岡山、広島、小倉、博多です。そのほか、姫路、福山、新山口の各駅に停まる列車もあります。

運行本数は、朝夕に毎時1本程度です。日中時間帯はあまり運転されていません。

8両編成で、自由席が3両、指定席が4.5両半、グリーン車が0.5両です。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~3号車)、普通車指定席(4~8号車)、グリーン車指定席(6号車)

車内販売

車内販売はなし。

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「さくら」号とは?

山陽・九州新幹線の準速達タイプの列車が「さくら」号です。東海道新幹線(東京方面)には直通せず、九州新幹線(鹿児島中央方面)に直通します。新大阪~博多間の所要時間は2時間36分程度です。「みずほ」より停車駅が多いぶん、少し時間がかかります。

全列車が停まる駅は、新大阪、新神戸、岡山、広島、小倉、博多です。そのほか、姫路、福山、徳山、新山口の各駅に、停まる列車もあります。

運行本数は日中時間帯に毎時1本程度です。朝夕は本数が増えます。

8両編成で、座席の種類は、自由席が3両、指定席が4.5両半、グリーン車が0.5両です。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~3号車)、普通車指定席(4~8号車)、グリーン車指定席(6号車)

車内販売

車内販売はなし。

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「ひかり」号とは?

山陽新幹線の「ひかり」号の位置づけは少し複雑です。大きく分けて「東京直通列車」と「山陽新幹線内列車」の2タイプがあります。

東京直通ひかりは16両編成、山陽ひかりは8両編成です。同じ列車名でもタイプが違うので、分けて説明します。

東京直通ひかり

東海道・山陽新幹線の準速達タイプの「ひかり」号です。東京~岡山間を結びます。上り列車の1本だけ、広島発があります。山陽新幹線内は各駅停車で、東海道新幹線区間では通過駅があります。

山陽新幹線内は、新大阪~岡山間で毎時1本を運行します。「のぞみ」通過駅から東京方面に向かうのに便利な列車です。

16両編成で、座席の種類は、自由席が5両、指定席が8両、グリーン車が3両です。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~5号車)、普通車指定席(6~7、11~16号車)、グリーン車指定席(8~10号車)

車内販売

なし。グリーン車に限り、スマートフォンで飲料や軽食などを注文可(モバイルオーダーサービス)。

山陽ひかり

山陽新幹線の準速達タイプの列車で、九州新幹線内に直通しない列車です。「さくら」号の九州新幹線に直通しないタイプと捉えてもいいでしょう。

おもに早朝と夜間に運行されています。準速達列車といっても、たとえば厚狭駅しか通過しない列車もあるので、ほとんど各駅停車に近い場合もあります。

8両編成で、座席の種類は、自由席が3両、指定席が4.5両半、グリーン車が0.5両です。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~3号車)、普通車指定席(4~8号車)、グリーン車指定席(6号車)

車内販売

車内販売はなし。

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「こだま」号とは?

山陽新幹線の各駅停車タイプの列車が「こだま」号です。所要時間は列車によって大きく異なりますが、新大阪~博多間の所要時間は4時間15分程度です。

「こだま」号は、全列車が山陽新幹線の各駅に停まります。運行本数は、定期列車が毎時1本程度です。日中時間帯は、おもに岡山~博多間で運転されます。朝夕は新大阪~博多間の列車もあります。

8両編成の場合、座席の種類は、自由席が5両、指定席が2.5両、グリーン車が0.5両です。ただし、一部列車(レールスター車両、500系)では、指定席が3両でグリーン車はありません。

列車によっては、自由席の一部車両が指定席に変更されたり、指定席の一部が自由席になっていることもあります。

座席の種類と号車

普通車自由席(1~3号車、7~8号車)、普通車指定席(4~6号車)
※6号車は半室グリーン車の場合あり。

車内販売

車内販売はなし。

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「のぞみ」「みずほ」と「さくら」「こだま」の料金差

山陽新幹線の料金は、自由席を利用すると、「のぞみ」「みずほ」「さくら」「ひかり」「こだま」とも同額です。

一方、普通車指定席とグリーン車を利用する場合、「のぞみ」「みずほ」に限り加算料金が設定されているため、「さくら」「ひかり」「こだま」とは料金が異なります。

「のぞみ」「みずほ」の指定席加算料金(さくら、ひかり、こだまとの差額)は以下の通りです。

▽新大阪・新神戸~姫路・岡山 320円
▽新大阪・新神戸~福山・広島 530円
▽新大阪・新神戸~新山口・小倉・博多 740円
▽福山・広島~小倉・博多 530円
▽徳山・新山口~小倉・博多 320円

