妙見の森ケーブル、12月に廃止前倒し。国交省が繰り上げ認める

冬季休業を前に

能勢電鉄が「妙見の森ケーブル」の廃止を前倒しします。国交省が繰り上げを認め、2023年12月4日に廃止されます。

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妙見口駅から1.5km

「妙見の森」は、能勢電鉄が妙見山で展開している観光事業です。能勢電鉄の終点妙見口駅から約1.5km離れた黒川駅を起点として「妙見の森ケーブル」(鋼索線)が運行しており、山上には能勢電鉄が運営する自然と遊びのエリアが広がります。

「妙見の森ケーブル」のほか、「妙見の森リフト」(索道線)といった乗り物や、バーベキュー場や遊具、足湯もあります。能勢電鉄は、こうしたエリア全体の事業を終了します。

妙見の森ケーブル

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12月4日廃止

能勢電鉄が6月に近畿運輸局に届け出たケーブルカー、リフトの廃止予定日は2024年6月24日でした。ただし、これは手続き上、鉄道事業を廃止できるのは届け出1年後になっているだけのことで、実際には廃止を繰り上げるとみられてきました。

実際、国土交通省は能勢電鉄に対し、9月12日付で「第一種鉄道事業(鋼索鉄道)の廃止について、廃止の日を繰り上げたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認める」 と通知。繰り上げが認められました。

これを受け、能勢電鉄は9月22日に、ケーブルカーが冬季休業に入る12月4日を以て廃止することを明らかにしました。12月3日が最終運行、12月4日付けで廃止となります。

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最急勾配23度

妙見の森ケーブルは黒川~ケーブル山上間666メートルを結んでいます。標高差223メートル、最急勾配23度、平均勾配20度です。定員51人の車両2両が最高速度8.6km/hで往復し、所要時間は約5分です。

妙見の森リフトは、ふれあい広場 ~ 妙見山の573メートルを結んでいます。高低差87メートルで、最急勾配17度、平均勾配8度です。搬器146個を擁するシングルリフトで、運転時速は2.9km/h。所要時間は約12分です。

妙見の森リフト

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標準軌のケーブルカー

妙見の森ケーブルは、国内で2箇所しかない標準軌のケーブルカーとして知られてきました。妙見の森ケーブルが廃止されると、国内で標準軌のケーブルカーは十国峠ケーブルカー(静岡県)のみとなります。

ケーブルカーの営業終了日を以て、リフトやバーベキューなどを含めた妙見の森事業の全てが終了となります。(鎌倉淳)

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