ウワサの「竹島水族館」に行ってみた。行列ができるのにはワケがある【水族館レポート】

謎のPRと解説板

中部地方で、近年、異色の人気を誇るのが愛知県蒲郡市の竹島水族館。「サッカーコート半分」という小さな水族館が、なぜそんなに流行るのでしょうか。

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「行列のできる水族館」

竹島水族館は愛知県蒲郡市立の公営水族館で、社団法人が指定管理しています。人口8万人程度の蒲郡市が持っている施設ですので、規模は大きくありません。延床面積は1079平方メートルで、都内の小型水族館として知られるしながわ水族館本館の3分の1程度です。

1956年開設と歴史は古く、現在の建物は1962年築です。狭い上に建物の老朽化もあり、一時は人気が低迷、閉館も検討されました。しかし、現在の館長の小林龍二氏が、水族館プロデューサーの中村元氏の提案を入れながら運営を改善。2011年にリニューアルを実施しました。

その際に、人口の2倍の年間16万人の目標入場者数を設定。「実現できなければ、スタッフ全員が丸刈りになる」と宣言して話題を集め、見事達成。いまや「行列のできる水族館」と知られるほど人気の存在になっています。

以下、館長の著書「驚愕!竹島水族館ドタバタ復活記」(小林龍二著、風媒社刊)を参考にしながら、レビューを記していきましょう。

竹島水族館

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謎のPR

筆者が訪れた日は雨の平日でしたが、やっぱり行列していました。新型コロナの影響で入館者数を制限しているという事情はあるものの、それを勘案しても、なかなかの大行列です。幼児の遠足のようなバスが数台停まっていて、エリアの人気施設であることがうかがえます。

行列中の壁沿いには、「狭い! 小さい! サッカーコート半分」「館長が若い!」「飼育員の足がくさい!」などという謎のPRが並びます。こうしたユーモアあふれる掲示物が竹島水族館の名物です。

「足がくさい」はどうでもいい気もしますが、どうでもいいから面白いのでしょう。

竹島水族館

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深海生物が名物

30分ほど待って入館。タカアシガニの標本が出迎えてくれます。竹島水族館の売り物は深海生物で、なかでも地元蒲郡市ではタカアシガニがよく獲れるため、目玉展示になっています。全国の水族館にも供給しているそうで、竹島水族館の最大の強みです。

竹島水族館

竹島水族館の名物は解説板です。「説明文は読まれない」という認識のうえに、いかに面白く、短くまとめるかに工夫が凝らされています。

竹島水族館

手書きのポップも置かれています。文字は200字以内、絵で表現できるものはなるべく絵で表すなどの工夫がされています。

竹島水族館

こちらは「魚歴書」。ネタ設定のなかに、飼育の裏話や魚の生態を巧みに織り込んでいて、おもしろく眺められます。この「眺める」というのが大事で、客に熟読を求めていません。

竹島水族館

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ウツボ軍団

水槽の展示方法にも工夫があります。たとえば、「ウツボ軍団水槽」は、陶器の水道管に大量のウツボを棲まわせて展示しています。ウリは「キモチワルイ!」。

竹島水族館

展示を気持ち悪く見せるというのはなかなか勇気が要りますが、これも竹島水族館名物とのこと。工夫をこらして「名物」を多数生み出していることこそが、竹島水族館の真骨頂でしょう。

そのウツボ水槽が成功したら、こんな「感謝状」まで掲示しています。

竹島水族館

竹島水族館では、常時約500種4,500点を展示しています。しながわ水族館が約450種10,000点ですので、規模のわりに展示種数の多いことがわかります。そのため、スペースを活用した小型水槽が多く設けられています。

展示内容は頻繁に変わるようですが、飼育種数は多いので、定番の近海魚や熱帯魚は、だいたい見られるようです。

竹島水族館

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カピバラ

なぜか、カピバラもいます。これは「場所を取らずに水族館で展示できる」という条件で、人気のある動物を集客目的で導入したそうです。

水族館にカピバラ?と思ってしまいますが、いちおう水辺の動物ですし、新江ノ島水族館などでも展示されています。

竹島水族館

上の写真では、お尻を向けてしまっています。カピバラはあまり動かないこともあり、こんな姿では客の興味を引きません。そこで、動かないことをネタにした「ショー」も発明したそうです。新型コロナのためお休みで、見られないのが残念ですが。

アシカショーもありますが、これもお休みで見られませんでした。

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深海タッチ水槽

こちらは、「さわりんぷーる」。いわゆるタッチ水槽です。

竹島水族館

タッチ水槽は、他の水族館でも導入が進んでいますが、ここではタカアシガニやオオグソクムシといった深海生物にさわれます。タカアシガニに触れられるタッチ水槽は、全国でもここだけかもしれません。

さわられる生物のストレスを抑えるため、さわりんぷーるの生き物はローテーションしているそうです。深海生物の水揚げが豊富な蒲郡の水族館だからこそできることで、数少ない自らの強みを活用しています。

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餌やりも可能

「パクパクおさかなプール」では、餌やりもできます。

餌の価格は100円~と手頃で、気楽に試せます。

竹島水族館

お土産のオリジナル商品もなかなかぶっ飛んでいます。一番人気は「超グソクムシ煎餅」だそうです。筆者が訪れたときは「生産中」。つまり、売り切れでした。

竹島水族館

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大水槽はないけれど

ここまでお読みいただいてわかるように、竹島水族館には手作りの工夫があふれています。見上げるような大水槽も、華麗なイルカショーもありませんが、客が楽しめるよう、手を換え品を換えアプローチしてきます。

公営施設という性格上、市民の支持がなければ廃館になってしまいますし、予算にも限りがあります。そこで、市民が足を運んでくれるように、低予算で楽しめる工夫が凝らされているのです。

一言で言えば、スタッフのセンスが活かされた、見せ方上手の水族館です。飼育員が知恵を絞っている姿が目に浮かぶようで、それも高い好感度につながっているのでしょう。(鎌倉淳)

参考資料:「驚愕!竹島水族館ドタバタ復活記」(小林龍二著、風媒社)

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