首都高速の日本橋区間の地下化にともない、神田橋から京橋に新ルートを建設し、銀座付近まで都心環状線の大改造が行われます。その詳細が明らかになりましたので、ご紹介しましょう。
江戸橋JCTの機能縮小
首都高速道路の日本橋区間は、景観改善などを目的として地下化することが決まっています。これにともない、神田橋から銀座にかけての都心環状線、八重洲線を大改造します。その詳細が「東京都市計画道路 都市高速道路第1号線等の変更(素案)」として公表されました。内容を見てみましょう。
まず、大枠として、日本橋区間を地下化してルート変更をするのにあわせ、江戸橋 JCT の都心環状線連結路を廃止します。これにより神田橋から江戸橋を経て銀座へ向かうこと(またはその逆)ができなくなります。江戸橋JCTの機能を縮小することになり、渋滞は減少する見通しです。
新京橋連結路を建設
代替ルートとして八重洲線(4号線)を活用し、神田橋から八重洲線を経て京橋に抜けるルートを整備します。現状の八重洲線は西銀座で東京高速道路(KK線)に接続していますが、新たに西銀座~京橋間に地下トンネルを建設し京橋にて接続します。
この地下トンネルを「新京橋連結路」といいます。これにより、神田橋~八重洲~西銀座~京橋と走ることができるようになり、新たな都心環状線となります。一方、KK線は首都高に接続する高速道路としては廃止され、歩行者空間などに転用されます。
新京橋連結路の概要
神田橋ジャンクションから南下する形でみていきましょう。
まず、神田橋ジャンクション以南の八重洲線は、片側2車線から1車線に変更します。新京橋連結路も片側1車線で建設するので、神田橋から京橋に至る区間の都心環状線がすべて片側1車線になるようです。
八重洲線の丸ノ内出口付近で新京橋連結路が分岐します。八重洲線を活用しつつ、外堀通りの地下にトンネルを構築します。既設の丸の内出口(南行)はそのまま活かし、丸の内入口(北行)を新設します。
新京橋連結路はKK線の地下を掘って京橋に至ります。総延長約1,120mで、うち約1,030mがトンネル構造、約90mが擁壁と掘割構造です。
八重洲線接続部から、JR京葉線の上を越えたあたりまでが開削トンネルです。
そこから先はシールドトンネルとなり、地下鉄銀座線と浅草線の下をくぐりながら地上に上がります。中央通りとの交差部付近では、地上からトンネルの上端までの深さが約30mに達します。坂を下りながらの急カーブで、難所となりそうです。
京橋入口、新富町出口を廃止
京橋付近で既存の都心環状線と合流します。京橋入口(南行)は、この合流路として活用するため廃止します。かわりに新富町出口を廃止して、新富町入口とします。
既設の京橋出口(北行)や東銀座出口(同)は残ります。
築地川区間の改良
新京橋連結路と接続する付近の都心環状線は、「築地川区間」と呼ばれ、堀割の底を走ります。堀割の擁壁が老朽化しているため、新京橋連結路の工事と連携して大規模更新をおこないます。
具体的には、築地川区間のうち新金橋~亀井橋間について、新京橋連結路の整備と同時に擁壁を更新します。この付近では高速道路を横切る形で跨道橋がありますが、これを架け替えることで、車道内の橋脚を撤去します。
曲線部の線形改良もおこない、新京橋連結路との分合流部では付加車線の設置についても検討します。
大規模更新にあわせて、築地川区間の一部には蓋が設けられ、トンネル(暗渠)となります。
晴海線のルート変更
新富町出口は、建設が予定されている晴海線との接続ルートとして設計されていて、これを入口にしてしまうと、晴海線との接続方法を新たに考えなければなりません。
これについては、都心環状線の銀座付近のS字カーブを改良して、晴海線との接続位置を新たに設けます。北側方面のみとの行き来を可能とする片方向ジャンクションとし、分合流部において付加車線を設置します。付加車線の区間までは決まっていませんが、最終的には新京橋連結路分岐から晴海線分岐までが検討されるのでしょう。
晴海線はがん研究センターの横から波除通りに沿う形で東へ進み、築地市場の跡地を経由する方向性となりました。市場跡地付近に築地出入口を設置する予定です。
一方、築地川公園として確保されている用地は、高速道路としては使われないことになります。
神田橋から晴海へ
全て完成すれば、神田橋から八重洲線、新京橋連結路、京橋、銀座を経て晴海線方面に抜けるルートができあがります。
新橋方面と晴海線の行き来ができませんが、晴海線の整備目的は、江戸橋、箱崎 JCTなどの渋滞ポイントを避けて都心と湾岸線をつなぐことですので、なくても事足ります。新橋方面から湾岸線は、レインボーブリッジを経由するルートで代替できます。
新たな都心環状線ルートとなる新京橋連結路は、日本橋区間地下化の工事工程と合わせて事業を実施する必要があり、2035年度の開通を目標としています。晴海線の銀座~晴海間の整備計画は未定ですが、できるとしても、その後になるでしょう。(鎌倉淳)