東京都「臨海BRT」の詳細。運行計画、停留所位置を公表。

3段階で本格運行へ

東京都が、都心と臨海地域を結ぶバス高速輸送システム(BRT)の運行計画を発表しました。2020年春から虎ノ門~晴海間でプレ運行を開始し、2022年度に本格運行に移行します。

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3段階で本格運行へ

BRTとは、「Bus Rapid Transit」の略。連節バス、ICカードシステム、道路改良などにより、路面電車と遜色のない輸送力と機能を有した、新しいバスシステムです。東京都では、新橋・虎ノ門と臨海エリアを結ぶ新しい交通機関として導入を計画しています。

このほど発表された事業計画によりますと、都のBRTは、都心と臨海部を結ぶ幹線道路「環状2号」の整備状況にあわせ、順次路線を拡大していきます。環2の地上部道路が開通する2020年春にプレ運行を開始。さらに、東京五輪・パラリンピック後に運行エリアを拡大し、環2が全線開通する2022年度に本格運行を開始します。

臨海BRTスケジュール
画像:東京都

当初のプレ運行は、虎ノ門・新橋駅と晴海を結ぶ1路線のみ。オリンピック・パラリンピック後には、虎ノ門~東京テレポート駅(幹線ルート)、虎ノ門~豊洲駅~市場前(晴海・豊洲ルート)、新橋駅~勝どき(勝どきルート)、を運行し、計3路線になります。

2022年度にはじまる本格運行では、オリンピック選手村の宿泊施設を転用したマンションのまちびらきにあわせ、新橋駅~晴海五丁目(選手村ルート)も開設し、計4路線とします。

さらに東京駅や東京ビッグサイト、2020年に完成する新客船埠頭「東京国際クルーズターミナル」などを結ぶルートも今後検討されます。

臨海BRT路線図
画像:東京都資料。停留所名はすべて仮称。

停留所は15カ所

設置される停留所、ターミナルの予定地は15箇所です。

・虎ノ門[日比谷線虎ノ門新駅付近]
・新橋駅[ゆりかもめ新橋駅付近]
・勝どき[勝どき陸橋交差点付近]
・晴海五丁目(選手村)
・市場前駅[ゆりかもめ市場前駅隣接]
・有明テニスの森駅[ゆりかもめ有明テニスの森駅隣接]
・国際展示場駅[りんかい線国際展地場駅隣接]
・東京ビックサイト[ゆりかもめ国際展示場正門駅付近。大型イベント時に乗り入れ]
・東京テレポート駅[りんかい線東京テレポート駅隣接]
・晴海三丁目[月島警察署付近]
・晴海二丁目[トリトンスクエア付近・交通ターミナルを想定]
・豊洲駅[有楽町線豊洲駅隣接]
・東京駅[八重洲口付近]
・銀座[今後検討]
・東京国際クルーズターミナル[大型客船寄港時の乗り入れを検討]

停留所は車いすの人もスムーズに乗り降りできるように、車両との間に高低差がないバリアフリーの設計となります。

臨海BRT停留所位置
画像:東京都。停留所名は仮称です。

運賃収受に新方式

プレ運行時の表定速度は11~15km/h程度、運賃220円、前トビラ乗車が原則となり、これまでの路線バスとあまり変わりありません。

本格運行時には、LRT水準の表定速度20km/hを目指します。運賃も値上げが検討され、全トビラから乗車できるようになります。

運賃収受は、当初は一般の路線バスと同様になりますが、本格運行時には、車内での現金収受をしない、新しい方式を検討しています。これにより、全トビラからのスムーズな乗降を実現し、速達性の向上を目指します。

具体的には、交通系ICカードを基本としながら、現金対応の券売機を停留所に設置するなどが検討されています。

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日中5分間隔

新橋駅~勝どき間の運行本数は、プレ運行時が日中に毎時4本、ピーク時に毎時6本程度を予定しています。

本格運行開始時には、日中に毎時12便(幹線6便、晴海・豊洲6便)、ピーク時に毎時20便(幹線6便、晴海・豊洲6便、勝どき2便、選手村6便)を想定しています。

日中は新橋駅~勝どき間が5分間隔、勝どき以南は、幹線と晴海・豊洲がそれぞれ10分間隔となります。日中の選手村ルートは運行計画がありません。

臨海BRT輸送力
画像:東京都

このほか、区間便や急行便の運行も検討します。運行時間帯は5時~24時です。

運行本数に関しては、やや少ないかな、というのが正直な印象です。とくにプレ運行時は、ピーク時でも毎時450人程度の輸送力。大江戸線1列車分にも満たない定員です。「BRT」と銘打っていても、普通の路線バスの増便程度の感覚で受け止めたほうが良さそうです。

所要時間は未発表ですが、表定速度20km/hが実現できるなら、新橋駅~晴海三丁目・晴海五丁目間が10分以内、新橋駅~国際展示場駅間が20分以内で結ばれます。

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燃料電池バスを導入

車両は単車バスと連節バスの2種類。単車バスは本格運行時に、全車が燃料電池バスとなります。連節バスは低公害車で、将来的には燃料電池車の全数導入を目指します。

臨海BRTでは、専用レーンは原則としてありません。信号の少ない環2を主要ルートとし、停留所を絞り、スムーズな乗降を実現することなどで、定時性と速達性を確保する方針です。

ただ、現状で晴海三丁目交差点から豊洲駅付近まで、朝ラッシュ時にバス専用レーンが設置されていることもあり、BRTでもピーク時間帯には専用レーンが設けられるかもしれません。

名称も募集中!

東京都では、臨海BRTの名称を募集しています。名称の例としてあげられているのが「東京臨海BRT」「東京湾岸BRT」「東京BRT」など。応募締め切りは2018年9月18日です。

普通に考えれば「りんかいBRT」くらいがわかりやすくていいと思いますが、例示から察するに「東京●●BRT」がデフォルトに感じられます。

「東京さくらトラム」の前例もありますし、「東京つつじBRT」やら「東京かもめBRT」、「東京とびうおBRT」などが、候補に挙がるのかもしれません。利用者としては、短めで言いやすい名称でお願いしたいところですが。

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