南阿蘇鉄道がJR豊肥線と直通運転へ。対応の新型車両を導入

肥後大津まで乗り入れへ

南阿蘇鉄道が、全線復旧後、JR豊肥線肥後大津駅までの直通運転を実施します。直通用の新型車両を2両導入しました。

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JR直通仕様の新型車両

南阿蘇鉄道は、熊本県の立野~高森間17.1kmを結ぶ第三セクター鉄道です。熊本地震で被災し、中松~立野間10.6kmで不通が続いています。全線復旧は2023年夏の見通しで、復旧をまえに、南阿蘇鉄道では新型車両MT-4000形2両を導入しました。

MT-4000形の最大の特徴は、最新の運転保安装置ATS-DK型を装備していること。走行位置や速度をコンピュータで常時監視するシステムで、速度超過時に自動ブレーキがかかるなど安全性が向上します。

南阿蘇鉄道の運転保安装置は ATS-SN型ですが、ATS-DK型を装備することで、JR豊肥線へ直通することができます。

MT-4000形
画像:南阿蘇鉄道プレスリリース
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肥後大津まで乗り入れ

JR線直通は、沿線自治体などで構成する「南阿蘇鉄道再生協議会」が要望していたものです。豊肥線の立野駅周辺での信号整備などの費用を地元自治体が負担することで、JR九州が応じ、直通運転が実現することになりました。MT-4000形の設計にも、JR九州がかかわっています。

直通運転の詳細は現時点では明らかではありませんが、肥後大津までの乗り入れが予定されています。

豊肥線は熊本~肥後大津が電化区間で、普通列車の系統は肥後大津で分割されています。そのため、これまで、熊本市内から普通列車で南阿蘇鉄道を利用する場合、肥後大津、立野の2駅で乗り換えが必要でした。

肥後大津までの直通運転が実現すると、立野での乗り換えが解消し、熊本駅から一度の乗り換えで南阿蘇鉄道が利用できます。

肥後大津は熊本空港の最寄駅でもあり、計画中の空港アクセス鉄道が実現すれば、その分岐駅になる予定です。空港から南阿蘇鉄道方面へ、一度の乗り換えで鉄道で訪れることができるようになるわけで、観光需要の掘り起こしにもつながるでしょう。

MT-4000形
画像:南阿蘇鉄道プレスリリース
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外国人観光客も誘致

MT-4000形は、全線開通後を見据えた外国人観光客の受入環境整備を目的として導入された側面もあり、行き先表示器などが多言語化されています。

ただ、座席はロングシートで、観光的要素はあまり見受けられません。まずは、観光客よりも手堅い通学利用などの実需に対応した様子です。単行での運用が基本になりそうですが、車両前面に貫通扉を備えており、2両編成でも運行可能です。車両は新潟トランシス製です。

MT-4000形の導入と入れ替えで、現行のMT-2000形3両のうち2両が引退します。(鎌倉淳)

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