「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第10弾 群馬県を分析する。運も実力のうち?

ずうっと楽なわけないんだよ

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ゴール最終乗り継ぎは

つづいて、河合チーム2日目の検証に移ります。細かい検討に入る前に、河合チームが時間内にゴールするための最終乗り継ぎを先に調べておきましょう。沼田市中心部からのバスをたどると、以下のようになります。

▽2日目最終乗り継ぎ
[上之町14:15→昭和村役場前14:21→大森神社前14:27→14:32永井口]→タクシー14.5km、6,090円→渋川駅15:47→17:00高崎駅西口17:30→17:54白衣観音前

高崎市内で使うタクシー代を残していない場合、渋川駅15時47分発に乗るのが絶対条件です。沼田市内からバスに乗る場合は上之町を14時15分に出る必要があります。

また、この乗り継ぎでは、永井口~渋川駅のタクシー代6,090円が必要です。実際の河合チームは最終局面でタクシー代が4,630円しか残ってなかったので、4km程度は歩かなければなりません。

したがって、上記の最終乗り継ぎでは、10kmタクシー4km歩きを1時間15分で乗り継がなければならず、可能かどうかは微妙ですが、ここでは、フィジカルの強さを勘案して、可能だったと仮定して話を進めます。

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敗北は決まっていた

実際ルートでは、河合チームは昭和村役場14時21分発のバスに乗車して、大森神社前で下車し、昭和村の陣(道の駅あぐりーむ昭和)を取りに行っています。つまり、昭和村役場から「最終乗り継ぎ」のバスに乗ったものの、途中で降りてしまったわけです。

昭和村の陣取りに行かなければ、時間内にゴールできていました。ただし、その場合の獲得陣は7つにとどまり、敗北を喫します。

すなわち、大森神社前で乗り続ければ負け、降りればタイムアップという状況だったわけで、ゴールの可否にかかわらず、この段階で、河合チームの敗北は決まっていたことになります。

中道バス停に向かっていたら

引き分け以上に持ち込むには、実際ルートと違う形で2日目に5陣以上を得て、14時32分に永井口にいなければなりません。その方法はあったのでしょうか。

もっとも簡単な方法は、川場村の陣(大わらじ)から土橋バス停に向かうのではなく、より近い中道のバス停に向かうことです。片品村からのバスを中道で捕まえれば、一本早いバスで上之町に向かうことができます。

▽2日目
土橋10:44→10:52田園プラザ→徒歩0.9km→大わらじ(☆☆川場村)→徒歩3.6km→中道12:08→12:22上之町12:33→12:50昭和インター入口→徒歩すぐ→道の駅あぐりーむ昭和(☆☆昭和村)13:10頃→タクシー11km、4,560円→渋川市上白井付近→徒歩9km→渋川駅15:47→17:00高崎駅西口17:30→17:54白衣観音前

中道を12時08分に出るバスは、河合一行が土橋で乗ったバスより一本早い便です。これに乗れれば、上之町で昭和村役場方面に向かうバスに接続していました。このバスは昭和村の陣(道の駅)まで直行ですので、実際ルートより2時間以上早く、陣を確保できていたでしょう。

実際ルートでは昭和村の陣から渋川駅まで2時間程度で到達していますので、道の駅に13時すぎにいれば、渋川発15時47分の高崎行きに乗ることは十分可能です。この場合は、計9陣を得て18時直前にゴールに滑り込み、河合チームが勝利していました。

河合チームは、片品村の陣から川場村へ向かう際、土橋より手前で下車して村境まで歩くことも検討していました。ですから、中道バス停の存在に気付かなかったわけではないでしょう。道がわかりやすい土橋に向かってしまったと察せられますが、惜しいことでした。

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沼田の陣に戻っていたら

つぎに、取り逃した沼田市の陣(伽羅苑)を取っていたらどうかも考えてみます。河合チームは片品村からのバスを吹割の滝で途中下車して立ち寄ったものの、食事営業の時間外だったため諦めました。ただ、沼田~片品のバスの本数は多いので、営業時間に戻っていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
土橋10:44→10:52田園プラザ→徒歩0.9km→大わらじ(☆☆川場村)→徒歩3.6km→中道12:40→13:00吹割の滝→伽羅苑(☆沼田市)→吹割の滝13:36→14:10上之町14:15→14:32永井口

このように、「最終乗り継ぎ」に間に合います。この場合は、8陣を獲得してゴールできるので、引き分けとなります。

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高山村へ向かっていたら

もう一つの可能性としてあげられるのが、高山村方面でしょう。一行が川場村の陣(大わらじ)を得た後、中道からバスに乗り高山村を目指していたら、以下のような乗り継ぎが可能でした。

