上野動物園「パンダのもり」全詳細。待望の新エリアが公開へ

中国・四川省の雰囲気

上野動物園の新エリア「パンダのもり」が2020年9月8日にオープンします。待望の新パンダ園舎の詳細をまとめてみました。

広告

西園の新施設

上野動物園では、新しいジャイアントパンダ展示施設として「パンダのふるさとゾーン」の整備を進めてきました。ジャイアントパンダをより生息地に近い環境で飼育し、繁殖を推進するほか、展示方法を改善するのが目的です。

その新施設がこのほど完成し、「パンダのもり」と命名され、9月8日にオープンすると発表されました。

「パンダのもり」という名称は、2020年2月に園内で実施したアンケートで最多得票を獲得したもので、広い「森」を再現した環境と、希少動物であるパンダを「守」っていけるように、という2つの意味がこめられているそうです。

場所は、西園の旧子ども動物園跡地。モノレールの旧西園駅の裏側一帯です。

パンダのもり
画像:東京都(2018年公表の画像につき、モノレール路線が表示されています)

四川省の環境を再現

「パンダのもり」の敷地面積は約6800平米。ジャイアントパンダのふるさとである中国の四川省をモデルに、木や岩、水場といった生息環境を再現します。同じ生息地にくらすレッサーパンダや中国のキジ類の展示施設も併設し、分布域が重なる動物を複合的に展示します。

パンダのもり
画像:東京都

飼育施設としては、ジャイアントパンダの寝室を拡張し、ジャイントパンダ本来の行動を引き出す起伏に富んだ放飼場を設置。生態に合わせて適切な飼育環境を再現する施設を充実させました。

屋内や屋外など放飼場間のパンダの移動動線を複数確保しているのも特徴です。これにより、天候や気温などの変化に応じて、適切な場所で飼育や展示ができるようになりました。

繁殖推進のための施設としては、雌雄を同居させるための放飼場を設置し、短い発情期を的確にとらえられるようにしています。また、保育室や治療室など、繁殖に必要な施設も充実させました。

公開された写真を見ると、屋外放飼場のガラスは低く設置されていますので、大人の来園者はガラスごしでなくパンダを見ることができるようになりそうです。動線もスムーズになり、一筆書きのルートで見学できます。滞留スペースや快適なトイレも設置しています。

パンダ舎の建築面積は1016平米で、現パンダ舎の約3倍の広さとなりました。レッサーパンダ舎は26平米です。いずれも地上1階建てです。

広告

「リーリー」「シンシン」を展示

展示動物はジャイアントパンダがご存じ「リーリー」(オス、14歳)「シンシン」(メス、15歳)の2頭。

レッサーパンダは「カリン」(メス、8歳)と「ルカ」(メス、4歳)の2頭で、いずれも2020年3月31日に閉園した大阪府のみさき公園から受け入れたものです。

そのほか、キジ類として、キンケイ2羽(オス1羽、メス1羽)、ギンケイ2羽(オス1羽、メス1羽)、ベニジュケイ2羽(オス1羽、メス1羽)を展示します。

「シャンシャン」は東園に

オープンに先立ち、東園にある現在のパンダ舎から「パンダのもり」へ、リーリーとシンシンを順次移動し、新施設に慣らします。そのため、8月18日から9月7日まで、2頭の公開を中止します。

2020年12月に中国返還が決まっている「シャンシャン」(3歳、メス)については、夏休み期間中の来園者を迎えるため、当面、東園の現在のパンダ舎で公開します。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響で、現在、上野動物園に入園するには、事前に整理券による予約が必要です(完全予約制)。現時点で、入園者数は1日5,200名に制限されています。

広告