「全長66kmの新幹線」が2022年秋に誕生。長崎新幹線、在来線と乗り継ぐリレー方式で開業へ

九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の開業時期が2022年秋頃に決まりました。武雄温泉駅で乗り継ぐリレー方式による暫定開業です。鉄道・運輸機構などが明らかにしました。

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土木工事はほぼ完了

九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)は、武雄温泉~長崎間約66kmが建設中です。2022年度中の開業を目指して工事が進められてきましたが、鉄道・運輸機構とJR九州は、開業時期が2022年秋頃になると発表しました。

現在の工事状況は、トンネルや橋梁といった土木工事は完了しつつあり、軌道・電気・駅舎建築工事などに移行しているところです。

これらの工事完了後には、新幹線施設の検査や走行試験、乗務員の訓練運転、国土交通省による完成検査等がありますが、それらのスケジュールは見通せるため、2022年秋に開業見込みと公表したものです。

開業日など詳細は明らかではありません。長崎新幹線開業によるダイヤ改正で、長崎・佐世保線の特急列車の運行体系が大きく変わります。

長崎新幹線ルート
画像:長崎県

「暫定」いつまで?

長崎新幹線のうち、新鳥栖~武雄温泉間については、整備方式すら確定していません。もともとはフリーゲージトレインを導入して新在直通をする計画でしたが、開発が難航して頓挫したためです。

国土交通省は、フル規格での建設を目指す方針に転換し、環境影響評価を行うことを提案していますが、佐賀県は、財政負担や在来線の三セク移管などを嫌い、反対しています。

このため、長崎新幹線は、武雄温泉~長崎間で最高速度260km/hのフル規格新幹線として2022年秋に運転が始まる一方、博多~武雄温泉間は在来線の特急が今後も走り続けます。在来線と新幹線が武雄温泉で連絡する「リレー方式」の暫定開業となります。

「暫定」がいつまで続くのかは定かではありません。振り返れば、確立していない新技術を頼りに、路線の先端部だけ先に建設したことに事の発端があります。解決の見通しは立っておらず、「全長66kmの残念な新幹線」は当分続きそうです。

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