JR羽田空港アクセス線「八潮新駅」はできるか? 品川区が適地調査へ

八潮団地北側?

品川区が羽田空港アクセス線に新駅を設置する調査を開始します。新駅ができるとすればどこになるのでしょうか。

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田町~羽田空港

羽田空港アクセス線は、JR東日本が建設中の新路線で、東山手、西山手、臨海部ルートの3路線です。基軸となるのは田町駅付近から羽田空港を結ぶ東山手ルート約12.4kmで、すでに事業着手しています。

羽田空港アクセス線地図
画像:JR東日本グループ経営ビジョン「変革 2027」

公表された東山手ルートの環境影響評価書によりますと、途中に駅はありません。直通する上野東京ラインの新橋駅を出ると、次は、終点羽田空港駅です。

羽田空港アクセス線概略図
画像:「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価書
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品川区が調査

羽田空港アクセス線は、品川区の湾岸エリアを縦走する路線です。しかし、現在の計画では、鉄道ができても品川区は通過するだけです。それではメリットがないので、同区では途中駅を作れないか検討することにしました。

2022年度に770万円の予算を計上し、「どこに駅を作れるか」の調査を開始。調査を委託したのはJR東日本コンサルタンツです。

調査内容は、東山手、西山手、臨海部ルートの線形や周辺土地利用の状況を把握し、新駅の候補地を選定したうえで、概略平面計画を作成したり、概算工事費を計算することです。

現状では、新駅を作ることも、作るとしてどこに作るかも決まっていませんが、当記事では、もし駅ができるとしたらどのあたりになるのか、検討してみましょう。

羽田空港アクセス線品川区
画像:品川区「羽田空港アクセス線における新駅の可能性検討について」
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大汐線か貨物ターミナルか

まずは、事業着手している東山手ルートを見てみましょう。東山手ルートは、田町~東京貨物ターミナル付近で、既設の東海道貨物線(大汐線)を改良して活用します。その先、東京貨物ターミナル~羽田空港間の5kmは新線です。

細かく見ていくと、東海道接続区間1.5km、大汐線区間3.4km、東京貨物ターミナル区間2.5km、アクセス新線区間5.0kmの4つに区分できます。

このうち、東海道接続区間は、東海道線から立体交差で分岐する部分なので、駅を作るのに不適ですし、品川区域外です。また、アクセス新線区間はほぼ全線がトンネルで、後付けで駅を作るのは困難なうえ、こちらもほぼ品川区域外です。

したがって、東山手ルートで品川区に新駅を作るなら、大汐線区間と東京貨物ターミナルナル区間のどこかになります。地名でいえば品川区東品川か、同区八潮なので、「東品川新駅」か「八潮新駅」を検討することになります。

羽田空港アクセス線概略図
画像:「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価書
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品川埠頭

まずは、東品川新駅を検討してみましょう。東京モノレール天王洲アイル駅の東側、京浜運河を挟んだ品川埠頭なら、新駅を作ればそれなりに利用者がいそうです。

新駅位置を品川埠頭橋の東詰付近と仮定すれば、東京モノレールの天王洲アイル駅から400mほどの位置で、天王洲アイル駅の利用者が移ってくることも期待できるでしょう。

ただ、このあたりの大汐線は高架橋を走っていて、新幹線の引き上げ線とも平行していますので、上り線(新橋方面)ホームを設置する空間がありません。ホームを作るなら、下り線を東に移設した上で島式ホームを作るほかなさそうで、大変な工事になりそうです。

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八潮北公園付近

品川埠頭から南に下り、天王洲南運河を渡ると八潮地区に入ります。「八潮新駅」を検討すると、最初の候補地は八潮北公園付近でしょうか。地平区間なので、上下線にホームを設置しやすいかもしれません。

ただ、工場と幹線道路に挟まれた袋小路のような位置で、ここに駅を作ってどれほどの利用者が期待できるのか疑問です。これらの施設を移転して再開発するなら話は違ってきますが、隣接するのは発電所や清掃工場といった移転しにくい施設なので、難しそうです。

留置線付近

さらに南に下ると、東京貨物ターミナルに到達します。この付近には、羽田空港アクセス線の留置線などを設ける予定です。すなわち、土地に余裕があります。地平区間なので、技術的にも駅を作りやすいでしょう。場所としては、コンテナ埠頭公園付近でしょうか。

