JR西日本が2017年春をメドに運行する豪華寝台列車の概要を発表しました。この列車は、京阪神を中心にJR西日本エリアの路線を走行するものです。JR九州の「ななつ星in九州」に続く、専用車両によるクルーズトレインです。
10両編成で定員は30名
注目はなんといっても車両です。JR西日本の発表によりますと、新造される車両は、客室車6両と、食堂車1両、ラウンジカー1両、展望スペース付き先頭車2両(編成の両端)からなる10両編成です。編成定員は全部で30名程度となりました。
画像:JR西日本プレスリリースより。以下全て
最上級の客室は1両1室とし、浴室にはバスタブが設けられます。客室内にバスタブがあるのは、現在ではインドの「マハラジャ・エクスプレス」だけだそうですから、この車両は世界屈指の豪華客車になります。それ以外の客室も、クルーズトレインらしく、1両3室と広くとってあります。
車内設備については、最上級車両のみがイラスト公開されました。注目点はいろいろありますが、なかでも両側に窓があるのがポイントです。
最上級車両は中間車両ですので、両側に窓があるということは、通路が階下にあることを示します。となると、この車両は2階建てなのでしょうか。実際、JR西日本が発表した構造図をよく見ると、客室のエントランス近くに階段らしきものが描かれています。
しかし、JR西日本が公開した動画を見ると、窓は両サイド対称に1階分のみ設けられており、2階建てには見えません。そこで、もう一度構造図をじっくり眺めてみると、客室の片側が、窓際に沿って一段高くなっていることに気づきます。この高くなっている段差を利用して、ベッドやソファが配置されています。すなわち、この段差の下が通路なのでしょう。となると、これは2階建てというよりは、ハイデッカー車という表現が適切です。
では、ハイデッカーなのはこの最上級客室のみなのでしょうか。動画を見る限り、最上級客室車両とそれ以外の客室の車両とで、外観に違いはありません。となると、他の客室もハイデッカーになっていると思われます。すなわち、全ての客室で「両側に窓があり眺望が楽しめる」という構造になっているのでしょう。
前後にハイブリッド機関車を配置
JR西日本の発表では、この車両の動力方式は「ハイブリッド方式」とのこと。より詳しく書くと、「ディーゼル発電機にて発電した電力とバッテリーアシストによるモータ駆動」だそうです。つまりディーゼルハイブリッドです。このエンジンは両端に付けられた機関車に搭載されます。前後の機関車のエンジンを同時に稼働させればいわゆるプッシュプル式になり、日本では珍しい形態です。機関車の2階には展望スペースが設けられます。
全体としてみると、各所に工夫が凝らされた機能的な新型車両といえそうです。走行区間は世界遺産のあるエリアが中心で、当面は京阪神エリアと、山陽、山陰エリアになるとのこと。これ以外の区間では、期待の豪華寝台列車の姿を見ることはできないようです。
(注)この記事は、当初、動力分散式として掲載していましたが、機関車式の誤りでした。お詫びして訂正します。本文記事は訂正ずみです。