「ローカル路線バスの旅Z 第3弾 宮城・松島~秋田・白神山地」の正解ルートを考える。 「奥羽山脈越え」の最適解は?

山越えルートはどこが簡単?

テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」の第3弾が放送されました。田中要次と羽田圭介がコンビとなって、路線バスだけを乗り継いで旅をする番組です。

今回のマドンナはモデルでタレントのラブリ。27歳という、ГZシリーズ」では定番となった若いマドンナです。

今回の目標は、宮城県の松島から秋田県の白神山地まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というものです。細かくは、松島町役場からJR五能線あきた白神駅までという設定でした。例によって正解ルートを検証してみましょう。

いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。

※以下、掲載時刻は確認しましたが、間違いや勘違いがあると思います。その場合はご容赦、ご指摘ください。文中は敬称略です。

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3人が実際に旅したルート

最初に、番組で実際に3人が旅したルート(実際ルート)をたどってみましょう。時刻表上の定刻を確認してみました。徒歩距離は、原則としてオンエアされた数字を表記しています。

▽1日目
松島町役場09:58→10:36物産館10:37→10:58大和町バスターミナル→(徒歩800m)→ミヤコー吉岡営業所前11:59→12:11大衡村役場前13:20→14:10古川営業所14:33→14:40古川駅前15:40→16:43築館高校前16:55→17:52一関駅前18:30→18:48平泉駅前

▽2日目
平泉駅前07:28→07:46一関駅前08:05→08:46イオン前沢09:30→10:01水沢駅前11:47→12:03金ヶ崎本町13:16→13:42北上駅前14:30→15:40ほっとゆだ駅→(徒歩約10km)→黒沢駅→(送迎バス)→巣郷温泉

▽3日目
巣郷温泉→(送迎バス)→下南郷08:38→09:10横手バスターミナル09:20→10:13大曲バスターミナル11:40→12:13市立角館総合病院12:24→13:01田沢湖駅前13:20→15:52鹿角花輪駅16:32→18:03大館駅前

▽4日目
大館大町07:47→07:59大館駅前09:25→10:25鷹巣駅前11:56→12:24薬師山スキー場入口→(徒歩5km)→二ツ井駅13:30→14:27能代バスステーション15:13→16:27あきた白神駅

結果は成功です。能代からのバスは最終便でしたので、ぎりぎりのゴールとなりました。

成功したので、一行が通ったルートは「正解」といってもいいのですが、途中、宿泊施設の送迎バスを利用した部分もありましたし、別ルートもあるのでは? とお感じになった方も多いと思います。検証してみましょう。

ローカル路線バスの旅Z第3弾
画像:テレビ東京ホームページ

ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第3弾 宮城・松島~秋田・白神山地
【出演者】田中要次、羽田圭介、ラブリ
【ナレーター】キートン山田、太川陽介

鳴子温泉に向かっていたら?

今回の大きなテーマは、「奥羽山脈越え」です。東北地方を背骨のように貫く大山脈をど乗り越えるかが、ルート取りのポイントになりました。

しかし、松島から直接奥羽山脈を越えることはできませんので、一行はひとまず北を目指します。松島町から北へ路線バスで抜けるには、コミュニティバスを使って大和町を経由するほかありません。一行はこのルートをたどって古川に到達しました。

奥羽山脈を越えるにはいくつもルートがありますが、古川からは鳴子温泉方面へのバスが出ており、最初の候補といえます。実際、番組内で羽田は、「古川から一気に西へ行けないですかね」と検討しています。

しかし、古川の営業所で「鳴子温泉から先のバスがない」と伝えられ、断念しました。実際に鳴子温泉に向かっていたら、その先、最上町にコミュニティバスがあるものの、長い徒歩を挟まなければ路線がつながりません。

バスと徒歩で乗り切るのはほぼ不可能でしたので、鳴子を避けた選択は正しかったといえます。

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「築館高校前下車」に意味はあったか

その後、一行は古川駅前から栗原中央病院へのバスに乗り、一関へ乗り換える方針を立てます。そして、バス車内で知り合った女子中学生に、築館高校前で降りた方が、終点まで往復するより短絡できることを教えられます。

