首都高速道路の地下化にあわせた日本橋の再開発事業がスタートしました。日本橋駅直結の52階タワーを中心とした大規模な再開発で、日本橋はどう変わるのでしょうか。
日本橋から江戸橋へ
三井不動産と野村不動産は、東京・日本橋川沿いの再開発である「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」を2021年12月6日に着工しました。2026年3月末の竣工を予定しています。
日本橋川沿いには、首都高速道路の地下化とあわせて6つの再開発地区があります。西から常磐橋街区、八重洲一丁目北地区、日本橋一丁目1、2番街区、日本橋一丁目中地区、日本橋一丁目東地区と、北岸の室町一丁目地区です。
今回着工した日本橋一丁目中地区は日本橋から江戸橋にかけての区域で、日本橋再開発の中核的なエリアです。区域面積は約30,000平方メートルあり、A、B、Cの3街区に分かれています。順に紹介していきましょう。
日本橋野村ビル旧館を保存
A街区は、1930年に竣工した日本橋野村ビル旧館の外観を保存活用するレトロな雰囲気の建物です。地上4階、地下1階建てで、1、2階が商業施設、3、4階が業務施設となります。4階建てと聞くと小規模ですが、高さは約32mあり、通常のビルの7~8階建て程度に相当します。
下の図で、右の建物がA街区、左がB街区、奥がC街区です。日本橋川の首都高速は地下に潜り、すっきりしとした空間になりそうです。
日本橋野村ビル旧館は貴重な近代建築物として中央区指定有形文化財に指定されています。再開発に関わる野村不動産は1957年にこのエリアで創業しましたが、以下はその当時の写真です。こちらは、まだ首都高速がない時代でした。
B街区には住戸も
B街区はA街区との一体感のある地上7階、地下2階建てのビルを建設します。1~3階が商業施設、4~7階が住戸です。住戸は約50戸を予定しています。
ビルの高さは約31mで、A街区の野村ビル旧館とほぼ同じです。
最高級ヒルトンが開業
C街区が再開発の中核施設で、地上52階、地下5階、塔屋3階、高さ約284mのタワーが建設されます。地下1階~4階が商業施設、5~8階が大型ホールなどのMICE施設、10~38階がオフィス、39~47階がホテルです。
商業施設は地上3階と地下1階でコレド日本橋(D街区。開業済)と連絡通路で接続し、一体的な商業ゾーンとなります。MICE施設の大型ホールは最大3,000人収容の規模で、国際会議にも対応します。
上層のホテルには、ヒルトンが運営する最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」が入ります。客室数は197室。3つのレストランと、ラウンジ・バー、屋内プール、スパ、フィットネスセンター、宴会場、チャペルを備えます。
また、10階と22階には屋外スカイガーデンを設け、展望施設となります。
48階~51階は居住施設とされています。「国内外のビジネスパーソンの中長期的な滞在にも対応し、コンシェルジュサービスも備えた約100戸の居住施設」だそうです。いわゆる「超高級レジデンス」といえそうです。
日本橋駅と直結
日本橋一丁目中地区は、まさに「日本橋のたもと」に位置します。
鉄道アクセスとしては、メトロ銀座線・東西線の日本橋駅まで地下歩道を整備して直結します。また、都営浅草線日本橋駅に新たに改札を整備して直結します。
そのほか、メトロ半蔵門線三越前駅からは徒歩3分、JR東京駅からは徒歩10分のアクセスです。将来的には周辺街区の開発にともない、東京駅日本橋口から日本橋駅まで地下通路が整備される予定があり、完成すれば東京駅から地下道でアクセスできます。
日本橋の雰囲気を一変させそうな再開発の第1弾です。2026年の開業が楽しみです。(鎌倉淳)