宗谷線抜海駅が1年間存続へ。開業100周年まで、あと少し

2024年3月まで

宗谷線の抜海駅が2023年度も存続することになりました。稚内市が廃止方針を見直し、当面の存続を決めたものです。

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日本最北の無人駅

宗谷線抜海駅は、稚内市内にある日本最北の無人駅です。1日の利用者数は2.6人(2016-2020の平均)で、2019年には、JR北海道が廃止の意向を示しました。地元住民の反対などもあり、年間約100万円の維持管理費を稚内市が負担することで存続しています。

しかし、稚内市の工藤広市長は、2022年6月に、今後も利用者の増加が見込めないとして、市の負担による維持・存続を2022年度限りで終了する方針を表明。駅の廃止方針が示されました。

住民側は強く反発。町内会では、維持管理費をクラウドファンディングで集める考えを明らかにしました。7月に開かれた説明会後、工藤市長は、「市がJRに自治会の支払いや管理について保証することはやぶさかではない」とも話し、柔軟な姿勢も見せていました。

その後、文書での意見も受け付けたうえで、稚内市は8月11日に説明会を開き、2023年度も存続させる方針を伝えました。これにより、抜海駅は、2024年3月までの存続が事実上決まりました。

抜海駅

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2024年度以降は未定

抜海駅は、2024年6月25日に開業100周年を迎えます。100周年記念事業に向けたクラウドファンディングが行われ、目標金額の200万円を超える234万円を集めました。今回の稚内市の判断により、開業100周年を現役の駅として迎える可能性が残りました。

とはいえ、2024年4月以降の扱いは未定です。稚内市は、今後、代替交通手段の実証実験などを行う予定で、2023年5月をめどに2024年度以降の存廃を判断する見通しです。

抜海駅に現存する駅舎は、1924年開業当時に建てられた大正建築です。風情あふれる駅名とあわせて鉄道ファンには人気で、当面の存続が決まったのは何よりです。(鎌倉淳)

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