柏の葉キャンパス・流山おおたかの森~東京駅間を運行する高速バスが、5月16日に大幅に減便されます。2021年10月に運行開始した新路線ですが、開設から7ヶ月で縮小を余儀なくされた形です。
2021年10月運行開始
高速バス「柏の葉キャンパス・流山おおたかの森~東京駅線」(以下、柏の葉・流山~東京線)は、JRバス関東、東武バスセントラル、京成バスの3社が共同運行する路線です。2021年10月1日に運行を開始しました。
流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパス駅周辺と東京駅を常磐道経由で結びます。柏の葉キャンパス地区にある「国立がん研究センター」に全便が停車するなど、駅から少し離れた施設と東京駅を直結する形で路線が組まれています。
つくばエクスプレスが都心部と直結していますので、「柏の葉・流山~東京駅線」は鉄道の通勤路線と並行する高速バスといえます。首都圏でこうした路線は珍しく、実験的な新路線として注目を浴びていました。
半年あまりで大幅減便
しかし、利用は伸び悩んだようで、運行開始から半年あまりの2022年5月16日に大幅減便することが発表されました。
これまで、下り(東京駅発)8便、上り9便、計17便で運行してきましたが、新ダイヤでは下り4便、上り1便の計5便に縮小します。全ての便で「税関研修所」停留所への立ち寄りがなくなります。
新ダイヤでの下り4便は東京駅を16時~22時にかけて2時間毎に出発し、上り1便は13時すぎに柏エリアを出発します。
下り4便は夕ラッシュの通勤時間帯なので、それなりの着席需要があるのでしょう。一方、昼下がりの上り便の利用者は多くなさそうなので、回送に近い扱いなのかもしれません。
現ダイヤで運行している午前便は全て廃止されます。朝の上り便は5時台~7時台など通勤客の着席需要に応える形で設定されていますが、定時性の不安から朝の利用は伸び悩んだのでしょう。
ダイヤ改正にあわせて、JRバス関東が撤退。東武バスと京成バスの2社運行となります。東京駅八重洲南口発、日本橋口着は変わりません。
開設直後もガラガラで
筆者は路線開設直後に乗車しましたが、そのときの乗車ルポは以下に記しています。
このときも筆者以外に乗客はおらず、先行きに不安を覚えました。そのため、正直なところ、半年での運行縮小に驚きはありません。
首都圏の鉄道各社では、通勤時間帯の着席需要に応える座席サービスの導入が相次いでいます。しかし、つくばエクスプレスに導入予定はありません。したがって、沿線の着席需要に着目した高速バスを運行するという実験的な試みは悪くなかったと思います。
ただ、渋滞の激しい首都圏で高速バスの定時性に不安が大きいのも確かで、日常的な交通機関として定着するのに課題を残した形です。(鎌倉淳)