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広島電鉄の広島駅短絡新線「駅前大橋線」計画が2013年春にも決定。広電は地下案を推進、JR西日本は高架案支持でせめぎ合い。

広島電鉄が構想している新路線「駅前大橋線」計画の決定が大詰めを迎えています。これは、広島電鉄の広島駅乗り入れ経路を短絡する新線で、広島市中心部から広島駅へ向かう際、東に大きく迂回している路線を改め、「駅前大橋」を通ることで短絡する新線を建設するものです。稲荷町の電停から広島駅までの距離を現行の800mから600mに短縮し、市の中心部である紙屋町からの所要時間を5分程度短縮。10分程度で結ぶという計画です。

この計画自体にはどこからも大きな反対はないのですが、線路の設置形態でもめています。道路上を路面電車がそのまま通る「平面案」、南口地下広場の下を通る「地下案」、南口広場に高架を設置して駅ビルの2階部分に乗り入れる「高架案」の3案があり、なかなか決定されないのです。

広島市は2010年8月に、駅前南口の再整備計画を話し合う検討委員会を設置し、これらの案を検討してきました。このうち、平面案は事業費が最も少なく抑えられますが、駅前の交差点が渋滞することが予想され却下されました。つまり現時点では高架案と地下案の2案に絞られています。市は2013年春にも最終案を決定する予定です。

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路面電車を運行する当事者の広島電鉄は地下案を強く推します。高架案は急勾配が必要になり、路面電車が登り切れない、という理由からです。一方、広島駅を管理する当事者のJR西日本は高架案を推しています。JR西日本は広島駅を2階部分で南北につなぐ橋上駅舎の工事に着手しており、2017年度の完成を目指しています。この駅舎に広島電鉄の電停を直結させれば、新幹線や在来線からの利便性が高まると主張しています。

JRとの乗換利便性を考えれば高架案が有力に思えますが、運行当事者の広島電鉄が「勾配がきつすぎて登れない」と言っているのなら実現性に乏しいともいえます。ただ、勾配がきつくなるのは電停で電車の滞留スペースを広く取る必要があるからということが大きな理由でもあるようです。滞留スペースの問題を解決する方法があれば、高架案の実現性が高まるかもしれません。JRとの乗換利便性が高まることは広島電鉄にとっても悪い話ではないはずで、最終的には高架案にまとまるのではないか、とも思われます。

一方で、地下案は制約の少ないレイアウトを行うことができる上に、将来的な発展性も望めます。たとえば、路線を広島駅より北側に延ばすことも、地下案ならば考慮しやすいでしょう。実際、「地下案は駅北側にある二葉の里までの延伸含み」という指摘もあり、それが重視されれば地下案になるかもしれません。

最近になって、JR西日本は、高架案に決まれば駅ビルの建て替えを行ってもいい、と表明しました。最終案決定の前に大きな切り札を切ったといえます。ここまでJRが高架案にこだわるのは、新幹線から市中心部へのアクセスを改善したいという思惑があると思われます。新幹線は東京-広島間で飛行機と激しく競合していますが、アキレス腱は広島駅から広島市中心部まで時間がかかることです。市中心部まで時間がかかるのは航空機も同じですが、広島空港連絡バスは広島バスセンター(紙屋町)へ乗り入れており、所要時間は50分程度。広島駅から紙屋町も現状では20分程度かかることも多いので、紙屋町起点で考えれば、空港と広島駅は30分くらいしか所要時間が変わらないのです。そこで、JRとしては、新幹線と広島電鉄の乗換を便利にし、利便性を高め実質所要時間をより短縮したいと考えているのでしょう。

どちらに決まるのかは予断は許しませんが、この「駅前大橋線計画」は、早ければ2017年頃の運行開始が見込まれています。いずれにしても、地元にも観光客にもメリットの多い計画なので、早期事業化を期待したいところです。

■1月9日追記
上記の記事を掲載した4日後の1月8日に、広島電鉄の越智秀信社長が解任されました。越智社長が地下化推進の旗振り役だったのですが、解任されたことで地下化は実現されない方向になりそうです。広島電鉄社内では高架案を支持する声のほうが多く、椋田昌夫新社長は記者会見で地下方式案の白紙撤回を明言しました。これにより、広島電鉄の駅前大橋線は高架案で決着しそうです。

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