参考までに、東京から山陽新幹線方面の加算料金は以下の通りです。

▽東京・新横浜~姫路・岡山 640円
▽東京・新横浜~福山・広島 850円
▽東京・新横浜~徳山・新山口・小倉・博多 1,060円

指定席・グリーン車を利用する場合、この加算分だけ、「のぞみ」「みずほ」の料金は「さくら」「ひかり」「こだま」より高くなります。

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山陽新幹線の使用車両

山陽新幹線で使用されている車両は、16両編成と8両編成の2タイプがあり、さらに種類が分かれます。

16両編成

16両編成車両は、N700A、N700Sの2種類があります。普通車13両、グリーン車3両となっていて、座席配置は基本的に同じです。(一部、車両により、車椅子スペースに違いがあります)。

最新型はN700Sで、「のぞみ」で使用されることが多いですが、「ひかり」で使用されることもあります。使用車両は時刻表に掲載されています。

8両編成

8両編成車両はN700系、700系、500系の3種類があります。N700系の6号車の半分だけがグリーン車になっていて、それ以外は普通車です。

ただし、普通車にも2種類あり、N700系と700系の4~8号車は2×2の座席配置(横2列ずつ)です。500系は4~6号車が2×2です。それ以外の普通車は3×2の座席配置(横3列と2列)です。

座席コンセント

座席コンセントの配置は、「のぞみ」「みずほ」「さくら」「ひかり」「こだま」といった列車種別には関係なく、車両によって異なります。

N700A、N700系は、モバイル用コンセントを普通車の窓側席と最前部・最後部の座席に設置しています。グリーン車は全席に設置しています。

N700Sは、モバイル用コンセントを普通車、グリーン車の全席に設置しています。

700系は普通車の最前部・最後部のみにコンセントがあります。500系はコンセントの設置はありません。

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「のぞみ」「みずほ」「さくら」の選び方

山陽新幹線での列車の選び方のポイントはいくつかあります。まず、東海道新幹線方面に直通して乗車する場合は、「のぞみ」か「東京直通ひかり」になります。

山陽新幹線区間のみ乗車する場合、ざっくりいえば、「指定席ならさくら」「自由席ならのぞみ」を選ぶといいでしょう。

理由を説明すると、まず、普通車指定席を選ぶ場合、「みずほ」「さくら」は2列×2列シートなのでゆったりしています。ただ「みずほ」は加算料金がかかるので、「さくら」のほうがお得です。

「のぞみ」は普通車指定席が3列×2列シートで加算料金もかかるので、お得さはありません。

自由席を利用するなら、「のぞみ」「みずほ」の加算料金がかかりません。座席も基本的には、どの列車も3×2列シートなので同じです。そのため、運行本数が多くて速い「のぞみ」がいいでしょう。自由席の両数は、「のぞみ」「みずほ」「さくら」とも同じ3両です。

新大阪から乗車する場合、「のぞみ」は始発ではないので席が確保しにくいイメージもありますが、新大阪で降りる人が多いので、空席がないわけではありません。乗車前に外から車内を確認してから乗るといいでしょう。新神戸や岡山で降りる人も多いので、仮に立っても、少しすれば座れる可能性が高いです。

所要時間は、「のぞみ」「みずほ」「さくら」の3者では、新大阪~博多間でも10分くらいの違いしかありません。

「こだま」停車駅は乗り継ぎで

「のぞみ」「みずほ」「さくら」通過駅を利用する場合は、「ひかり」「こだま」のどちらかになります。「ひかり」は岡山以西では運行本数が少ないので、「こだま」が基本になるでしょう。

ただ、「こだま」は岡山~博多間で運行している列車が多く、新大阪発着は限られます。そのため、新大阪方面から利用する場合、岡山や広島などで乗り継ぐことになります。

乗り継いだ場合でも運賃・料金は通算されますので、金額的に損をすることはありません。(鎌倉淳)


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