下の地図では、コンテナ埠頭公園左下の広い駐車場が、新線の留置線スペースになりますから、この一部を駅施設として活用することになります。

駅施設は作りやすそうですが、問題は利用客がどれほどいるのか、という点です。地図を見る限り、物流関連の企業は多いので、その通勤客はいるでしょう。ただ、周囲に住宅や商業施設はほとんどなく、とくに土日の利用者は少なそうです。

周辺を再開発するなら新駅の可能性は高まりそうですが、現在のこのエリアの物流拠点としての重要性を考えると、住宅や商業施設に転用することは考えづらいです。

羽田空港アクセス線留置線付近
画像:「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価書
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競馬場通り付近

さらに南に目を転じて、競馬場通りと交差する、みなとが丘ふ頭公園付近はどうでしょうか。競馬場通りをアクセス路とすれば、八潮団地やスポーツの森まで徒歩10分程度。太田市場や城南島方面への拠点にもなり、比較的多くの利用客が見込めそうです。

ただ、この付近の羽田空港アクセス線は、運輸業者の流通センターとりんかい線の八潮車両基地の間に挟まれた場所を走行するので、ホーム用地を確保できるかは疑問があります。

下図は大井中央陸橋から北側を見た場合の完成予想図ですが、JR線が4線を使っているため、右手はりんかい線施設との間にスペースがありませんし、左手の建物との間にも、ホームまでは作れないように感じられます。

羽田空港アクセス線
画像:「羽田空港アクセス線(仮称)整備事業」環境影響評価書

流通センターを移転すれば用地が空きますが、東京貨物ターミナルと隣接する重要な立地だけに、簡単には移転できないでしょう。

そう考えると、競馬場通り付近に駅を作るのは簡単ではなさそうです。

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西山手、臨海部ルートは?

西山手ルート、臨海部ルートはどうでしょうか。

西山手ルートは、東京貨物ターミナル付近から分岐して、地下で大井町方面に至り、りんかい線に接続する形が予想されます。

品川シーサイド~大井町間のりんかい線トンネルは上下2層式なので、りんかい線が大きくカーブしている品川シーサイド公園付近で、羽田空港アクセス線のトンネルを接続させる形を想定していると思われます。

八潮団地北付近

となると、新線として建設するのは東京貨物ターミナル~品川シーサイド公園付近間とみられますので、新駅を設置できそうな候補地はわずかです。

可能性があるとすれば、八潮団地の北付近でしょうか。新線は八潮団地入口バス停の地下付近を通過するようなので、そこに駅を作って欲しいと品川区が要望することはあり得るでしょう。

地下約20mに達するりんかい線に向かうトンネル内なので、勾配の問題はありそうですが、それがクリアできるなら、技術的に新駅が不可能という場所ではなさそうです。

品川シーサイド公園

京浜運河を渡った品川シーサイド公園の東付近も、駅を作ろうと思えば作れそうですが、りんかい線の駅が近くにありますし、ここにあえて新駅を求める必要性は小さい気がします。

臨海部ルートは、既存のりんかい線トンネルを活用すると思われるので、後付けで新駅を作るのは難しそうです。

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八潮団地新駅が有力か

こうして見てみると、JR羽田空港アクセス線で、品川区が新駅の設置を求めそうなのは、八潮団地北側付近が最有力に思えます。「八潮新駅」は、西山手ルートに要望するのでは、ということです。

八潮団地は1983年に完成し、1号棟から69号棟まで存在する巨大団地群で、約11,000人が住んでいます。ただ、品川区内では陸の孤島観のある場所で、最近は人口も減少傾向です。

ここに駅ができ、新宿と羽田空港へJR線で直結すれば、八潮団地の利便性は大きく向上するでしょう。既設線に新駅を作るのに比べれば、新線に新駅を作る方が容易です。西山手ルートはまだ事業着手前ですので、JRに働きかけるなら今のタイミングでしょう。

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貨物ターミナル付近は?

建設中の区間では、東京貨物ターミナル付近が駅を作りやすそうです。一定の通勤客も見込めるでしょう。ただ、JR東日本が新線建設時に駅を設置しない判断をしたのには理由があるはずで、現時点では必要性が認められなかったのでしょう。

品川区は、調査をする以上、そもそも八潮地区の利便性向上に駅が必要と考えているはずで、貨物ターミナル付近を候補地の一つと考えているのは確かでしょう。であるなら、調査結果を受けて、新駅を求める可能性はありそうです。

なお、当記事は筆者の個人的な見解です。八潮地区の新駅に関して事実として決定したことは何もありません。「八潮団地に駅ができる」と早合点して、不動産投資などしないようおすすめします。(鎌倉淳)

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