奥尻島を上手に観光する方法と注意点。フェリー、飛行機、バス、レンタカーをどう組み合わせるか。ホテルが少なく、宿泊もポイント

北海道の江差沖に浮かぶ島が奥尻島です。7月~8月は生ウニの漁期で、観光客でもっとも賑わいます。ウニ以外にも、海の幸豊富な奥尻島は、魅力ある北の離島ですが、訪問するとなると、かなり面倒。交通機関が不備で、宿泊施設も少ないからです。ここでは、奥尻島を上手に観光する方法をまとめてみました。

まず、奥尻島へのアクセス方法を考えてみましょう。フェリーと飛行機の二つの選択肢があります。

奥尻島フェリー

フェリーでのアクセス

フェリーは、奥尻~江差が1日2往復、奥尻~瀬棚が1日1往復です。この2航路3往復を1つの船体で回しています。ダイヤは以下の通りです。

奥尻06:50~江差09:00
江差09:30~奥尻11:40
奥尻12:05~瀬棚13:40
瀬棚14:05~奥尻15:40
奥尻16:05~江差18:15
江差18:45~奥尻20:55

札幌方面から訪れる場合は、札幌と瀬棚を結ぶ高速バス「特急せたな号」が接続しています。札幌を朝8時30分発の「特急せたな号」に乗れば、瀬棚で30分ほどで乗り継げ、奥尻に15時40分に着けます。また、奥尻を12時05分のフェリーに乗れば、瀬棚で40分ほどで乗り継げ、札幌に18時40分に着けます。札幌からは、この接続で訪れるのがベストでしょう。

函館から訪れる場合は、江差までバスを使います。函館を朝7時10分に出るバスに乗ると、江差・姥神町フェリー前に9時07分に着き、朝9時30分発のフェリーに乗り継げます。また函館を15時50分に出るバスに乗れば、江差・姥神町フェリー前に17時59分に着きますので、18時45分のフェリーに乗り継げます。

帰路は、奥尻を6時50分のフェリーに乗ると、江差に9時に着きますが、バスは11時02分発までありません。函館着は12時58分になります。奥尻を16時05分のフェリーに乗ると、江差には18時15分に着きます。18時22分のバスに接続していますが、フェリーが少しでも遅れたら間に合いません。これが終バスですので、やや危険です。このように、函館→奥尻は接続はいいのですが、奥尻→江差の接続は良くありません。

東京から行く場合は、東京を午前中に出る飛行機に乗れば、函館空港から函館駅を経て、バス、フェリーと乗り継いで、夜のフェリーに間に合います。また、午前中に東京を出る東北新幹線と特急「白鳥」を乗り継いで、木古内から江差線を利用しても、夜のフェリーに間に合います。江差線は2014年5月に廃止されますが、代替バスが運行されるので、廃止後はそれを利用すればいいでしょう。

東京からの隠れルートとしては、「北斗星」を使うという手もあります。東京発「北斗星」で函館に6時35分に着くと、7時10分発のバスに間に合います。江差からは、夕方の江差行きフェリーに接続するバスに乗ると、函館駅に20時18分に着き、函館21時48分発の「北斗星」に間に合います。往復とも接続にムダがなく、合理的なルートになっています。

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飛行機でのアクセス

奥尻への空路は、函館から1日1往復があるだけです。
函館11:50→奥尻12:20
奥尻12:50→函館13:20
(※航空ダイヤは季節により変わります)

時間帯は適度ですが、羽田→函館→奥尻と飛ぶ場合は、函館での接続はあまりよくありません。帰路の、奥尻→函館→羽田と飛ぶ場合の接続は良好です。

ただし、空路には重大な問題があります。飛行機に接続するバスが、週末や学休日には運休になるのです。そのため、週末・学休日の空港への公共交通機関はタクシーしかありません。奥尻集落までなら5000円程度かかってしまいます。(2~3時間待つなら、毎日運行のバスがあります)。

レンタカー会社を選ぶときの注意点

奥尻島にはいくつかのレンタカー会社がありますが、空港近くにはレンタカー営業所はありません。空港配車または空港送迎を行っているのは「奥尻湯ノ浜温泉ホテルレンタカー営業所」だけのようです。そのため、奥尻空港でレンタカーを利用するなら、この会社のレンタカーの予約をしておく必要があります。空港に小さなカウンターがありますので、空いていれば当日でも利用できそうですが、小さな島で無予約はリスキーです。

往復ともフェリーを使うなら、奥尻集落のレンタカー会社で借りるといいでしょう。フェリー乗り場までの送迎は、どの会社も行っています。

島内のバス

島内の路線バスは主要区間を走っていますので、路線バスだけで主要な観光地を訪れることができます。しかし、運行本数が少ない上に、週末・学休日は運休する便が多いので、平日以外はあまり実用的ではありません。バスを使うなら、定期観光バスがいいでしょう。島内の見所を2時間半ほどで一回りしてくれます。フェリーへの接続も考慮されていて、バス旅行者には便利です。ただし、7月と8月だけしか運行されていません。

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モデルルートは?

札幌からのモデルルートは、「特急せたな号」とフェリーで訪れて宿に直行し、翌朝定期観光バスで島を一巡りし、フェリーと「特急せたな号」で戻る、というのが1泊定番コースです。

東京からのモデルルートは、いくつかあります。もっともオーソドックスと思われるのは、夜のフェリーで江差から入り、奥尻島で2泊し、朝のフェリーで江差へ戻る、という形です。ただ、これですと、帰りの奥尻発が6時50分ですので、6時前に起床する必要があります。早起きがイヤなら、帰りを午後の瀬棚行きフェリーにして、札幌経由で飛行機で帰るという方法もあります。

帰りのみ飛行機にするのも良い方法でしょう。13時前に奥尻を出れば、16時前には羽田に着けます。

夕方の江差行きフェリーでは、その日のうちに東京には帰れません。この場合は、上述した「北斗星」で帰京するしかありませんが、江差港での接続を考えると、若干リスキーです。

宿泊施設

奥尻島では宿泊施設も限られます。とくに、最近、青苗地区の大きな旅館が廃業したので、ピークシーズンの宿泊施設は満室が多くなりがちです。どこでもよければ見つかるでしょうが、「いい宿」はとくに限られますので、早めの予約をしておきましょう。

ホテルは「奥尻湯ノ浜温泉ホテル緑館」だけで、あとは旅館・民宿です。「緑館」は、温泉もあり、おすすめですが、団体ツアーの御用達ホテルであることも頭に入れておきましょう。

他の人気宿としては、「楽天トラベルアワード」に二度輝いた「御宿きくち」などがあります。「御宿きくち」は、ウニやアワビの料理が好評です。食事を重視するなら、ホテルよりも、こうした食事に定評のある旅館のほうがいいかもしれません。

観光シーズンを外さずに!

奥尻島の観光シーズンは、やはり生ウニが食べられる7月中旬~8月中旬でしょう。生ウニの漁期はとても短く、その年によって期間は変わりますので、ぜひ確認の上、おでかけください。

いっぽう、観光シーズン以外の奥尻は、とっても静かだそうです。(観光シーズンでも十分静かですが……)。観光客の少ないときにこそ、離島の旅情が味わえるという人もいます。

函館や札幌でよく見かける外国人観光客も、奥尻島ではほとんど見かけません。まだまだ観光的にはフロンティアの奥尻島ですが、北海道新幹線が開業すれば姿が変わるかもしれません。いまのうちに行っておくといいでしょう。

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