南北線品川延伸計画の全詳細。ルートや開業時期、想定ダイヤを総まとめ

2030年代半ばにも開業?

国土交通省の答申により、着工に向け前進したのが、東京メトロ南北線の品川延伸。「都心部・品川地下鉄構想」です。どのような計画なのか、詳細を見ていきましょう。

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白金高輪~品川間

国土交通省が設置した交通政策審議会鉄道部会「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会」は、2021年7月15日に答申を公表しました。答申では、東京8号線(メトロ有楽町線)の豊洲~住吉間と、都心部・品川地下鉄構想について、「早期の事業化を図るべき」と建設を促しました。

このうち都心部・品川地下鉄構想は、東京メトロ南北線の白金高輪駅~品川駅を結ぶ地下鉄計画です。今回の答申で、事業主体が東京メトロと位置づけられたため、メトロの新線となります。

答申では、東京メトロ株上場と新線事業化がセットで論じられているため、メトロ株上場が実現するなら、品川地下鉄の建設も、ほぼ確実になったといえます。

南北線9000系

品川地下鉄計画の歴史

まずは、品川地下鉄構想の歴史を振り返りましょう。この計画は、東京都が2015年7月10日に発表した「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」にさかのぼります。

この「まとめ」を受けて、2016年4月20日に発表された交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」で、品川地下鉄は「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」と位置づけられました。

つまり、品川地下鉄は、東京都が2015年に初めて公表し、2016年に国に認められるという、早い展開を見せたわけです。これまで品川駅にはメトロ線がありませんでしたが、リニアの始発駅になることが決まり、アクセス強化の必要性が高まったことなどから、都と国が足並みを揃えて整備に乗り出したと見ることができます。

品川駅は山手線沿線へのアクセスはいいのですが、六本木や永田町といった山手線内へのエリアへは、近いわりに不便です。品川地下鉄はそれを改善する路線となります。

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白金高輪駅からの分岐は?

品川地下鉄の概要は、2019年3月の交通政策審議会「東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査」によって初めて示されました。

それによりますと、品川地下鉄の路線延長は2.5km、所要時間4分で、途中駅は設置されません。事業費は800億円(建設費763億円、車両費37億円)、建設期間は10年間を要すると見積もられました。

白金高輪駅には東京メトロ南北線と都営三田線が乗り入れており、2面4線のホームがあります。このうち外側2線が目黒方面に延びており、内側の2線が白金高輪止まりになっています。この内側2線を品川方面に延ばします。内側2線は南北線が使用していることもあり、品川地下鉄は南北線永田町方面へ直通しやすい形になります。

新線の運行頻度は全時間帯で毎時12本と想定しています。全ての列車が東京メトロ南北線(麻布十番方面)または都営地下鉄三田線(三田方面)と直通運転します。直通方向は両線に半数ずつを基本とし、日中のみ南北線方面を毎時8本、三田線方面を毎時4本と想定しています。

ただ、これらは南北線の事業主体が決まっていない段階での想定のため、メトロが整備するとなれば、運用が異なる可能性はあります。

品川地下鉄計画のルート

品川地下鉄のルートは2つ検討されました。目黒通りから南に折れて、さらに東に向かい、整備中の環状4号の地下を抜け、国道15号に入ってJR・京急線と平行に品川駅を配置するルート(Aルート)。もう一つは、目黒通りから南に折れるのは同じですが、柘榴坂の下に入って、国道15号やJR・京急線と直行する形で品川駅を配置するルートです(Bルート)。

南北線品川延伸ルート
画像: 東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査

輸送人員を予想したところ、Aルートが1日13.4万人、Bルートが7.8万人となり、品川駅でのJR・京急線への乗換距離が短いAルートが多くなることが示されました。そのため、Aルートが採用される可能性が高いでしょう。

白金高輪駅から、国道1号線をそのまま南に進めばいいのでは、と思う方もいるかもしれませんが、延伸予定の内側2線の引き上げ線が目黒通り方面に伸びてしまっているので、国道1号方面へは伸ばせないようです。

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品川駅の位置

では、メトロ南北線品川駅は、どこに設けられるのでしょうか。Aルートの場合、有力なのは国道15号直下です。国交省の「第18回スーパー・メガリージョン構想検討会」資料では、地下鉄の品川駅は、国道15号の西側拡幅予定地付近、現在のシナガワグースから品川プリンスホテルにかけての地下に描かれています。

地下鉄品川駅位置
画像:第18回スーパー・メガリージョン構想検討会

品川駅西口では大規模な再開発が予定されていて、交通と防災が融合した複合ターミナルが作られますが、地下鉄の駅もそこに組み込まれる形で設計されそうです。

JR・京急の品川駅も現在大改造中で、京急線ホームを地上化して、JR線と並列させる工事が進められています。2階レベルに歩行者デッキが設けられるので、JR・京急線からメトロ南北線への乗り換えは、いったん2階に上がってから、地下に下がるというルートになりそうです。

JR・京急のホーム下に地下通路が設けられれば、乗り換え時間は短くなりそうですが、いまのところ、そうした計画はありません。

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完成時期は?

気になる完成時期ですが、現時点では明示されていません。これまでに公表された資料では、建設期間は10年となっていますので、ただちに着工しても、完成は2030年代前半です。

また、導入空間となる環状4号線は現在工事中で、工事期間は、2032年度までとされています。品川地下鉄を環状4号線と一体整備をするなら、やはり完成は2030年代前半になると見込まれます。

品川駅西口の再開発の完成時期は見通せませんが、これも現状は、緒に就いたばかりなので、早くても2030年頃になるとみられます。

こうした状況から、メトロ南北線の品川延伸が実現するのは、早くても2030年代半ばとみるのが妥当でしょう。民有地の地下を通るため、地権者との交渉に時間がかかると、もっと遅くなることもありそうです。(鎌倉淳)

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