新東名と横浜市内を結ぶ高速道路の開通時期が、延期となりました。これまで2025年度までに開通予定とされてきましたが、白紙に戻り、新たな時期は示されていません。
横浜湘南道路、横浜環状南線
新東名高速道路は海老名南JCTが起点(終点)で、東京方面への延伸予定は現時点で存在しません。そのかわり、接続する圏央道を釜利谷JCTまで延伸する工事が進められていて、完成すれば、横浜新道や横浜横須賀道路、首都高速湾岸線と直結します。
圏央道は藤沢ICまで開通しており、その先、藤沢IC~栄JCTと、戸塚IC~栄JCT~釜利谷JCT間の計16.4kmが建設中です。このうち、藤沢IC~栄JCT間7.5kmが「横浜湘南道路」、戸塚IC~栄JCT~釜利谷JCT間8.9kmが「高速横浜環状南線」として建設されています。
開通見込みは、藤沢IC~栄IC間が2024年度、戸塚IC~釜利谷JCT間が2025年度と発表されていました。しかし、建設を進めている国土交通省とNEXCO東日本は、2022年8月3日に、この開通予定を撤回。新たな開通予定を明らかにしませんでした。
シールドマシンの掘削停止で
国土交通省関東地方整備局によりますと、横浜湘南道路はトンネルを掘削するシールドマシンが地下で支障物に接触。2019年11月から2021年6月まで1年半ほど稼働が停止しました。現在までに掘削完了したのは本線トンネル5.4km(上下線10.8km)のうち、約2.6km(2.4kmと0.2km)にとどまります。
横浜環状南線のシールドトンネルは、桂台地区で2021年7月にシールドマシンのモーターが故障して掘削を停止。2022年2月まで約半年停止していました。現在までに掘削完了したのは、本線トンネル1.4km(上下線2.8km)のうち、約1.2kmとなっています。
公田笠間地区では、2021年11月に掘進を開始したばかりで、本線トンネル1.7km(上下線3.4km)のうち、掘進したのは約0.1kmだけです。
2021年12月には「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」が新たに定められ、施工管理や周辺の生活環境への配慮のための取組が求められるようになりました。このため、掘進速度を調整するなど、慎重な施工が必要となっているということです。
2025年度開通は困難
こうした状況変化を受け、国交省では「現時点において全体事業工程を正確に把握することは困難」と判断。公表してきた2025年度までの藤沢IC~釜利谷JCT間の開通は困難であるとし、開通予定を撤回しました。
新たな開通目標については「トンネル掘進の状況等を踏まえ改めて公表する」とし、明確にしませんでした。
新東名全通に間に合うか
新東名高速は、新秦野IC~新御殿場IC間の約25kmが建設中で、この区間が開通すれば海老名南JCT~豊田東JCT間が全通します。建設中区間は2023年度の開通を予定していましたが、延期となっています。こちらも新たな開通予定は示されていません。
新東名も圏央道神奈川県区間も、着工はしていますので、いずれ開通するのは間違いありません。ただ、それがいつになるのかは判然としなくなりました。
新東名の開通前に圏央道の釜利谷延伸が実現するかも気になりますが、現時点では見通せません。(鎌倉淳)