JR学園都市線に暗雲。北海道医療大が北広島移転を検討

末端部で利用者がいなくなる?

JR学園都市線(札沼線)に暗雲が漂ってきました。沿線の北海道医療大学が北広島市への移転を検討していることが明らかになったためです。

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札幌近郊の通勤・通学路線

JR学園都市線(札沼線)は、桑園~北海道医療大学間28.9kmの路線です。全ての列車が札幌駅に直通し、札幌近郊の通勤・通学路線として機能しています。

札沼線は北海道医療大学~新十津川間を2020年に廃止しましたが、北海道医療大学以南は利用者も多いことから、存廃議論が起きたことはありません。

そこへ、にわかに暗雲が漂ってきました。沿線の有力大学で、終着駅の駅名にもなっている北海道医療大学が、北広島市への移転を検討していると報じられたからです。

721系学園都市線

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北広島にキャンパスを集約

北海道新聞2023年9月22日付けよりますと、移転先は日本ハムファイターズのボールパーク(BP)付近。「2028年度にBP敷地内に新キャンパスを設置、当別キャンパスに加えて札幌市北区の札幌あいの里キャンパスと北海道医療大学病院も集約する」とのことです。

道医療大は、学園都市線沿線に当別キャンパスと札幌あいの里キャンパスを有していますが、その両方をボールパークに移転し、集約するというのです。移転は2028年度を予定していて、JR千歳線の新駅設置にあわせるようです。

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6~8割が札幌から通学

道医療大学の学生数は学生数は大学院を含め約3,600人、教職員数は約800人。大学資料によると、学部により6~8割程度が札幌市内から通学しており、その多くが学園都市線を利用しているようです。

仮に学園都市線利用者が、学生・教職員の半数と見積もっても、1日2,200人という計算です。大学が移転したら、この需要がすっぽり失われることになります。

学園都市線(桑園~医療大学間)の2022年度の輸送密度は15,684で、2,200人が乗らなくなることの影響は小さくありません。まして、学生・教職員が主力の末端部の影響は大きいでしょう。

道医療大学の学部定員の9割が当別キャンパスなので、およそ2,000人の需要が末端部で失われる可能性があります。大学側はグラウンドなどの施設を残すようですが、利用者は現在と比較にならないでしょう。

北海道医療大学駅

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利用者がほとんどいなくなる?

JR北海道の資料によると、北海道医療大学駅の乗車人員は、2013年度~2017年度の5年平均で2,174人(平日特定日調査)。つまり、北海道医療大学の学生・教職員がいなくなれば、利用者がほとんどいなくなることが予想されます。

国土数値情報によれば、隣の当別駅の2019年度の「乗降者数」は4,640人です。乗車人員が半分として約2,300人。これだけの利用があれば、当別以南が廃止になることはなさそうです。当別町内の学園都市線には、新駅「ロイズタウン駅」が2022年に開業したばかりで、観光客の利用も見込まれます。

しかし、当別~医療大学間に関しては予断を許さなくなってきました。学園都市線は、JR北海道のなかでは将来が明るい路線とみられてきましたが、今後は一部で厳しい局面が訪れるかもしれません。(鎌倉淳)

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