タイとカンボジアを結ぶ鉄道が、45年ぶりに再開します。両国を結ぶ国際列車の運転も開始される予定で、東南アジアに新たな旅のルートができそうです。
日本軍が敷設した鉄道
タイ・カンボジア両政府は、2019年4月22日に、両国間を結ぶ国際鉄道を開通する調印式を開きました。
両国間には、第二次大戦中の1942年に日本軍が敷設した鉄道がありましたが、両国の関係悪化を受けて1974年に運行停止しています。1976年にカンボジアでポル・ポト政権が成立すると、同国内の鉄道施設は破壊され、レールも剥がされ、両国を結ぶ鉄道は完全に断絶してしまいました。
ポイペト~プノンペンも修復完了
その後、鉄道は半世紀以上も放置されてきましたが、2015年12月にタイのプラユット暫定首相と、カンボジアのフン・セン首相が会談を行った際、国際鉄道の運行で合意。これにより、タイとカンボジアを結ぶ国際鉄道の再建が進められることになりました。
今回、開通したのは、タイのアランヤプラテート~カンボジアのポイペト間です。バンコク~アランヤプラテート間には以前から鉄道があり、ポイペト~プノンペン間についても、2018年に修復が完了しました。
今回の開通で、バンコクとプノンペンが直接線路で繋がることになります。両国合意から、わずか3年あまりで実現してしまうのですから、動きが速いです。
時刻表は未公表
両国を結ぶ国際列車の時刻表などは、公表されていません。バンコクポスト2019年4月21日付によりますと、列車の定期運転のスケジュールや他の詳細は両国で協議中で、タイ国鉄の責任者は、年内には決まる見通しを示したとのことです。
バンコク~プノンペン間で国際列車の運行が開始されれば、旅行者にとっては楽しみな新ルートになるでしょう。
ただし、カンボジア国内の路線は、シェムリアップを経由しないので、アンコールワットを訪問するには、バスに乗り継ぐ必要があります。シェムリアップへの鉄道も計画中ですので、こちらも楽しみに待ちたいところです。(鎌倉淳)