東海道新幹線の強さ際立つ。新幹線利用者数ランキング2023年新春版

「コロナ前」に近づく

JR各社から2022-2023年末年始の列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症による行動制限がなくなり、各路線とも前年度比で大きく利用者を増やしました。コロナ前に比べても8割程度まで回復しています。詳細をランキング形式で見ていきましょう。

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年末年始の利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。このうち「2022-2023年末年始の利用状況」がこのほど発表されましたので、各社の情報をまとめて、「年末年始の新幹線利用者数」をランキングにしてみました。

2022年12月28日~2023年1月5日の9日間の統計です。

JR京都駅新幹線

新幹線利用者数ランキング2023年新春版

順位 路線名 区間 利用者数(万人) 対前年度比 対2018年度比
1 東海道新幹線 新横浜~静岡 316.7 111% 90%
2 山陽新幹線 新大阪~西明石 143.2 107% 84%
3 山陽新幹線 岡山~広島 105.6 107% 80%
4 上越新幹線 大宮~高崎 104.4 112% 85%
5 東北新幹線 大宮~宇都宮 102.4 105% 82%
6 東北新幹線 那須塩原~郡山 89.8 104% 81%
7 山陽新幹線 広島~新山口 74.9 106% 79%
8 山陽新幹線 新山口~小倉 67.0 106% 84%
9 山陽新幹線 小倉~博多 59.4 109% 88%
10 北陸新幹線 軽井沢~高崎 53.8 112% 85%
11 東北新幹線 古川~北上 43.1 101% 81%
12 九州新幹線 博多~熊本 26.7 109% 85%
13 上越新幹線 越後湯沢~長岡 25.9 107% 82%
14 北陸新幹線 上越妙高~糸魚川 25.4 107% 84%
15 東北新幹線 盛岡~八戸 20.3 101% 85%
16 九州新幹線 熊本~鹿児島中央 13.4 104% 83%
17 山形新幹線 福島~米沢 10.2 109% 80%
18 西九州新幹線 武雄温泉~長崎 7.1 146% 102%
19 秋田新幹線 盛岡~田沢湖 7.0 98% 81%
20 北海道新幹線 新青森~新函館北斗 4.8 101% 81%
21 山形新幹線 山形~新庄 2.8 110% 77%

 

上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。

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満席列車が続出

2022-2023年末年始は新型コロナウイルス感染症による行動制限がかからなかったこともあり、各新幹線とも列車が混雑しました。とはいえ、コロナ前の2018年度と比べると、多くの区間で80%程度にとどまり、完全に戻ったとはいえません。

そのなかで、回復傾向の強さが際立つのが東海道新幹線です。年末年始は満席の列車が続出し、普通車全車自由席の臨時「のぞみ」が運行されたほどです。対前年度比で110%、対2018年度比で90%にまで戻り、回復を数字が裏付けています。

列車ごとに見ていくと、対2018年度比で「のぞみ」が92%、「ひかり」83%、「こだま」85%となっています。「ひかり」「こだま」は、全国平均ともいえる80%台の回復にとどまりますが、主力の「のぞみ」が強さを発揮して牽引しています。

年末年始は、他シーズンに比べ帰省客が観光客より多い傾向にあるので、大都市間を結ぶ東名阪の需要の底堅さが光ったともいえるでしょう。

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西九州新幹線は堅調

新規開業した西九州新幹線は、対前年度比で146%、対2018年度比で102%と大きく数字を伸ばしました。比較の対象は在来線特急「かもめ」なので、新幹線になったことで利用者が大きく増えたことがわかります。

とはいえ、全体の利用者数では山形新幹線を下回り、秋田新幹線とほぼ同じ。つまり、ミニ新幹線程度です。北海道新幹線は上回ったものの、開業初年度の年末年始がこの数字というのは厳しさも感じます。武雄温泉でのリレー方式が解消すれば利用者は大きく増えるでしょうが、実現のメドは立っていません。

唯一、前年度を下回ったのは、秋田新幹線です。年末年始の期間中、秋田駅構内でのポイント点検の影響により「こまち」の一部列車に運休が発生した影響のようです。山形新幹線は対2018年度比で77%にとどまりましたが、大雪の影響を受けて運休が発生したことによるものです。(鎌倉淳)

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