女子中学生のアドバイスに従って築館高校前で降りた一行は、数分の乗り継ぎで一関行きバスを捕まえることができました。これは、女子中学生が投げてくれたナイスボールです。

今回のバス旅では、田中・羽田のコンビの、地域住民とのコミュニケーションが以前より密になったと感じましたが、それを象徴する場面に見えました。

ただ、実際には、一行が乗っていたバスは16時46分に栗原中央病院に到着し、一関駅前行きのバスは16時54分に同病院を発車します。

したがって、バスが時刻表通りに運行していて、一行が栗原中央病院のバス停で迷わなければ、どちらのバス停で乗り換えても同じ結果だったといえます。もちろん、遅延は十分あり得るので、築館高校前で降りたのが「正解」だったのは言うまでもありませんが。

「一関・平泉1往復半」の影響

次のポイントは、1日目の宿泊地です。一行は一ノ関に18時過ぎに到着しますが、案内所がちょうど閉まったところで、情報を得られません。案内所の係員にも、その後の予定があるでしょうし、これは仕方がありません。

しかし、北へ向かうイオン前沢行きのバスはまだ走っていました。一行はそれに乗り、途中の平泉まで行って宿泊しています。

終点のイオン前沢まで行ってしまったもよかったと思いますが、イオン前沢から北上方面への接続がわからなかったためのようです。また、一関から厳美渓を経て湯沢へ抜ける峠越えも検討していたことから、きっちりした情報を得たいと考えて、一関か平泉の案内所で聞き込みをする予定での判断のようです。

実際には、翌朝に厳美渓ルートは不可能という結論を下して、イオン前沢方面へ進むことになります。そのため、一関~平泉間を1往復半することになってしまいました。このロスがなかったら、つまり、1日目にバスでイオン前沢まで行っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
一関駅前18:30→19:11イオン前沢19:15→19:46水沢駅前

このように、水沢市まで行くことができます。イオン前沢から水沢への接続は、最終バスの運転手に尋ねれば得られた情報でしょうから、不可能な行程ではなかったでしょう。

1日目に水沢駅まで到達し、2日目の朝に水沢で情報収集したとして、9時過ぎのバスに乗ったと仮定して続けます。

▽2日目
水沢駅前09:07→09:23金ヶ崎本町10:31→10:57北上駅前12:50→14:00ほっとゆだ駅

このように、実際ルートより1時間40分早く、ほっとゆだ駅に着くことができます。その先、実際ルートでは山越え中に日没してしまったわけですが、1時間40分早ければ、目標だった南郷温泉までたどり着けたかもしれません。

ただし、いずれにしろ、3日目以降は実際ルートに追いつかれますので、一関と平泉間の1往復半は、その後の行程に大きな影響は及ぼしたとはいえません。

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一関から西へは向かえなかったか

話を少し戻して、一関から西へ向かった場合も考えてみましょう。須川温泉から湯沢へ抜けるルートで、「須川温泉ルート」と名付けておきます。

▽2日目
一関駅前09:00→10:34須川温泉→(徒歩15.5km)→鳥谷14:55→15:52湯沢営業所17:35→18:13横手バスターミナル18:20→19:13大曲バスターミナル(3日目以降は実際ルートに収斂)

「須川温泉ルート」では、途中15km以上の山越えを挟むものの、実際ルートよりも早く、2日目夜には大曲に到着できます。

須川温泉は峠のほぼ頂上に位置するため、鳥谷への道のりは下りです。そのため、峠道といっても歩行の負担は少ないでしょう。ただ、グーグルマップを見ると、途中、歩道のない区間が続き、歩きやすいとはいえません。

「須川温泉ルート」で大曲まで2日目に到達したとしても、その後、田沢湖駅から鹿角花輪へ向かうバスが実際ルートと同じ13時20分発までないので、最終的には実際ルートに収斂します。

