新横浜駅篠原口の再開発が動き出す。JR横浜線南側で新たなまちづくりへ

3街区を整備

横浜市は、新横浜駅篠原口(南口)のまちづくり計画(案)を公表しました。新横浜駅南側の再開発計画です。概要を見てみましょう。

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新横浜駅のJR東日本改札口

新横浜駅篠原口(南口)は、JR横浜線の南側にあるJR東日本の改札口です。

新横浜駅は東海道新幹線の全列車が停車するターミナルですが、篠原口の駅前には駐輪場やコインパーキングが広がり、商業施設はまばら。ビルが建ち並ぶJR東海サイドの北口に比べて、整備が遅れています。

駅の入口もご覧の通り、昭和の郊外駅のようなたたずまいを残しています。

新横浜駅南口

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再開発計画は頓挫

再開発計画がこれまでになかったわけではなく、「新横浜駅南部地区」として37ヘクタールにおよぶ大規模な土地区画整理事業計画があり、1994年に都市計画が決定しています。

この計画では、新横浜駅の南側を4つのエリアに分け、都市計画道路として新横浜篠原線(幅員25m)と新横浜南口線(幅員20m)を整備し、駅前に広場を設けるものでした。駅前に商業・業務機能を集積し、周辺に良好な住環境を整備するという計画です。

しかし、地域住民の合意形成ができずに頓挫。土地区画整理の事業計画は2003年に廃止されました。

新横浜南部地区都市計画
1994年の都市計画。画像:横浜市
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まちづくり計画案

その後、地域との話し合いを重ね、2010年に「新横浜駅南部地区の新たなまちづくりの考え方(案)」を策定。2018年に駅前約3.5ヘクタールの範囲を対象に、地権者による市街地再開発準備組合が設立され、駅前再開発の検討が行われてきました。

その検討がまとまり、2023年2月1日に「新横浜駅篠原口のまちづくり計画(案)」として公表されました。

新たなまちづくりの軸となるのは、駅前から延びる道路です。過去の土地区画事業でも計画された新横浜篠原線ですが、新たなまちづくり計画案では、既存の地区幹線道路に極力沿った形で拡幅整備します。

ただし、駅前については、既存の道路にとらわれず、まちの顔となる駅前空間を形成します。ロータリーを備え、周辺に広場や駐輪場、地下貯水池を整備します。

新横浜篠原線道路
新横浜駅篠原口のまちづくり計画(案)
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3つの街区を整備

駅前では3つの街区を整備します。駅に近い1街区が高層業務商業棟、少し離れた2街区が高層集合住宅棟、広場の南側にある3街区が中低層の集合住宅棟です。

具体的な内容は決まっていませんが、1街区が駅に隣接した複合ビルで、スーパーなどの商業施設や保育園といった生活利便施設、さらにオフィスなどが入るのでしょう。2街区はいわゆるタワーマンションになりそうです。3街区は中低層マンションでしょうか。

市街地再開発準備組合は、事業協力者として、日鉄興和不動産・東京急行電鉄JVと協定書を締結しています。

新横浜駅篠原口再開発
新横浜駅篠原口のまちづくり計画(案)
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近隣の道路拡幅も

今回、再開発の対象となるのは、菊名146号線と呼ばれる南北に延びる道路の西側で、横浜線の南側です。横浜線の北側で東海道新幹線の南側のエリアについては対象外です。ただ、菊名70号線の篠原郵便局前の道路が狭く、信号交互通行になっているため、拡幅します。

また、篠原町から新横浜1丁目方面へ抜ける菊名245号線(ファミリーマート前)についても拡幅します。いずれもクルマが相互通行できるようにし、十分な歩行空間を確保します。

今後は、この案をベースにまちづくり計画を策定し、都市計画決定を経て、駅前再開発事業に着手することになります。

新横浜駅篠原口再開発
新横浜駅篠原口のまちづくり計画(案)
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既存都市計画は廃止

完成時期は未定です。エリア全体には1994年の都市計画が残されていて建築制限もかかっていることから、空き地が多数あります。そのため、新たな都市計画が決定すれば、ゼロから再開発に着手するのに比べれば短期間で整備できそうです。

なお、新たな計画が決定すれば、これまで形式的に残されていた都市計画は廃止します。

1994年の再開発計画に比べれば10分の1程度の規模にとどまり、地域住民の合意を経て再開発が進むのは歓迎すべきことでしょう。再開発はなによりも地域住民のためですが、地域外からやってくる旅行者もよく使う駅ですので、完成が楽しみです。(鎌倉淳)

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