2017年は、全世界でジェット旅客機の墜落事故が起こりませんでした。オランダの調査機関によりますと、2017年に発生した死者を伴う商用の旅客機と貨物機の墜落事故は10件で、死亡した乗員乗客は44人でした。近年の航空史上「もっとも安全」だった年だったといえます。
死者数は平均の10分の1以下
航空機の安全性を調査しているオランダの「アビエーション・セーフティー・ネットワーク(Aviation Safety Network;ASN)」によりますと、定員14人以上の商用機を対象とした統計で、2017年の墜落事故は10件、死亡は44人、地上で事故に巻き込まれた人は35人でした。墜落事故のうち、5機が旅客機、5機が貨物機です。
過去5年間の平均では、年間に航空機の墜落事故が17件、死者495人が生じているので、比較すると2017年は死者がきわめて少ない年だったといえます。
ジェット旅客機が無事故
ASNでは、その理由として、ジェット旅客機の墜落事故が生じなかったことをあげています。
ジェット旅客機の墜落事故は、2016年11月28日にコロンビア上空で墜落した、ラミア航空2933便墜落事故が最後です。それ以来、ジェット旅客機は無事故が続き、2018年1月2日で400日間死者ゼロの記録を達成しました。
ちなみに、ラミア航空2933便墜落事故は、多くのブラジル人サッカー選手が犠牲になったことでも注目されました。その悲劇を経て、400日にわたり、ジェット旅客機は無事飛び続けていることになります。
国内では自衛隊機とセスナ機の墜落事故
ASNによると、軍用機と非商用飛行機を含めると、2017年の死亡事故は24件で、合計死者数は230人にのぼります。それでも、現代航空史では、最も低い数字ということです。
日本国内の2017年の大きな航空機事故としては、5月15日に発生した陸上自衛隊機のビーチクラフトLR-2の墜落事故がありました。乗員4人が死亡しています。
また、6月には富山空港から松本空港へ飛行していたセスナ172Pが、富山県立山町の獅子岳南東斜面に墜落し、4人が死亡しています。
しかし、定期運航の民間商用機で死亡事故は起こりませんでした。