南阿蘇鉄道の豊肥線乗り入れが実現しそうです。JR九州の協力を得て、すでに設計に着手しています。
再生協議会がJRに要望
南阿蘇鉄道は、熊本県の立野~高森間17.1kmを結ぶ第三セクター鉄道です。熊本地震で被災し、中松~立野間10.6kmで不通が続いています。全線復旧は2023年夏の見通しで、南阿蘇鉄道と熊本県、沿線自治体でつくる「南阿蘇鉄道再生協議会」は、復旧にあわせてJR豊肥線への乗り入れをJR九州に要望していました。
これについて同協議会は、2021年11月25日の会合で、豊肥線乗り入れが実現する見通しとなったことを明らかにしました。すでに南阿蘇鉄道とJR九州の両者で設計に着手しているとのことです。
乗り入れ区間は、立野~肥後大津間の9.7km。肥後大津~熊本の電化区間には乗り入れません。南阿蘇鉄道の車両が肥後大津まで乗り入れる形で検討が進められているようです。
一駅乗り換えで熊本駅へ
豊肥線は熊本~肥後大津が電化区間で、普通列車の系統は肥後大津で分割されています。そのため、これまで、熊本市内から普通列車で南阿蘇鉄道を利用する場合、肥後大津駅、立野駅の2駅で乗り換えが必要でした。
直通運転が実現すると、立野駅での乗り換えが解消し、熊本駅から一度の乗り換えで南阿蘇鉄道が利用できます。肥後大津駅は熊本空港の最寄駅でもあり、観光需要の掘り起こしにもつながるでしょう。
協議会の試算では、肥後大津乗り入れにより、立野駅での乗り換え解消で移動時間が約7分短縮します。乗客数は熊本地震前(2015年度で約25万7000人)から27%の増加が見込まれます。
事業費4億2000万円
乗り入れに伴う事業費は、立野駅周辺での信号整備などで約4億2000万円を想定。当初は高森町と南阿蘇村での折半する方向でしたが、25日の会合で、協議会は県にも財政負担を要望しました。県は前向きに検討します。
南阿蘇鉄道は旧国鉄高森線が、1986年に第三セクターに転換された路線です。国鉄時代は熊本への直通列車が運転されていましたが、転換後は廃止されました。
久しぶりの「豊肥線直通」の復活で、南阿蘇鉄道がどう変わるのか、楽しみです。(鎌倉淳)