「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」第6弾 松本城~高田城を分析する。設定がちょっと不公平

走れ、走れ、走れ~♪

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第6弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、松本城~高田城で競う企画です。勝負を分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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AKBとももクロが登場

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2020年11月11日に放送された第6弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、長野県・松本城~新潟県・高田城で乗り継ぎ対決しました。

バスチームのメンバーは、太川陽介、横山由依(AKB48)、たかし(トレンディエンジェル)の3人。鉄道チームのメンバーは、村井美樹、高城れに(ももいろクローバーZ)、黒瀬純(パンクブーブー)の3人です。AKBとももクロという、日本を代表するアイドルグループのメンバーが両陣営に分かれて戦うという点でも注目を集めました。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。

第6弾のスタートは長野県松本市の松本城で、ゴールは新潟県上越市の高田城。途中、山形村ささ園、白馬ジャンプ競技場、遠見乃湯(よませ温泉)、斑尾高原ホテルの4箇所のチェックポイントを経て、1泊2日でのゴールを目指します。先にゴールしたチームが勝ちとなります。

バスvs鉄道対決旅第6弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅6 信州横断
【出演】太川陽介、横山由依(AKB48)、たかし(トレンディエンジェル)、村井美樹、高城れに(ももいろクローバーZ)、黒瀬純(パンクブーブー)
【放送日】2020年11月11日 18時25分~22時00分(テレビ東京系列)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。*はチェックポイントです。

▽1日目
松本城07:05→徒歩1km→松本バスターミナル 07:55→08:30山形役場→徒歩1.3km→ささ園*→徒歩1.3km→山形役場10:43→11:18松本バスターミナル→タクシー5,540円+徒歩、計14.6km→12:20塔ノ原12:48→13:11正科北→徒歩7.1km→14:51信濃大町駅前15:10→15:32美麻ぽかぽかランド前16:01→16:30白馬八方→徒歩1.2km→白馬ジャンプ競技場*→徒歩1.2km→白馬八方17:45→19:00長野駅東口19:10→19:50須坂駅→タクシー4,440円+徒歩、計11.6km→21:25延徳駅→宿送迎→湯田中温泉

▽2日目
湯田中駅07:05→07:14塚田団地→徒歩3.3km→07:57遠見乃湯*→徒歩3.5km→09:13夜間瀬駅10:13→10:35信州中野駅11:25→12:16飯山駅12:35→13:07斑尾高原ホテル*14:00→徒歩6.3km→大川日かげ駐車場15:15→15:30倉本→徒歩1.8km→長沢16:55→17:23頃中町17:24→18:04上越地域振興局庁舎前→徒歩0.5km→高田城

バスチームの高田城到着時刻は18時15分頃と思われます。斑尾から難しい乗り継ぎをこなしてのゴールでした。途中、大川日かげ駐車場~倉本間は飯山市予約型乗合タクシーに乗車したとみられます。「ローカル路線バスの旅」オリジナル版では「予約型」のコミュニティ交通は利用不可ですが、「対決旅」では解禁されているようです。

※Googleマップの経路は概略です。実際に経由したルートとは異なることがあります。

鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。

▽1日目
松本城07:05→徒歩1km→松本駅08:00→08:16三溝駅→徒歩7.4km→ささ園*10:00→徒歩3.5km→アイシティ21→→徒歩4.0km→三溝駅13:39→13:56松本駅14:13→15:50白馬駅→徒歩3km→白馬ジャンプ競技場*17:35→徒歩3km→白馬駅18:16→18:52信濃大町駅19:02→19:53松本駅20:05→21:08長野駅

2日目
長野駅06:15→07:01信州中野駅07:14→07:26夜間瀬駅→徒歩3km→08:20遠見乃湯*08:55→徒歩3km→09:23夜間瀬駅10:24→10:40信州中野駅→タクシー5.6km、3,240円→11:00上今井駅12:13→12:35飯山駅→徒歩1km+タクシー10km、3,940円→斑尾高原ホテル14:25→タクシー2,790円+徒歩、計14km→15:55妙高高原駅15:58→16:41高田駅→徒歩2km→高田城

鉄道チームの高田城着は17時頃だったようで、バスチームより1時間以上早くゴールしての勝利となりました。徒歩距離は1日目が約22km、2日目が14km程度とみられ、2日間あわせて36km程度だったようです。いつもながらの長距離徒歩が報われて、バスチームに快勝しました。

両者のとったルートについて、検証してみましょう。なお、タクシー代の概算はタクシー料金検索サイトに依拠しています。

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四賀支所へのバスを待っていたら

まず、バスチームです。第1チェックポイントのささ園へ、松本からの往復にロスはありません。

最初のポイントは、松本市内からの北上でしょう。四賀支所へのバスを待たずに、いきなりタクシーで明科方面へ急ぎました。仮に四賀支所へのバスを待っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
山形役場10:43→11:18松本バスターミナル13:00→13:44四賀支所→徒歩8.1km→明科駅16:53→17:14正科北→徒歩7.1km→信濃大町駅前

