デビットカードの「国際キャッシュカード機能」を比較する。海外での現地通貨調達には便利だが、コストが課題

海外での現地通貨調達手段として最近増えているのがデビットカード。広い意味での「国際キャッシュカード」の一種で、日本の預金口座から海外で現金を引き出すことができます。かつてはネット系銀行が主な発行元でしたが、最近はメガバンクも発行を開始したほか、手数料の安いものも出てきました。

ここでは、海外利用できるデビットカードをご紹介しましょう。なお、ここでは海外において現地通貨を調達するための手段としてデビットカードをご紹介します。一般的なショッピング利用などについては省略します。

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VISAデビットとJCBデビット

最初にデビットカードの現状について簡単に説明しましょう。現在、日本で発行されているデビットカードのうち、海外で利用できるものは「VISAデビット」と「JCBデビット」に大別できます。

主流はVISAデビットで、世界200の国と地域に設置されている「Visa」もしくは、「PLUS」マークがあるATMで、自分の銀行預金口座から現地通貨を引き出すことができます。一方のJCBデビットは世界93カ国と地域に設置されている「CIRRUS」(シーラス)マークがあるATMで、やはり自分の銀行預金口座から現地通貨を引き出すことができます。

主要国を旅するぶんにはPLUSもCIRRUSも、それほどATM普及度に違いがない印象です。基準となる為替レートはVISAとJCBでは若干違います。2015年7月17日の基準で、 VISAが1ドル124.197580円、1ユーロ135.920172円、 JCBが1ドル124.26円、1ユーロ135.25円となっていました。当然ですがレートは日によって異なります。

イオンデビット

デビットカード利用のコスト

デビットカードを海外利用する場合には、以下のコストがかかります。

カード年会費 
500円~1,000円程度。無料のカードもあります。

加算レート
標準的な為替レート(仲値)に2.5 – 3.0%程度を上乗せしたレートでの両替となります。上乗せ割合が加算レートです。海外取扱事務手数料などといいます。

利用手数料
海外で引き出しするときに1回ごとにかかる手数料。無料~200円程度。出金手数料などということもあります。

現地ATM手数料
海外のATMを利用にかかる手数料。国や引き出しATMで異なり、かからない場合も多いです。

このうち、デビットカード選びで考慮する点は、年会費、加算レート、利用手数料です。現地ATM手数料については、どのカードを使ってもかかるときはかかるので、カード選びの段階で考慮する必要はありません。

国内発行の主要デビットカードの特徴

さて、以下に、日本で発行されている主なデビットカードの特徴と手数料をまとめました。それぞれのカードの公式ウェブサイトの数字を掲載しています(税抜きは税込みに換算)。

イオンデビットカード

イオン銀行のデビットカード。年会費無料で、加算レート1.6%。1回あたりの利用手数料は216円。「バックアップサービス」として、預金残高が足らなくても、10万円を限度に代金決済できるという特徴があります。

あおぞらキャッシュカード・プラス

あおぞら銀行の発行するVISAデビット機能付きキャッシュカード。年会費無料で、加算レート2.57%。1回あたりの利用手数料は216円。

三菱東京UFJ-VISAデビット

メガバンクで唯一発行しているVISAデビットカード。年会費1,080円がかかりますが、23歳未満か前年10万円以上の利用があれば無料になります。加算レート3.0%、1回あたり利用手数料108円。

りそなVISAデビットカード

りそな銀行が発行しているVISAデビットカード。「オリジナル」(年会費540円)とJALマイルが貯まる「JMB」(年会費1,080円)があります。加算レートは2.5%で、1回あたり利用手数料は無料。

SURUGA VISAデビットカード

スルガ銀行が発行するVISAデビットカードで、海外利用できるデビットカードの草分け的存在。年会費無料で、加算レートは3.0%、1回あたり利用手数料216円。

ちば銀スーパーカード・デビット

千葉銀行が発行するJCBデビットカード。年会費1,350円ですが、20歳未満か前年12万円以上の利用か、携帯電話の決済に利用していれば無料になります。加算レートは3.0%。1回あたり利用手数料108円。

JNB Visaデビット

ジャパンネット銀行(JNB)が発行するVISAデビットカード。年会費無料で、1回あたり利用手数料も無料。加算レートは3.02%。

楽天銀行デビットカード

楽天銀行が発行するデビットカード。VISAとJCBの両ブランドがあります。年会費1,029円で、1回あたり利用手数料は無料。加算レートは3.024%。

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有利なのはイオンデビット

さて、上記の数字を見ると、現時点でもっとも両替で有利なのはイオンデビットカードでしょうか。年会費無料で、加算レート1.6%というコストの低さは圧倒的です。1回あたりの引き出し手数料はかかりますが、一度に多めに引き出せばあまり気にならないでしょう。

ただ、イオンデビットカードはバックアップ機能があるぶん、入会時に審査が必要です。デビットカードは審査がなかったり18歳未満でも作れたりするのが魅力の一つなのですが、その点ではマイナスです。

デビットカードをクレジットカードの補完として考えるなら、年会費無料のあおぞら銀行かJNB Visaデビットあたりでしょうか。JNBは年会費も1回あたり利用手数料もかからないのが魅力的です。

メガバンクの三菱東京UFJ-VISAデビットは、継続して年10万円以上を利用するなら悪くありません。10万円はキャッシング以外でも構いませんので、すでに三菱東京UFJ銀行に口座を持っている人にはおすすめできそうです。

デビットカードの特徴を理解しよう

最後になりますが、一般に、デビットカードでの現地外貨調達は、クレジットカードのキャッシングよりもコスト面では不利になることが多いです。ラインナップを眺めてみても、純粋にコスト面でクレジットカードに比肩できそうなのは、イオンデビットカードくらいです。

デビットカードの特徴としては、即時決済のため、銀行口座に入っているお金以上は使えないという点があげられます。不便だという考え方もありますが、使いすぎ予防にはなりますし、盗難やスキミング被害に対する安心感はあります。

また、デビットカードはクレジットカードのような与信審査がないのが一般的です。そうしたメリットとデメリットを理解のうえ、ご利用ください。

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