高速バス「はかた号」が、取消手数料(キャンセル料)を大幅に値上げします。これまで乗車当日でも110円だったところ、11日前から段階的に引き上げ、前日以降のキャンセル料は50%とします。
11日前から20%に
西日本鉄道は、高速バス「はかた号」(東京~福岡)について、取消手数料(キャンセル料)を値上げすると発表しました。これまでは乗車当日でも110円でしたが、これを11日前以降は値上げします。
新たな取消手数料は、11日前~9日前が20%、8日前~2日前が30%、前日~当日が50%となります。
はかた号の運賃は9,000円~なので、20%の取消手数料なら1,800円以上、50%なら4,500円以上となります。
手数料の改定は、2024年12月20日運行分より適用します。12日前まで110円、発車時刻以降は払戻し不可という点は、これまでと変わりません。
手数料理由の理由は?
西鉄は手数料改定の理由について明らかにしてません。
一般論として、高速バスの手数料値上げの理由としては、いわゆる「隣席ブロック」対策があります。「隣席ブロック」とは、利用者が予約時に2席を並びで予約して、直前に1席をキャンセルすることで、2席を1人で占有しようという方法です。
ただ、「はかた号」は3列独立シートなので、隣席ブロックをする必要はあまりありません。
それよりは、自分の旅程が固まりきっていない旅客が、念のために席を抑えておくような形の直前キャンセルを防止することが目的のように察せられます。
「はかた号」は長距離路線だけに、日程を早めに決める旅客が多いでしょうから、直前にキャンセルされても代替予約が入りにくいという事情がありそうです。
標準運送約款では
乗合バスの標準運送約款では、取消手数料について、普通乗車券は一律で110円以内と定めています。
いっぽう、乗車する自動車を指定した普通乗車券や座席券(指定席券)については、12日前までが110円以内で、9日前までが20%以内、2日前までが30%以内、前日から出発2時間前までが50%以内、出発2時間前以降は100%以内と定めています。
これまで、「はかた号」は、一般的な普通乗車券の取消手数料を適用していたわけですが、12月20日以降は、指定席券の扱いに切り替える、ということです。
路線バスの取消手数料から転換
高速バスでは、古くから路線バスを運行している会社で普通乗車券の取消手数料を適用している場合が多く、ツアーバスとして新規参入した会社は指定席券の取消手数料を適用している場合が多いです。
路線バス系の会社は運輸業としての歴史を反映し、ツアーバス系の会社は旅行業として発展してきたという歴史を反映しています。
西鉄バスは古くから路線バスを運行している会社なので、普通乗車券手数料を適用してきましたが、「はかた号」では、その方針を改めるということです。
ネット予約の普及により
気になるのは、こうした手数料値上げがどこまで広まるのか、という点です。
ネット予約の普及により、予約もキャンセルも手軽におこなえるようになったことで、最近は直前キャンセルがバス会社で大きな問題となっています。そのため、路線バス会社系の高速バスでも、2日前くらいから20~30%のキャンセル料を取るケースが増えていて、この流れは止まらないでしょう。
一方で、高速バスを日常的な交通機関と捉えた場合、予約もキャンセルも手軽におこなえることは重要です。日中運行の短中距離路線で厳しめの取消手数料を設定すると、予約を控えさせてしまい、利用減につながってしまうかもしれません。
要は、路線によって適切な手数料設定は異なるわけです。そのため、同一バス会社でも、路線によって手数料が異なるというケースが増えていくのではないでしょうか。(鎌倉淳)