「大船渡ルート」という大技

一関からは、もう一つルートがあります。大船渡へ向かう方法です。

▽2日目
一関駅前09:00→11:23大船渡市役所前13:20→16:30盛岡バスセンター

三陸方面へ大迂回するルートです。一関から大船渡へのバスも、大船渡から盛岡へのバスも岩手県交通という同じバス会社なので、一関の案内所でこのルートを探し出すことは不可能ではなかったと思います。

一行が「盛岡」を当面の目的地として、係員に明確に示していれば、教えてもらえたのではないでしょうか。ただ、後述しますが、盛岡へ向かうことが、今回の旅で「正解」であったとは必ずしも言えないので、「大船渡ルート」を選択する必要はとくになかったといえます。

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盛岡から仙岩峠を抜けていたら

今回の旅で一番のポイントとなるのは、北上からほっとゆだへ抜けた山越えです。この「ほっとゆだルート」では、宿の送迎を仰がなかったとしても15km程度の徒歩を挟みます。これが「正解」なのか、疑問に思った方もいるでしょう。

では、北上から、西へ向かわずに、北へ向かっていたらどうなっていたでしょうか。一行が北上で比較検討していたのは、盛岡から田沢湖へ抜ける「仙岩峠ルート」です。

▽2日目
13:42北上駅前14:30→15:44石鳥谷駅口15:51→16:17大迫バスターミナル18:24→19:30盛岡バスセンター

▽3日目
盛岡バスセンター07:30→08:12雫石駅前08:50→09:30道の駅雫石あねっこ→(徒歩17.2km)→田沢湖駅14:20→16:52鹿角花輪駅前17:30→19:30大館駅前(4日目は実際ルートと同じ)

北上からバスで盛岡を目指した場合、2日目の夜に盛岡に到達できます。翌朝7時半のバスで雫石に向かうと、途中17km程度の徒歩を挟んで、田沢湖に到達できます。田沢湖駅から最終バスに乗れば、3日目の夜に大館駅に到着し、実際ルートに合流します。

ただし、この雫石駅前から道の駅雫石あねっこ間のバスは、予約が必要なコミュ二ティバスです。いわゆる「オンデマンド運行」です。朝便なので他の人の予約で運転はされている可能性が高そうですが、乗れるかどうかはわかりません。また、オンデマンドバスの利用については、ルール上微妙です。

「仙岩峠ルート」では、峠越えの高低差としては400mほど。国道46号線は歩道整備が多少は進んでいるので、比較的歩きやすそうです。ただ、歩道があっても2,544mの仙岩トンネルを徒歩で抜けるのは大変そうです。

また、盛岡発が朝早いので、盛岡で朝の情報収集をしてから仙岩峠を経由した場合は、田沢湖発鹿角花輪行きバスに間に合わず、失敗に終わっていたでしょう。

八幡平は抜けられるか

盛岡からは、北西方向の八幡平へ走るバスもあります。鉄道アクセスがなく、観光客の多い八幡平は、バス旅向けのルートでしょう。そこで「八幡平ルート」も検討してみます。

▽3日目
盛岡バスセンター09:30→11:32八幡平頂上→(徒歩15.7km)→田沢湖駅アスピーテライン入口16:02→16:52鹿角花輪駅前17:30→19:30大館駅前(4日目は実際ルートと同じ)

「八幡平ルート」でも3日目の夜に大館に到達し、4日目は実際ルートと同じになります。

八幡平頂上から鹿角花輪に抜けるバスも存在し、それに乗れれば非常に優れたルートなのですが、残念ながら週末と季節運行です。ロケが行われたであろう9月上旬の平日には運行されていません。

そのため、八幡平頂上から約16kmにも及ぶ下り道を歩ききらなければなりません。標高差は900mにも及びますし、歩行者には歩きにくそうな観光道路です。健脚の3人なら可能な行程だとは思いますが、ラクではなさそうです。

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難所を送迎バスで越える

実際ルートに戻りましょう。一行は北上からほっとゆだに至り、国道107号線で巣郷峠を越えて南郷温泉へ向かいます。

巣郷峠は標高295m。奥羽山脈の分水嶺では低いほうでしょうし、ほっとゆだの標高も180mほどありますので、バスを降りてからの高低差なら100m程度。距離は長いものの、徒歩での峠越えとしては平易なルートです。実際、一行は夕方の峠越えを無理なくこなします。

