釧路駅近くにある「釧路和商市場」が、リニューアルに乗り出すそうです。旅行者がオリジナルの丼を作る「勝手丼」が名物ですが、リニューアルでは飲食店の充実が検討されているとのこと。どう変わるのでしょうか。
「駅チカ海鮮グルメ」の名所
釧路和商市場は、釧路駅から徒歩5分程度の位置にある市場です。「釧路市民の台所」として親しまれおり、釧路駅近くの観光名所としても存在感を示してきました。鉄道旅行者なら、「駅チカ海鮮グルメ」の名所として、ご存じの方も多いでしょう。
日本経済新聞2016年12月20日付によりますと、和商市場の加盟店などで組織する釧路和商協同組合が、同市場のリニューアル方針を固めたそうです。具体的には、「1階にある飲食店を2階に移し、新たに誘致する店も含めて2階部分を飲食店街とする案を軸に検討する」とのことです。
現在の和商市内に飲食店は多くありません。はっきりと飲食店といえるのは、喫茶店やそば屋を含めた4店舗だけ。市場の名物である海鮮をメインにした食事処は限られます。そのため、リニューアルでは、寿司店や海鮮専門の飲食店を増やすとみられます。
写真:釧路和商市場ホームページより
観光客向け施設に
現在の和商市場は、「釧路市民の台所」というキャッチフレーズとは裏腹に、利用者の多くは観光客と見受けられます。釧路市の中心部は空洞化が著しく、和商市場も地元住民が買い物に訪れる場所ではなくなりつつあるという印象を受けます。
今回のリニューアルも、そうした状況変化を受けてのこと。日経では「釧路圏の人口減少が急速に進むなか、同協同組合は道内外の観光客を増やすための魅力作りを進める必要があると判断した」と表現しており、要は観光客向け施設に大きく舵を切る、ということのようです。
立地の変更も検討しています。釧路駅では高架化や橋上化が検討されており、あわせて駅周辺の再開発構想が浮上しています。それを受け、和商市場も駅周辺の空きビルなどへの移転を選択肢に入れているそうです。
旅行者に魅力的な市場に
リニューアルで気になるのが、「勝手丼」のシステムがどうなるか、ということでしょうか。
現在の和商市場では、旅行者が各店で海鮮物を少しずつとご飯を買って、自分なりに盛って作るスタイルが楽しめます。これを「勝手丼」といいますが、同市場に飲食店が少ないからこそ発達した仕組みともいえます。リニューアルで飲食店が増えたら、勝手丼スタイルがどうなるのかが、少し心配です。
いまや勝手丼は釧路の名物なので、なくなるとは思いませんが、願わくば、より「勝手丼しやすい」環境を望みたいところ。
フリーの食事スペースを充実させて、持込調理の店を配置したりするなどの施策が取られれば、勝手丼を作りやすく食べやすくなります。そうなれば、旅行者にとってより魅力的な市場になるでしょう。釧路駅周辺は夕食が食べられる場所も少ないので、夜までオープンしてくれると助かりますね。(鎌倉淳)