「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」第6弾 松本城~高田城を分析する。設定がちょっと不公平

走れ、走れ、走れ~♪

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鉄道ルートの検証

次に、鉄道ルートの検証です。一行は最初のチェックポイント・ささ園を通ったあと、黒瀬の靴を買うためにショッピングモールに立ち寄ります。ここに寄らずに、JR中央本線の駅まで直行していたらどうなっていたでしょうか。

番組では「平田駅か村井駅」が候補に挙がっていましたが、ささ園から距離的にもっとも近いのは広丘駅です。そのため、広丘駅まで歩いた場合を考えてみます。

▽1日目
松本駅08:00→08:16三溝駅→徒歩7.4km→ささ園*10:00→徒歩8.5km→広丘駅12:01→12:14松本駅

この場合、大糸線から先は実際ルートに収斂します。

では、広丘駅までタクシーを使った場合はどうなるでしょうか。

▽1日目
松本駅08:00→08:16三溝駅→徒歩7.4km→ささ園*10:00→タクシー8.5km、概算4,040円→広丘駅12:04→11:16松本駅11:20→13:00白馬駅→徒歩3km→白馬ジャンプ競技場*→徒歩3km→白馬駅15:51→16:27信濃大町駅16:34→17:31松本駅17:35→18:53長野駅19:00→19:48信州中野20:50→20:59夜間瀬駅

このように、大糸線の1本速い列車に乗車でき、1日目に夜間瀬駅まで到達できます。第3チェックポイント遠見乃湯の近くに宿泊することも可能だったでしょう。

ただ、時節柄、施設内のロケは営業時間外に行っているようですので、夜の入浴はできないと思われます。また、2日目スタートで、遠見乃湯に早朝から入浴できるわけでもなさそうです。

となると、1日目に夜間瀬まで到着している意味はなく、2日目朝8時過ぎの到着で間に合います。鉄道チームとしては、1日目に長野駅に到着していれば十分なので、1日目にタクシー代4,000円を投じて広丘駅まで先を急ぐより、温存してショッピングモールに寄ったのは正解だったでしょう。

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夜間瀬の乗り遅れ

鉄道チーム最大のポイントと思われたのが、2日目の夜間瀬駅の乗り遅れと、それに続く信州中野~上今井駅間のタクシーチャレンジでしょう。このどちらかで、目標の列車に乗車できていた場合に、どのような形になっていたでしょうか。

まずは、夜間瀬駅で乗り遅れなかったという仮定でたどってみます。

▽2日目
夜間瀬駅09:22→09:38信州中野駅→タクシー5.6km、3,240円→10:00上今井駅10:56→11:14飯山駅→徒歩1km+タクシー10km、3940円→斑尾高原ホテル13:00→タクシー2,790円+徒歩、計14km→14:30妙高高原駅15:18→15:49高田駅

このように、実際ルートより1時間ほど前倒しで高田駅に到着できます。鉄道チームの圧勝だったでしょう。

長野駅を経由していたら

次に、夜間瀬で乗り遅れたものの、上今井ショートカットに挑戦せず、長野駅を経由していたらどうなっていたかも見てみます。

▽2日目
夜間瀬駅10:24→10:40信州中野駅10:58→11:38長野駅11:47→12:35飯山駅

このように、飯山着は実際ルートと同じです。要するに、結果論でいえば、上今井チャレンジはタクシー代3,240円の無駄だったことになります。このお金があれば、斑尾~妙高高原間が格段に楽になったはずで、もったいなかったといえます。

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妙高高原駅で乗り遅れていたら

鉄道チームの最大のポイントは、斑尾越えです。鬼軍曹一行は、飯山駅付近の平地を歩くなどしてタクシー代を節約。それでも斑尾から妙高高原駅へのタクシー代が足らず、最後は妙高高原駅で間一髪でした。

この間一髪で間に合わない、すなわち妙高高原駅で15時58分発の高田方面への列車に乗り遅れていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
妙高高原駅17:07→17:49高田駅

このように、高田駅到着が17時50分頃です。ここから城まで2kmを急ぐと18時10分頃の到着になりそうで、18時15分頃に到着したバスチームと接戦になっていました。ただ、ギリギリで鉄道チームが勝つタイミングで、勝敗は変わらなかったとみられます。

逆にいえば、鉄道チームが明確に負けるには、さらに一本遅い電車、すなわち妙高高原駅18時発の列車でなければなりません。斑尾高原から妙高高原駅に抜けずに、飯山まで戻った場合には、この列車になっていた可能性があります。

斑尾高原ホテル14:25→タクシー2,790円+徒歩、計11km→飯山駅15:58→16:31豊野駅17:16→17:46妙高高原18:00→18:50高田駅

つまり、鉄道チームが負けるのは、斑尾から飯山へ戻るというルートを選択した場合のみ、といえるかもしれません。

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制作側の「シナリオ」は?