しかし、このルートで道のりが厳しいのは、むしろ分水嶺を越えてから。黒沢から南郷温泉へ向かう尾根を越える道の最大標高は330mほどで、ここが一番の峠越えになります。

ところが、黒沢付近に達した頃に日没し、熊出没の指摘を受けて、一行は峠越えを思いとどまります。

送迎を期待して南郷温泉の旅館に電話するも満室。やむなく、通り過ぎてしまっていた巣郷温泉付近の旅館の迎えを仰いで宿泊します。翌日は、旅館の送迎車で南郷温泉(下南郷)に至り、難所を送迎バスで抜けてしまいました。

路線バスが走っていない区間で、旅館の送迎バスを使うのはルールの範囲内ということなので、問題はないようです。

送迎バスを使わなかったら

ルール上の問題はないとしても、ここで送迎バスを使わなかったらどうなるか、も気になります。たとえば、日没を予期して、あらかじめ巣郷温泉の旅館に投宿し、翌日歩いて下南郷に向かっていたらどうだったか、ということです。

▽2日目
北上駅前14:30→15:40ほっとゆだ駅→(徒歩約8km)→巣郷温泉

▽3日目
巣郷温泉→(約6.4km)→下南郷10:38→11:10横手バスターミナル11:20→12:13大曲バスターミナル13:00→13:33市立角館総合病院13:39→14:16田沢湖駅前14:20→16:52鹿角花輪駅前17:30→19:30大館駅前(4日目は実際ルートと同じ)

巣郷温泉から下南郷まで3日目の朝に歩いた場合、約2時間弱はかかると見積もれるので、実際ルートの下南郷08時38分発のバスには間に合わないでしょう。

次の10時38分発の便に乗ったとすると、上記のように、絶妙な接続をクリアすればその日のうちに大館駅前に到達し、実際ルートに追いつきます。大曲で聞き込む時間は確保されているので、実現可能なルートだったといえます。

他のルートを検討した結果としても、この「巣郷温泉宿泊、送迎なし」が、無理なく歩ききれるという意味での「最善の峠越え」だったのではないかと考えます。最大の徒歩区間を、途中宿泊で分割することにより、歩行の負担を軽減できるからです。

一方で、「送迎もルールの範囲内」と考えて戦略的に動くなら、また別の方法があるとは思います。想定が難しいので、検討の範囲外ですが。

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由利本荘へ抜けていたら

実際ルートに戻りましょう。一行は下南郷から横手に出て、そのまま大曲へ抜けます。横手から大曲へのバスの接続が良かったこと、秋田方面に出るには大曲経由が最短経路であったことが理由です。

しかし、現実には大曲から秋田へ抜けるバスが見つかりませんでした。そのため、田沢湖から大館へ回り込むという形になったのですが、その前に、横手から日本海側に抜けていたらどうでしょうか。横手から由利本荘へは急行バスが走っています。

▽3日目
巣郷温泉→(送迎バス)→下南郷08:38→09:10横手バスターミナル10:35→12:24本荘営業所14:00→15:16秋田駅前15:30→16:45五城目17:00→17:10八郎潟駅前18:12→18:42ホテルサンルーラ大潟前

▽4日目
ホテルサンルーラ大潟前→徒歩4.2km→五明光08:30→09:26能代バスステーション11:48→13:02あきた白神駅

この「由利本荘ルート」では、実際ルートより1本早いバスであきた白神駅にゴールできます。上記では3日目の夜にホテルサンルーラ大潟に泊まっていますが、秋田市に泊まってもゴールは可能です。

「送迎無し」で「由利本荘ルート」

このルートを応用して、先ほどの「送迎無しの巣郷越え」に「由利本荘ルート」を当てはめてみると、以下のようになります。

▽2日目
一関駅前08:05→08:46イオン前沢09:30→10:01水沢駅前11:47→12:03金ヶ崎本町13:16→13:42北上駅前14:30→15:40ほっとゆだ駅→(徒歩約8km)→巣郷温泉

