ローカル私鉄の車両の老朽化が進んでいます。過半数の車齢が31年以上で、トンネルや橋梁も築50年以上のものが増えています。
車齢51年以上が23%
政府が公表した「交通政策白書」によりますと、中小民鉄及び第三セクターのいわゆる「ローカル私鉄」の所有車両は、2020年度末で2,813両です。このうち、車齢51年以上が660両で23%、車齢31年以上50年以下が911両で32%を占めます。あわせて55%が、車齢31年以上となります。
車齢30年程度の車両はJRや大手私鉄でも使われているので珍しいとはいえませんが、車齢50年以上となると、老朽化が目立ってきます。
ちなみに、減価償却資産の評価に用いる耐用年数は、気動車が11年、電車が13年です。資産評価の耐用年数と機械の寿命は一致しませんが、ローカル私鉄が車両更新を先送りして、古い車両を使い続けていることは確かなようです。
高度成長期の施設が老朽化
ローカル私鉄では、施設の老朽化も進んでいます。トンネルや橋梁の経過年数は、41年~60年がピークに。現在も存続しているローカル私鉄は、高度成長期に建設された国鉄路線を三セク化したものが多いためか、この年代の施設が多くみられます。
なかには、100年以上経過したトンネル、橋梁も現役で使われています。
輸送人員は下げ止まっていたが
ローカル私鉄の輸送人員については、1991年度をピークに、2002年度頃まで逓減傾向となり、その後下げ止まりを見せていました。それでも、2019年度はピーク時の約22%にまで落ち込んでいます。
さらに、2020年度は新型コロナ感染症の影響を受けた結果、2019年度と比較すると約28%の減少となりました。
経営状況は苦しく、経常収支が赤字の事業者は2019年度は79%。2020年度は98%に達しています。
このような状況で車両、トンネル、橋りょうの老朽化が進行しているわけで、更新費用の確保が今後の大きな課題になりそうです。(鎌倉淳)