制作側の狙いとしては、鉄道チームの妙高高原駅の出発が、実際ルートより1本遅い17時07分発になることだったのでしょう。その場合、バスチームと高田城の到着時刻がほぼ同じになり、僅差の戦いを演出できます。

そうならなかったのは、鉄道チームが踏ん張って妙高高原駅15時58分発の列車に乗れたため、といえます。ただ、これに乗り遅れても鉄道チームの勝利になっていた可能性が高いことは、前述したとおりです。

鉄道ルートの最適解

鉄道ルートの難関は、斑尾越えでした。バスを使えないので、飯山~斑尾高原~妙高高原間をタクシーと徒歩で乗り越えるほかなく、そのためには前半でできるだけタクシー代を温存しておく必要があります。

そうなると、今回、上今井ショートカットに挑戦したのは、勝ち目の乏しい賭けに出てしまったという点で、才媛・村井らしからぬミスだったといえます。夜間瀬駅で乗り遅れずに、上今井ショートカットをしないのが、鉄道チームの最適解でしょう。すなわち、以下のようになります。

▽1日目
松本城07:05→徒歩1km→松本駅08:00→08:16三溝駅→徒歩7.4km→ささ園*10:00→徒歩7.4km→三溝駅13:39→13:56松本駅14:13→15:50白馬駅→徒歩3km→白馬ジャンプ競技場*17:35→徒歩3km→白馬駅18:16→18:52信濃大町駅19:02→19:53松本駅20:05→21:08長野駅

▽2日目
長野駅06:15→07:01信州中野駅07:14→07:26夜間瀬駅→徒歩3km→08:20遠見乃湯*→徒歩3km→夜間瀬駅09:22→09:38信州中野駅09:49→10:35長野駅11:47→12:35飯山駅→タクシー11km、概算4,840円→斑尾高原ホテル→タクシー14km、概算6,040円(タクシー代超過分は徒歩)→妙高高原駅15:58→16:41高田駅→徒歩2km→高田城

飯山線以降の鉄道時刻は実際ルートと同じですが、タクシー代を飯山まで満額残しているため、斑尾越えで歩く距離がかなり少なかったと思われます。そうなると、総徒歩距離は30kmに満たず、乗り継ぎにもムリがなく、実際ルートとほぼ同じ時間にゴールできたことでしょう。

信濃吉田・北長野乗り継ぎ

さらに、記事公開後、信濃吉田駅と北長野駅で乗り継げばもっと早く着けるというご指摘をいただきました。次のようになります。

▽2日目
長野駅06:15→07:01信州中野駅07:14→07:26夜間瀬駅→徒歩3km→08:20遠見乃湯*→徒歩3km→夜間瀬駅09:22→09:38信州中野駅09:49→10:24信濃吉田駅→徒歩0.2km→北長野駅10:35→11:14飯山駅→タクシー11km、概算4,840円→斑尾高原ホテル→タクシー14km、概算6,040円(タクシー代超過分は徒歩)→妙高高原駅15:10→15:49高田駅→徒歩2km→高田城

16時すぎには高田城にゴールできそうです。過酷な徒歩もなく、バスチームとの差も付きすぎて、盛り上がりには欠けてしまうかもしれません。

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まとめてみると

まとめてみると、バスチームは乗り継ぎの難易度が高い上に、どう乗り継いでも実際ルートより早く着くことはできません。しかも、前半にタクシー代を出し惜しみしていれば、あっという間にゲームオーバーになる難しい設定でした。

バスチームは敗れましたが、「ゴールできた」という事実だけを以て賞賛に値する内容だったと思います。

一方、鉄道ルートは乗り継ぎにムリがなく、徒歩距離も比較的短く設定されています。前半にタクシー代を浪費すると後半の斑尾越えが厳しくなりますが、それは予測できることですので、前半に節約を意識することは容易です。

そして、よほどのミスをしなければ、バスチームよりも早くゴール可能でした。こう考えると、今回は鉄道チームがかなり有利だったといえます。設定がちょっと不公平だった印象すらあります。

今回は、横山由依と高城れにという、有名なアイドルグループのメンバーが両陣営に分かれて参加したことでも注目を集めました。二人とも体力があり、前向きで、どちらのチームも雰囲気がよかったように思えます。「アイドル対決」という点では、甲乙付けがたい好演でした。

これで、両チームは3勝3敗の五分。次回、勝ち越すのはどちらでしょうか。(鎌倉淳)

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