▽3日目
巣郷温泉→(約6.4km)→下南郷10:38→11:10横手バスターミナル14:50→16:39本荘営業所17:30→18:49秋田駅前

▽4日目
秋田駅前08:45→10:00五城目10:05→10:15八郎潟駅前12:08→12:38ホテルサンルーラ大潟前→徒歩4.2km→五明光13:50→14:46能代バスステーション15:13→16:27あきた白神駅

このように、実際ルートと同じく、4日目最終バスでゴールできます。現実的に田中・羽田一行が取り得るルートで、送迎バスを使わない方法としては、この「仙台-一関-北上-巣郷-横手-由利本荘-秋田-能代-あきた白神」のルートが最善手だったのではないか、と思います。

このとき、黒沢から下南郷に抜ける道で、昼間でも熊の問題があるのなら、黒沢から相野々に国道107号を歩くことになります。巣郷から相野々まで11kmほどなので、下南郷に向かうより5kmほど長くなりますが、上り坂はないので疲労度はそう変わらないと思います。

「48ライナー」を活用したら?

さて、ここで話を松島に戻します。実際ルートでは、松島からひたすら北に向かいますが、南に下って仙台を経由したらどうなるでしょうか。

仙台から山形県へ向かう国道48号線には、仙台-新庄を結ぶ「48ライナー」が走っていて、高速道路を使わずに奥羽山脈を越えることができます。ルイルイ・蛭子コンビの旧作第25弾にも登場した、あの長距離路線バスです。

田中・羽田のコンビも、旧作25弾は当然見ているはずです。ならば、48ライナーの存在を知っているでしょう。そこで、仙台から48ライナーを活用するルートを考えてみます。

▽1日目
松島町役場09:58→10:36物産館10:37→10:58大和町バスターミナル→(徒歩800m)→ミヤコー吉岡営業所前12:02→12:39泉中央駅13:02→13:34仙台駅前15:05→17:25新庄駅前

このように、1日目に新庄まで到達できます。新庄から先はルイルイ一行が由利本荘を目指して失敗したときのリベンジとなります。ルイルイ一行は余目で「休日ダイヤ」の壁に泣きましたが、今回のロケは平日だったので、違った展開になったでしょう。

▽2日目
新庄駅前08:35→08:53小川町→徒歩9km→古口駅11:35→12:00草薙温泉→徒歩4.6km→清川駅15:18→15:59余目駅前16:30→17:20酒田庄交ターミナル18:40→20:13本荘営業所

▽3日目
本荘営業所07:00→08:16秋田駅前08:45→10:00五城目10:05→10:15八郎潟駅前12:08→12:38ホテルサンルーラ大潟前→徒歩4.2km→五明光13:50→14:46能代バスステーション15:13→16:27あきた白神駅

このように、順調にいけば3日目に着いてしまいます。実際には、観光案内所などで確認しながら進むので、もう少し時間がかかるかもしれませんが、徒歩も合計19km程度と適度で峠越えはなく、優れたルートと言えます。まさに、「ルイルイリベンジルート」とでも呼べそうです。

「ルイルイリベンジ」で横手経由

「ルイルイリベンジルート」で、新庄から横手へ抜ける方法もあります。

▽2日目
新庄駅前07:10→07:39金山病院前・金山病院07:46→08:17真室川駅09:54→10:45及位駅→徒歩13km→ 横堀駅前13:50→14:20湯沢営業所15:00→15:43横手バスターミナル18:00→19:49本荘営業所

途中、及位から横堀13kmを約3時間で歩ききれば、当日中に本荘に着くことができ、上記の「ルイルイリベンジルート」に合流し3日目にゴールできます。田中・羽田・ラブリという健脚トリオなら、十分可能だったでしょう。

仮にそれができなかった場合、2日目に横手泊となりますが、それでもゴールは十分可能でした。

旧作と新作の橋渡しも

「ルイルイリベンジルート」は、田中か羽田のどちらかが、「48ライナーを知っている」ことを前提にしなければ選択できないルートです。しかし、この番組の演出手法として、そうした事前知識を活かす展開は避けているようなので、実現可能性は低かったでしょう。

