カムイスキーリンクスは「日本一のローカルスキー場」。この広さで1日券3100円は安すぎる!【ゲレンデ・レビュー】

地元民の利用がメインのスキー場を「ローカルスキー場」といいます。明確な定義はありませんが、旅行会社による「リフト券付きツアー」が設定されていないようなスキー場が該当します。たいていは地元企業や行政機関が運営している小規模なゲレンデですが、たまに大きなスキー場もあります。

なかでも「日本一のローカルスキー場」とでもいうべきなのが、カムイスキーリンクス。ローカルスキー場なのにゴンドラまで設置されているそうです。どんなところなのか、行ってみました。

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旭川市のローカルスキー場

カムイスキーリンクスは、北海道旭川市の西部にあります。旭川市が施設を所有し、民間に運営委託(指定管理)している、公設民営の「ローカルスキー場」です。

2017年2月下旬の平日に訪れてみると、無料の駐車場に泊まっているクルマはせいぜい数十台で、駐車場からセンターハウスまでは歩いてすぐ。このガラガラ感と手軽さは、ローカルスキー場ならではでしょう。

センターハウスは昭和の雰囲気が残ります。更衣室はありますが、休憩所は畳敷き。大型ロッカーの数は少なく、大人数の団体に対応するスキー場ではなさそうです。

カムイスキーリンクス

新型リフトにもフードなし

最初に向かって右手の第1リフト、第2リフトに乗り込んで中腹へ。リフトは最近架け替えられたばかりで、支柱はまだぴかぴかです。

でも、乗ってみるとちょっと寒い。ここは旭川。氷点下10度なんてザラ、という世界ですが、新型リフトにもフードはありません。というか、カムイスキーリンクスにフード付きリフトはありません。

カムイスキーリンクスリフト

ここに限った話ではないのですが、北海道のスキー場って、すごい寒いのにフード付きリフト少ないですよね。

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よく整備された圧雪バーン

第3リフトまで乗り継げば山頂まで行けますが、寒いので第2リフトで降りました。

「白樺コース」という圧雪バーンを滑り降りてみます。

これが超快適。

適度な傾斜、適度なコース幅、軽い雪質、そして何よりも、きっちりと整地されていて、滑りやすい。軽やかにベースまで滑り降りることができます。

白樺コース

驚くほど人がいない

次はゴンドラに乗ってみます。これも2014年12月に架け替えられたばかりで、まだ新しいです。秒速5mで、約2,300mを8分で結ぶとのこと。以前より多少早くなったようですが、ゴンドラの速さとしては標準的です。

山頂。

カムイスキーリンクス山頂

石狩平野の北端を眺められる絶景です。

ここから、第5リフト方面へ降りていきます。第5リフトのエリアは、旧国設神居山スキー場だったところで、メインゲレンデから独立しています。

行ってみると、かなりの急斜面ですが、古いゲレンデらしく広々としていて、適度なねじれもあり、なかなか楽しいコースです。

それにしても、まあ、驚くほど人がいません。リフトの係員も超ヒマそうです。こんなに人がいないのに、クローズしていないのはすごいなあ。

カムイスキーリンクス第5リフト

ツリーランコースも豊富

再びメインゲレンデに戻り、ロイヤル、シルキー、ゴールドなどのコースをひと通り滑ります。圧雪バーンの快適さは驚くほどですが、非圧雪斜面でも、雪が軽くコブが小さいので楽しく降りることができます。

筆者は行きませんでしたが、ツリーランコースも豊富にあります。ツリーランの「コース」はかなりおおざっぱに取られているようで、パウダー好きにはたまらないでしょう。

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ゲレ食は「昔ながら」

センターハウスの2階には、レストランがあります。

センターハウスレストラン

レストランと書きましたが、昔ながらの食堂、という感じでしょうか。

メニューは豊富とはいえず、豚汁定食を頼んでみました。

カムイスキーリンクス豚汁

味は、うーん。まあ、昔ながらのゲレ食です。カムイスキーリンクスのレストランは、もうちょっと頑張ってもいいのでは、と思います。

ただ、カムイスキーリンクスのゲレ食名物は、センターハウスの食堂ではなく、離れにある「らぁめん食堂Nobu」というお店。旭川ラーメンの名店らしいです。筆者は後で行こう、と思っていたら、閉店時間を過ぎてしまっていて、迂闊にも入れませんでした。残念。

山頂にもレストハウスがあります。喫茶コーナーもありますが、営業していませんでした。景色はなかなかで、くつろぐにはいいスペースです。

山頂レストハウス

リフト券は出色の安さ

さて、カムイスキーリンクスの敷地面積は166ヘクタール。ゲレンデを滑ってみた印象では、富良野には及ばないものの、マウントレースイと同じくらいの規模といえます。北海道の大規模スキー場の一角を占める存在といってもいいでしょう。

にもかかわわらず、リフト料金は1日券で3,100円。これは出色の安さです。5時間券、3時間券といった刻みもあり、その場合は2,000円台で、この良く整備された大規模ゲレンデを楽しめます。これだけの規模のゲレンデで、この料金には、ちょっと驚きます。

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ゲレンデサイドに宿がない

カムイスキーリンクスには、ゲレンデサイドに宿がなく、近隣にも民宿が数軒あるだけです。大規模なホテルは旭川市内まで行かなければありません。旭川市内までは、クルマで30分、バスで40分かかります。

こうした事情からか、東京からのスキーツアーはあまり組まれていません。ゲレンデでもはっきりとわかるツアー客らしき姿は少なく、関西からの学生団体が一組、練習しているだけでした。ツアー客の少なさが、ゲレンデに人が少ない理由でしょう。

カムイスキーリンクス

札幌からも日帰りできる

カムイスキーリンクスは、面積は100ヘクタールをゆうに超え、ゴンドラも備えるなど、規模はローカルどころではありません。設備充実で面積も広いのに、人は少ない。その意味で、「日本一の穴場スキー場」といえるかもしれません。

できることなら、センターハウスを拡充して、もう少し更衣室を使いやすくしてくれれば、日帰りでより使いやすくなるでしょう。レストランの食事メニューも少し見直せば、「日本一のローカルスキー場」として、死角がなくなるのではないでしょうか。

ベースの標高が150mと低いため、アクセスは簡単です。国道から脇道に入り少し坂を上るだけ。山道らしい山道はありません。札幌からもクルマで2時間かかりませんので、札幌ステイの旅行者も、日帰りで行ってみるといいでしょう。(鎌倉淳)

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