北海道・苫小牧沖で火災を起こしたフェリー「さんふらわあ だいせつ」を運航する商船三井フェリーは、フェリーを函館市の造船会社「函館どつく」で修復することを決めました。修復後、2016年の年明けには大洗~苫小牧間航路を1日4便体制に戻す予定です。
JR貨物が大増発も追いつかず
商船三井の大洗~苫小牧航路は、関東と北海道を結ぶ大動脈で、「夕方便」と「深夜便」の1日2往復4便が運航されてきました。しかし、2015年7月31日の「だいせつ」の火災事故後、1日3便程度に減便しています。週26便の運航を10月まで週20便程度に減便し、11月には週18便程度とする予定です。
このため、本州と北海道間の物流に支障が出ており、2016年8月30日付北海道新聞によりますと、JR貨物は1日あたり上下計約40本の定期列車に加え、札幌と関東を結ぶ臨時列車を上下計19本も増やして運行してきたとのこと。それでも7~8割の利用があり、全て埋まった日もあるそうです。
他社のフェリーも積み残しが出るほどで、本州~北海道間の輸送需要に、運搬能力が追いついていない様子がうかがえます。
写真:商船三井フェリーホームページ
他の船体は調達できず
こうした状況のなか、商船三井は別の船体を確保しようとしてきましたが、1万トン級のフェリーをすぐに調達することは難しく、修復しての運行再開に傾いたようです。「だいせつ」は火災で電気系統が故障したものの、船体の損傷は火元付近に限られ、エンジンにも大きな損傷はなかったそうで、コスト面からも修復が有利、という判断になったようです。
その「だいせつ」は、事故後、室蘭港に停泊していましたが、第1管区海上保安本部による現場検証を終え、2015年9月4日に室蘭港を離れ、修理のため函館に曳航されました。
10日間も燃えたが
それにしても、「だいせつ」の鎮火が確認されたのは、出火から10日後です。正直に書くと、10日も燃えたら船体構造にも影響が出て解体されるのではないか、と思っていました。ところが修復され再び航路投入される、ということですから、内装は大きく燃えたものの、船体構造には大きな被害はなかった、ということなのでしょう。
船体が想像していたより「軽傷」だったのは何よりです。大洗~苫小牧航路は大事な幹線航路ですから、4便体制への迅速な復帰は喜ばしいこと。これからも安全運航を願いたいところです。