仮に実現していれば、旧作(無印)と新作「Z」をつなぐ、橋渡しの意味を持つ回になったのでは、と思いますし、それはそれで面白かったでしょう。ですから、個人的な感想としては、「ルイルイリベンジ」は「アリ」だったのではないか、と思います。

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まとめてみると

最後に、全体をまとめてみましょう。

今回のテーマとなった「奥羽山脈越え」という点では、「これがベスト」と断言できるルートは見当たりませんでした。土休日なら「八幡平ルート」が正解といって差し支えないと思いますが、平日はバスがつながらず、他ルートに対する明確なアドバンテージは見つかりません。

「須川温泉ルート」も「仙岩峠ルート」も15km以上歩くので、いずれも実際ルートとなった「ほっとゆだルート」よりもラクとは言えません。

そのため、結局のところ、実際ルートを「正解」と表現していいのではないか、と考えます。他ルートと比較して、相対的に山越えの難易度が低いためです。

最初から南郷温泉を目指さずに巣郷温泉に泊まっていれば、ペース配分としても適切だったことは、前述したとおりです。しかし、健脚であるがゆえに、南郷温泉までたどり着けると踏んだのでしょう。

一方、横手からは大曲を目指さずに、由利本荘を経由してもよかったと思います。「由利本荘ルート」のほうがゴール時間が早くなった可能性がありますし、徒歩区間が平坦でラクだっただろうと思います。「薬師山・二ツ井マラソン」もしなくて済みました。したがって、「最適解」を挙げれば「ほっとゆだ・由利本荘ルート」ではないか、と考えます。

48ライナーを利用しない前提に立てば、どのルートを通っても10km以上の山道を挟みますので、その意味では体力が求められるお題でした。しかし、「須川温泉」「ほっとゆだ」「仙岩峠」「八幡平」と、わかりやすいルートの選択肢がいくつもあり、いずれを選択してもゴールは可能だったことから、難易度は高くはありませんでした。

また、宮城県と秋田県は県境を接しており、バスさえあれば県境越えは一度だけで済みます。実際には山形県か岩手県のどちらかを経由することになりますが、それでも県境越えは2度だけ。したがって、「県境越え」についてはあまり意識しなくてもよいコース設定で、その点でも難易度は低かったと思います。

ただ、それは演者3人の高い脚力を前提とした話で、山越えを苦手とするルイルイ・蛭子コンビなら、難易度の高いお題だったかも知れません。

というよりも、田中・羽田コンビだからこそ設定できたお題で、ルイルイ・蛭子コンビなら設定自体に無理があったでしょう。言葉を換えれば、コンビ交代によって実現できたコース設定だったといえるかもしれません。

「田中・羽田」コンビに転機

番組では、ラブリの積極的な聞き込みが目を引きました。これまでのマドンナのなかで、これだけ先頭に立って聞き込みをした人はいなかったでしょう。田中・羽田のコンビも過去3回に比べて念入りに聞き込みをする姿勢を見せており、体力に任せた進み方はしませんでした。

スポニチ2017年9月23日付によりますと、「第3弾のロケを迎えるにあたり、田中と羽田氏は越山氏をはじめとするスタッフとこれまでの旅の“反省会”を実施した」とのことです。

そこで、番組スタッフは、「『がむしゃらに歩く戦略だと、これから毎回失敗しますよ。もう少し入念にリサーチをしましょう』とアドバイス」したそうです。今回のオンエアを見ていると、そのアドバイスがさっそく活かされているように感じられました。前述した築館高校前のエピソードは、その象徴といえるかもしれません。

「特別編」から数えて4回目のロケで、田中・羽田の関係性もこなれてきた印象を受けました。ルイルイ・蛭子の色を強く残していた番組ですが、そろそろ「田中・羽田」の番組としてのカラーが確立し始めてきたのかもしれません。その点では、転機となる回になったのではないでしょうか。(鎌倉淳)

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