このように、タクシーを使わない場合、1日目に信濃大町に着くのが19時頃になりそうです。白馬ジャンプ競技場の閉場時刻は17時なので、1日目にミッションをこなすことはできませんし、白馬までたどり着くことすら難しそうです。

となると、1日目にどこかでタクシーを使うほかなく、使うとしたら松本~明科間というのは最適な選択です。つまり、ルイルイの判断は間違っていなかったといえそうです。

正科で待っていたら

次のポイントは正科です。信濃大町行きのコミュニティバスまで2時間以上あるので、一行は待たずに約7kmを歩きました。仮に待っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
塔ノ原12:48→13:11正科北/正科15:29→16:01信濃大町駅16:10→16:32美麻ぽかぽかランド前19:06→19:35白馬八方

このように、1日目に白馬には着けますが19時すぎで、ジャンプ台ミッションは2日目に持ち越しになります。最終的に高田城までゴールするのは困難だったでしょう。つまり、ここも先を急いだルイルイの判断が正しかったことになります。

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須坂へ行ってよかったのか

実際ルートに戻ります。次に気になったのは、長野駅の判断です。一行は19時に長野駅に到着後、深く検討することなく、10分後に発車する須坂行きのバスに飛び乗りました。しかし、長野から湯田中に直行する急行バスがあることを車内で知り、後悔します。

実際のところ、番組でも紹介されたように、湯田中への急行バスは高速道路経由なので、ルール上利用できません。では、長野駅から湯田中に路線バスで乗り継ぐルートは存在するのでしょうか。

地図上でつなぐだけなら、たとえば長野駅→三才駅→手小塚→(徒歩)→立ヶ花→信州中野駅と、バス路線がほぼつながっています。しかし、当日中行けるのは三才駅までで、とても湯田中まで行くことはできません。

1日目に湯田中に到達するには宿送迎が不可欠で、その場合、バスチームが到達できるのは須坂が最も近い位置になります。したがって、一行が長野駅から須坂駅行きバスに乗ったのは正しい判断だったことになります。

送迎がなかったら

実際ルートでは、一行はタクシー代を使い切って延徳駅まで行って、湯田中の宿の送迎を仰ぎましたが、距離的には信州中野駅でも1km程度の差です。そのため、送迎がなかった場合は、タクシー代を使い切って信州中野駅まで到達し、市内に宿泊して、翌朝、遠見乃湯を目指していたでしょう。すなわち、以下のようになります。

▽1日目
長野駅東口19:10→19:50須坂駅→タクシー4,440円+徒歩、計12.9km→信州中野駅

▽2日目
信州中野駅09:00→09:19塚田団地→徒歩3.3km→10:00遠見乃湯*→徒歩3.5km→11:00夜間瀬駅11:18→11:40信州中野駅12:50→13:41飯山駅16:20→16:52斑尾高原ホテル*

このように、信州中野泊だと、翌朝の夜間瀬方面のバスが9時までなく、実際ルートに追いつけません。結果として斑尾高原でギブアップになっていたでしょう。

ただ、ルイルイのことですから、信州中野で朝9時までバスを待つとは思えませんので、早朝に遠見乃湯まで約8kmを歩いていたと思います。その場合は、実際ルートに追いつきます。

▽2日目
信州中野駅07:00→徒歩7.3km→遠見乃湯*→徒歩3.5km→09:13夜間瀬駅10:13→10:35信州中野駅

つまり、信州中野に宿泊していれば、ゴール可能でした。宿送迎を使わない唯一の正解があるとすれば、信州中野泊でしょう。

ちなみに、1日目に長野駅周辺に宿泊した場合は、長野~須坂のバスが朝8時までないので、実際ルートに追いつけずギブアップになっていたと思われます。ゴールするには、1日目に最低でも信州中野まで到達している必要がありました。

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県境越えの他ルートは?

バスチームにとって、最大の難関は長野・新潟県境越えでした。一行は斑尾高原から大川日かげ駐車場まで約6kmを歩き、飯山市の乗合タクシーを使って新潟県境近くの倉本まで移動。さらに、歩いて県境を越えて、長沢から妙高市のコミュニティバスに乗り新井へ抜けています。

率直に行って難易度の高いルートです。また、オンエアにはありませんでしたが、飯山市の乗合タクシーはおそらく当日予約していたと思われます。

とはいえ、タクシー代の残金のない一行にとって、県境を越える他のルートは見当たりません。すなわち、これが唯一の正解と思われます。

結局のところ、バスチームにミスと言える場面は見当たりません。というよりも、唯一無二の正解をたどってきたと表現できます。信州中野に泊まらずに、湯田中から宿送迎を仰ぎましたが、正解から逸れた場面があったとしてもそこだけで、完璧なルート取りだったといえます。

[次ページに続きます]

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