▽2日目
土橋10:44→10:52田園プラザ→徒歩0.9km→大わらじ(☆☆川場村)→徒歩3.6km→中道12:08→12:17沼田三軒屋12:45→13:15ロックハート城前(☆☆高山村)13:35→14:01材木町14:13→14:32永井口

高山村の陣をロックハート城と仮定して、20分でミッションが終わるのであれば、2陣を確保して永井口へ戻れます。これが実現できていれば2日目に6陣、合計9陣を取ってゴールしていたので勝利となるでしょう。

ただ、高山村の陣が同村のターミナルである中山本宿付近にあると、この乗り継ぎでは間に合わず、陣を確保できません。その場合は合計7陣にとどまりますので敗退します。

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朝に高山村へ向かっていたら

朝、最初に片品村ではなく、高山村に行っていたらどうなるでしょうか。

▽2日目
沼田駅06:25→06:55中山本宿(8時待ち)→徒歩2.2km→ロックハート城(☆☆高山村)09:30→10:01沼田三軒屋10:36→11:30道の駅尾瀬かたしな前(☆☆片品村)12:14→12:33吹割の滝→伽羅苑(☆沼田市)→吹割の滝13:36→14:10上之町14:15→14:32永井口

上記ではロックハート城に陣があると仮定して書いていますが、この乗り継ぎでは、高山村の陣が中山本宿付近でもロックハート城付近でも、2日目に5陣を取って計8陣となり、引き分けに持ち込めます。

河合チームは、高山村への意識があまりなかったようですが、沼田市中心部から比較的近く、バス便も多いので、検討してみてもよかったのではないか、という気がします。

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高崎市の陣を奪う

太川チームの計8陣を前提として、河合チームが勝利するには、沼田市近辺で2日目に6陣を得てゴールする必要がありました。しかし、河合チームがゴールの陣を奪うなら、4陣を得ればいいことになります。太川チームは計7陣になりますので、河合チームはゴールの陣を加えて8陣で勝利できます。

太川チームのゴールは16時02分ですから、それに間に合うには、以下のような乗り継ぎが必要です。

▽2日目
上之町06:34→07:31鎌田→徒歩0.3km→08:05道の駅尾瀬かたしな(☆☆片品村) 09:06→09:26吹割の滝→徒歩0.1km→伽羅苑(空振り)→徒歩0.1km→吹割の滝09:58→10:32上之町10:45→10:51大森神社前→徒歩2.6km→道の駅あぐりーむ昭和(☆☆昭和村)11:30→タクシー+徒歩、20km→渋川駅前13:19→14:32高崎駅西口15:00→15:25白衣観音前(☆高崎市)

2日目、伽羅苑で空振りするまでは実際ルートです。その後、川場村には足を伸ばさず、昭和村の陣だけを確保してまっすぐ高崎市に急げば、白衣観音に15時30分頃にゴールすることができました。この場合は、河合チームが高崎市の陣を手にしますので、2日目に合計5陣。1日目の3陣とあわせて8陣となります。

太川チームは高崎市の陣を失いますので7陣止まり。河合チームの勝利です。

ただ、この乗り継ぎでは、昭和村から渋川市までを1時間49分と仮定しています。実際ルートのように時間的に追い詰められているなら走れますが、そうでない状況で走れるかは微妙な気もします。

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まとめてみると

まとめてみると、初手で前橋方面へ向かって沼田へと転じた場合、机上論で方策を探れば9陣を取れますが、現実には難しいように感じられます。2日目に陣取りを早めに切り上げてゴールに先着しても勝利できますが、昭和村から渋川市へ走りきれるかは疑問で、こちらも現実的には難しそうです。

1日目の早い段階で沼田市に行ければ展開も変わりそうですが、渋川駅から上野入口へのバスが夕方までないので、事実上不可能です。

これに対し、初手で伊香保温泉に向かった場合、その勢いで草津町の陣を押さえれば、ゴールを除いて7陣を取るのは難しくなく、ゴールへの先着もしやすいので、8陣も視野に入ります。

ルイルイは草津温泉から伊香保温泉に戻ってしまいましたが、長野原町などを潰す戦術をとったとしても、計8陣を得るのは難しくなく、さらに上積みできる可能性もあります。

初手の選択が

とどのつまり、初手の選択が結果に大きく影響していたように感じられます。最初に伊香保温泉に向かった方が有利で、最初に前橋に向かうと厳しい戦いになる設定のようでした。

河合チームはジャンケンに勝って先発バスに乗った結果、不利な選択してしまったわけで、不運だったということでしょう。

一方のルイルイは、ジャンケンに負け後発となったことで有利なルートに進み、よく確認せずに乗ってしまった草津行きも悪くない選択だったということで、全体にツイていました。

ルイルイにしてみれば、「運も実力のうち」ということでしょうか。これで太川チームが5勝3敗2分けと、二つの勝ち越しです。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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